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colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第2部 霧宮ナツハ編
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第3章 濃紺の空 (霧宮ナツハ編) 後編

六郭星学園寮 中庭



六郭星学園寮に着いた。着いた瞬間……周りが光に包まれた。


真瀬莉緒

「うわ!?なんだ!?」


光が消えるとそこには女の人がいた。


??

「真瀬莉緒さんね。私は虹谷アヤ(にじや あや)。私はある人を捕まえにやってきたの。」


虹谷と言う人は唐突にそう言った……。ある人を捕まえる……?


状況が整理できていないまま、僕は誰を捕まえるかを聞いてみる。


真瀬莉緒

「捕まえるって誰をですか……?」


虹谷アヤ

「霧宮ナツハ。彼女にはある容疑がかかっているの。」


真瀬莉緒

「霧宮さんが……!?待ってください!彼女は何もしてないですよ!」


虹谷アヤ

「………………。」


真瀬莉緒

「無理矢理に彼女を捕まえるのは許しません。今日はお引き取り願います。」


虹谷アヤ

「…………わかりました。でも後悔しないで。あなたは被害者なのよ。」


そう言うと再び、光に包まれ光と共に虹谷さんは消えていった。


真瀬莉緒

「何だったんだ……一体……?疲れているのかな……とりあえず休もう……。」


僕は今日はゆっくり休み、明日に備えた。



六郭星学園寮 志奈・ナツハの部屋



翌日……僕は霧宮さんを救うため、部屋にやってきた。


霧宮ナツハ

「莉緒くん……。」


霧宮さんは何もしていないのに汗をかいていた。


真瀬莉緒

「霧宮さん……?」


すると奥の洗面所から姉さんが慌ててやってきた。


真瀬志奈

「ナツハ!熱出しているんだからじっとしていて!!」


真瀬莉緒

「えっ、熱出しているの!?」


真瀬志奈

「ええ……。微熱ではあるけれど……。」


霧宮ナツハ

「大丈夫だから……。大丈夫だから……。」


真瀬志奈

「でも、その様子じゃあ……。」


霧宮ナツハ

「いいの。仕事に行かないと……また仕事を増やされる……。」


真瀬志奈

「………………。」


真瀬莉緒

「姉さん。俺はあのチーフマネージャーに訴えてくるよ。」


真瀬志奈

「訴えるって……どうやって……?」


真瀬莉緒

「撮影場所に行ってくる。これ以上、霧宮さんを困らすわけにも行かないからね。」


真瀬志奈

「でもあのチーフマネージャーは話を聞かないわよ……。」


真瀬莉緒

「それでも……霧宮さんの身体を考えないと……死んじゃうかもしれないよ。」


真瀬志奈

「………………そうね。私も行くわ。ナツハのことを守りたい。」


霧宮ナツハ

「2人とも……。」


真瀬莉緒

「行こう。チーフマネージャーをギャフンと言わそう。」


真瀬志奈

「ええ、行きましょう。」



撮影現場



チーフマネージャーがいた。霧宮さんを救わないと……。


霧宮ナツハ

「はぁ……はぁ……」


チーフマネージャー

「ナツハ……頼むよ……これ以上休んだら……」


やはりまだ働かせるのか……それなら……と思っていると……。


マネージャー

「もう……やめましょうよ。」


マネージャーさんがチーフマネージャーにそう言った。


チーフマネージャー

「なっ……誰に向かって言っている!!」


マネージャー

「あなたの悪事はすでにわかっている。警察を呼びました。」


チーフマネージャー

「なに……!?」


そう言うとサイレンの音が聞こえる。


チーフマネージャー

「くそ!貴様……!」


チーフマネージャーがマネージャーさんに襲い掛かろうとしている。


僕は止めに入ろうとすると、警察官がすぐにチーフマネージャーを捕らえた。


チーフマネージャー

「くそ……!計画が……!俺たちの計画が崩れる……!」


そう言い残し、チーフマネージャーは警察に連行された。


霧宮ナツハ

「助かった……?」


ドサッ……


霧宮さんはそう言うと倒れてしまう。



真瀬莉緒

「霧宮さん!」


真瀬志奈

「ナツハ!」


マネージャー

「すみません。スタッフのみなさん、彼女を医務室に運んでください!」


そう言うとスタッフの人たちが、医務室まで霧宮さんを運んで行った。



撮影現場の医務室



マネージャー

「そうだったのか……2人もナツハのことを助けるために今日……」


真瀬志奈

「はい。私たちどうしてもナツハのことが心配で……。」


マネージャー

「なんか……ごめんね。いいところを盗んじゃって……。」


真瀬莉緒

「いいんです。僕は霧宮さんが救われただけで、安心しました。」


マネージャーさんは僕の言った言葉を聞いて、胸をなで下ろしていた。


真瀬莉緒

「あの……ところで何故、警察を?」


マネージャー

「ああ、それはね、あの人はこれまでナツハが稼いでいたお金をとある研究の費用に使っていたんだ。」


真瀬志奈

「研究の費用…………?」


マネージャー

「ええ、誤見という人にその研究費用を渡していたんだ。」


