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colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第2部 霧宮ナツハ編
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第4章 黄色い写真を添えて (霧宮ナツハ編) 前編

冬。霧宮さんの仕事も無事に落ち着き、霧宮さんは平穏な日々を過ごしていた。…………はずなのだが……。



六郭星学園 Iクラス教室



霧宮ナツハ

「はあ……試験勉強か……。」


真瀬莉緒

「まぁ……仕方ありませんよ。」


六郭星学園のテストは1年に1回しか行われない。しかもそのテストは1年間に学んだものが出題範囲になっている……つまりはかなり膨大な範囲のテストが行われる。


霧宮ナツハ

「仕方ないわ。全力でやるわよ。」


霧宮さんと僕は一生懸命に勉強を始めた。


霧宮さんは黙々と勉強をしており、その集中力は見習いたいくらいだ。


霧宮ナツハ

「……ん?どうかしたの?」


真瀬莉緒

「あ、いえ……すみません。なんでもありません。」


いけない。つい見惚れてしまっていた。

霧宮さんに変に思われてしまうかもしれない……。


霧宮ナツハ

「ん。」


真瀬莉緒

「えっ、霧宮さん!?」


霧宮さんは急に隣の席に座り、僕の顔をずっと見つめてきた。


真瀬莉緒

「霧宮さん……。」


霧宮さんは僕の顔をずっと見つめていると何かに呆れたのか、ため息をついた。


霧宮ナツハ

「…………もう。いくじなし。」


真瀬莉緒

「え?」


霧宮さんは何を思ったのか、そのまま元にいた席に座り込んだ。


その後は黙々と勉強をして、その日は別れた。



六郭星学園寮 莉緒・ノクアの部屋



風亥ノクア

「おかえり。今日はナツハとはどうだったの?」


真瀬莉緒

「ノクア……。今日は……。」


僕はノクアに今日の出来事を話してみた。


風亥ノクア

「そうか……そんなことが……。」


真瀬莉緒

「うん。そうなんだ。僕……何かしたのかな?」


風亥ノクア

「…………。ナツハ……やっぱり……。」


真瀬莉緒

「え?」


風亥ノクア

「いや、なんでもない。とりあえずは勉強をしよう。期末テストが近いからね。」


真瀬莉緒

「……そうだね。勉強しないと。」


僕たちはさらに勉強を始めた。そして……



期末テスト当日



神谷乙音

「今日は期末テストです!みんな勉強はしたかな〜!?それじゃあ早速だけど、期末テスト始めます!!」


クラスメイトたちが「はい。」と答える。


神谷乙音

「それじゃあ……開始!!」


僕はその言葉で裏返したプリントをめくる……



テスト終了のチャイムが鳴る。

僕のプリントは空白欄は無く、出来る限りの答えを出した。そして全員が提出した……


テストの結果は大広間にて貼り出される。1位から最下位まで名前が載る。貼り出されるまでの間、ドキドキが止まらない。


そして……結果発表当日。


霧宮ナツハ

「いよいよね……。私たちの結果……。」


真瀬莉緒

「そうですね……ドキドキです。」


そして、テストの順位が貼り出される……

生徒の人数は700人前後……僕たちの結果は……。


真瀬莉緒

「僕は……49位!良いところかも……!」


700人中の49位。上位にいると言っても過言ではない。


一方で霧宮さんは……。


霧宮ナツハ

「22位。まあまあの結果ね。」


そう言いながらも少し安堵した表情をしていた。


美園エリカ

「ふふふ……28位。なかなかね。」


櫻井シオン

「34位!良い結果ね。」


他の2人も良い結果に喜んでいた。


霧宮ナツハ

「あとは……課題ね。」


真瀬莉緒

「はい。そうですね。頑張りましょう!」


霧宮ナツハ

「ええ、ここまできたんだから。頑張らないと。」


櫻井シオン

「お、2人は楽曲制作だっけ?頑張ってね!」


シオンが僕たちにエールを送る。僕らも期待に応えなくては!



六郭星学園 音楽室



期末テストが終わり数日後……僕たちは改めて作曲の練習を行なっていた。


霧宮ナツハ

「ここは……こうかしら?」


真瀬莉緒

「そうですね。そこはヴィオラを加えましょう。」


作曲作りは恐ろしいほど順調に進んでいる。

あれから霧宮さんは撮影の仕事はやっておらず、霧宮さん自身もだいぶ心に余裕が出始めている。


霧宮ナツハ

「ふう……少し休憩しましょうか。」


真瀬莉緒

「そうですね。一旦休みましょう。」


その言葉を口にした瞬間に霧宮さんの携帯の着信音が鳴った。


霧宮ナツハ

「はい。霧宮です。……あぁ、マネージャー。」


通話相手は霧宮さんのマネージャーからだった。仕事の件だろうか?


霧宮ナツハ

「はい。……本当ですか!?わかりました。本人にも確認します。」


すごく嬉しそうだ。一体なんだろうか?