真瀬莉緒

「誤見……?」


マネージャー

「その人は極悪非道な研究をしていたんだ。それに加担していたのが……」


真瀬莉緒

「チーフマネージャー……だったんですね。」


マネージャー

「あの人は最近は誤見と言う人から資金が足りないと言われて、その資金を稼ぐためにナツハの仕事を大幅に増やしていたんだ。」


真瀬莉緒

「そんな……」


マネージャー

「ナツハもそれを知っていてモデルに対して嫌悪感を抱いていたんだ。けれど……。」


真瀬志奈

「けれど……?」


マネージャー

「莉緒くんといるときだけはほんの少しだけだけど楽しそうだったんだ。」


真瀬莉緒

「僕といるときですか……?」


マネージャー

「そう。ナツハは君といると何か違うんだ……なんでだろう?」


そう言うと医務室のベッドで横になっていた霧宮さんが目を覚ました。


霧宮ナツハ

「莉緒くん……?志奈……?」


真瀬志奈

「ナツハ!目を覚ましたのね!」


霧宮ナツハ

「うん……あの、チーフマネージャーは……?」


マネージャー

「ああ、チーフならもう大丈夫だよ。警察に連れていかれたからね。」


霧宮ナツハ

「そうですか……。」


マネージャー

「それをしてくれたのは莉緒くんたちだよ。2人に感謝してね。」


霧宮ナツハ

「ほ、本当に?………………ありがとう……。」


真瀬莉緒

「あ、いや……別に僕は……。」


マネージャー

「いいんだよ。2人のおかげだよ。」


真瀬莉緒

「は……はい……。」


霧宮ナツハ

「それで……撮影は……?」


マネージャー

「もういいんだ。ナツハ。少し休もうか。もうチーフマネージャーの言うことを聞かなくていいんだからね。」


霧宮ナツハ

「本当に?……ありがとうございます。」


そう言うと霧宮さんは再び横になった。


霧宮ナツハ

「…………。」


霧宮さんはしばらく横になり何かを考えていた。

考え終わると霧宮さんは起き上がり、マネージャーに話をしていた。


霧宮ナツハ

「莉緒くん。少し出かけよう。着いてきて。」


真瀬莉緒

「ああ……はい……。」


真瀬志奈

「ちなみに私は……?」


霧宮ナツハ

「ごめん。志奈は先に寮に戻ってて。」


真瀬志奈

「…………わかったわ。じゃあ、莉緒。ナツハを頼むわね。」


真瀬莉緒

「わかったよ。」


そう言って、僕は霧宮さんと出かけることにした。



六郭星草原



マネージャーが運転する車に乗って、着いた場所は草原だった。


真瀬莉緒

「ここは……。」


霧宮ナツハ

「莉緒くん……おいで。」


霧宮さんは黄色いシートを引いて横になっていた。


僕も隣に座り横になる。


横になると上は濃紺の空が美しく輝いていた。


真瀬莉緒

「ああ……綺麗ですね。」


霧宮ナツハ

「ええ……ここ、私の好きな場所なの。空を見てるとなんだか心が癒されるのよ。」


真瀬莉緒

「そうなんですね……。」


僕は冷淡にそう言うとしばらくしてから霧宮さんが口を開いた。


霧宮ナツハ

「莉緒くん……今日はありがとう。」


霧宮さんはそう言う。


真瀬莉緒

「いえ……それより……仕事はどうするんですか?」


霧宮ナツハ

「仕事は……もうちょっと続ける。それでも前より仕事はセーブするけれどね。」


真瀬莉緒

「それが一番ですね。」


霧宮ナツハ

「ねえ、莉緒くん……もし良ければだけど……」


真瀬莉緒

「………………?」


霧宮さんは恥ずかしそうに何かを言いかけたが……


霧宮ナツハ

「…………やっぱりいいわ。卒業までに言いたいことを言うわ。」


真瀬莉緒

「……そうですか。わかりました。では、その時を楽しみにしています。」


霧宮ナツハ

「ふふ……ありがとう。」


そう言うと僕たちはそのまま夜空を眺めていた……。


きらきらと光る星空を眺めていると、ふと霧宮さんがこんなことを言った。


霧宮ナツハ

「そういえば……作曲のことで、私……一つ思いついたフレーズがあるんだけれど……聞いてもらえるかしら?」


真瀬莉緒

「本当ですか!?ぜひ聞かせてください!」


霧宮ナツハ

「ええ、これなんだけど……」


僕は霧宮さんの考えたフレーズを聞いた……フレーズを聞いた瞬間、僕は心が踊るくらい素晴らしいフレーズだった。


真瀬莉緒

「なるほど……良いフレーズですね……。」


霧宮ナツハ

「これを加えて演奏できないかしら?」


真瀬莉緒

「わかりました……では……。」


僕は作った曲に霧宮さんが作ったフレーズを入れて演奏をしてみる…………



演奏が終わると霧宮さんは嬉しそうな表情を浮かべていた。


霧宮ナツハ

「すごい……!やっぱり莉緒くんと組めて本当に良かった!」


真瀬莉緒

「ありがとうございます。そう言ってもらえると僕も大変光栄です!」


霧宮ナツハ

「ありがとう……。本当に……。これからもよろしくね。」


真瀬莉緒

「……もちろんです!これからもよろしくお願いします!」


僕たちの卒業はまもなく近いが、これからの生活を楽しみにしないと……!!

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