霧宮ナツハ

「莉緒くん。井上さんって覚えている?」


井上さん……?……ああ、そうだ。あのときのカメラマンさんだ。


真瀬莉緒

「はい。あのときのカメラマンさんですよね。」


霧宮ナツハ

「そう。そのカメラマンが私と莉緒くんの写真を撮らせてもらえないかって。」


真瀬莉緒

「え、本当ですか!?僕が、写真に写るんですか?」


霧宮ナツハ

「私は構わないけれど、莉緒くんはどうかなって。」


真瀬莉緒

「僕ですか?そうですね……。」


僕は少しだけ悩んだが、霧宮さんと写真が撮りたいと思った。なので……


真瀬莉緒

「わかりました。一緒に写真を撮りましょう!」


霧宮ナツハ

「決まりね。じゃあ井上さんに連絡するから後日詳細を伝えるわ。」



霧宮ナツハ

「………………ありがとう。」


真瀬莉緒

「え?」


霧宮ナツハ

「ううん。なんでもないわ。とりあえず今日は解散しましょう。」


真瀬莉緒

「わかりました。では写真を撮るを楽しみにしています。」


霧宮ナツハ

「ふふ……こちらこそ。」


そうしてその日は僕らは解散し……数日後……



撮影スタジオ



霧宮さんとの写真を撮る日が来た。少しだけドキドキが止まらない。


すると井上さんが僕に話しかけてくれた。


井上カメラマン

「やあ、莉緒くん。この間はごめんね。お詫びと言ってはなんだけど写真を撮らせてくれないかと思ってね……引き受けてくれてありがとう。」


井上さんは深々とお礼をしてくれた。


真瀬莉緒

「いえ、僕は霧宮さんに言われて……それに、断る理由もなかったので……。」


井上カメラマン

「そっか……じゃあ早速撮ろうか。」


そう言われ、僕たちはグリーンバックの前に立つ。


井上カメラマン

「それじゃあいくよ。」


井上さんはカメラのシャッターを何度か切った。


慣れない撮影に僕はしどろもどろになっている……井上さんに何度か声をかけられるも、どうすればいいかわからない……。


すると霧宮さんが耳元で囁く。


霧宮ナツハ

「莉緒くん、大丈夫よ。落ち着いて撮影すれば良い写真が取れるから。」


真瀬莉緒

「えっ、あ……はい。」


霧宮さんにそう言われると、次第に落ち着きを取り戻し、次第に表情にも笑みが浮かんできた。


井上カメラマン

「お、いいね!その調子だよ!どんどん撮るからね!」


井上さんにも喜んでもらえ、撮影はどんどん進んでいく。


撮影を終えて僕たちは撮影した写真を確認する。


真瀬莉緒

「おお……すごいや。」


たくさんの写真が並び、さまざまな表情をした僕たちの写真を確認し、僕は1枚の写真が目に入った。


真瀬莉緒

「これは……。」


霧宮ナツハ

「莉緒くんもその写真が気に入ったのね。」


真瀬莉緒

「はい。この写真が1番良いです。」


霧宮ナツハ

「決まりね。じゃあ……背景は……これでどうかしら?」


真瀬莉緒

「……これは良いですね!そうしましょう!」


霧宮ナツハ

「ふふふ……ありがとう。」


僕たちが選んだのは黄色い背景が鮮やかに輝いている写真だ。


僕の表情はとても良く、霧宮さんも楽しそうな表情をしていた。


僕が初めて撮影を見学したときや水着撮影のときの表情とは違い、心から楽しそうな表情をしていた。


マネージャーさんが霧宮さんは僕がいると楽しそうと言っていたけれど、確かに今、とても楽しそうだ。でも何故だろう、僕も霧宮さんと一緒にいるととても楽しい……。


霧宮ナツハ

「それじゃあ井上さん。これでお願いいたします。」


井上カメラマン

「ああ、わかったよ。じゃあこれでプリントするね。」


井上さんはそう言うとすぐに僕たちの写真をプリントしてくれた。


そして僕と霧宮さんの2枚、写真を渡してくれた。


霧宮ナツハ

「ありがとうございます。」


僕もすかさずお礼を言う。


真瀬莉緒

「ありがとうございます。」


井上カメラマン

「こちらこそ無理言ってくれてありがとう。また何かあったらよろしくね。」


真瀬莉緒

「は、はい。よろしくお願いいたします。」


こうして撮影は終了した。



僕たちは六郭星学園の寮に帰るため、帰り道を歩いていた。


真瀬莉緒

「今日は楽しかったですね。霧宮さん。」


霧宮ナツハ

「そうね。…………ん。」


真瀬莉緒

「え……?」


何を思ったのか、霧宮さんは手を差し出してきた。


霧宮ナツハ

「今日は……手を繋ぎたい気分。莉緒くん……お願い。」


真瀬莉緒

「霧宮さん……。」


霧宮ナツハ

「私……卒業までって言ったけれど、待ちきれない。私じゃあ……ダメかな?」


真瀬莉緒

「霧宮さん……やっぱり……。」


霧宮ナツハ

「どうかな……?」


僕は…………。


真瀬莉緒

「…………僕で……良いんですね。」


霧宮ナツハ

「莉緒くん!」


霧宮さんは嬉しそうな表情をして、僕を見つめていた。


真瀬莉緒

「手……繋ぎましょうか。」


霧宮ナツハ

「ええ、もちろんよ。帰りましょう。」


手と手を握り、僕たちは帰路へ着いた。それまでの間の手の温もりはとても心地良かった。


最初は霧宮さんと僕はただのパートナーだった。

でも今は違う。とても大切なパートナーだ。


まだ霧宮さんとの課題は残っている。大切なパートナーとして作っていくんだ!

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