第1章 きみどり色の草原で (来川ナナ編) 後編
六郭星学園 音楽室
翌日の放課後……僕たちは音楽室にいた。
曲のコンセプトを考えるためだ。ただ……
来川ナナ
「あの……コンセプトは……お任せします。」
どうやら僕の一存でことが変わるかもしれない。
とりあえず僕は考えてこう思った。
真瀬莉緒
「声優さんに作曲をする程というのはどうですか?例えば……この声優さんに作る程で作曲しませんか?」
僕がそう言うと、来川さんは驚いていた。
来川ナナ
「…………!」
真瀬莉緒
「……?来川さん……?」
来川ナナ
「いえ、何でもありません。そうですね!そうしましょう!」
真瀬莉緒
「あ……はい……。」
来川さんは即決でこの声優さんに曲を作る程で、曲を作ることを決めた。
せっかく曲を作るんだ。場所を変えてみてら色々と思い浮かぶかもしれない。
真瀬莉緒
「来川さん。もし良ければ場所を変えて曲を作ってみませんか?場所を変えることによって色々と発想が思い浮かぶかもしれませんし。」
僕はそう言うと……
来川ナナ
「いいですね!そうしましょう!」
真瀬莉緒
「では、さっそく外で作曲してみましょう!」
来川ナナ
「はい!」
僕たちは音楽室から出て、学園の外へ行くことにした。
六郭星草原
六郭星草原へやってきた。黄緑色の草原がゆらゆら揺れる。風も気持ちよく、景色もきれいだ。
来川ナナ
「……きれい……ですね。」
真瀬莉緒
「ええ、とても……」
……………………………………あれ?
真瀬莉緒
「…………。」
来川ナナ
「真瀬さん?」
真瀬莉緒
「ああ……すみません。大丈夫です。お気になさらないでください。」
来川ナナ
「はぁ……。……それじゃあ、早速やりましょうか!」
真瀬莉緒
「はい。そうしましょう!」
僕たちは早速、曲のことについて考えていった。……けれど、曲を作ると言うことはかなり難しい。そのため、意見はなかなか出ない。
真瀬莉緒
「…………。」
来川ナナ
「…………。」
なかなか思い浮かばない……。そこで……。
来川ナナ
「あの……よければ……お弁当作ってきたので、食べませんか?」
真瀬莉緒
「お弁当ですか。いいですね!ありがとうございます!」
来川さんのお弁当は茶色系が多かった。ハンバーグに焼きおにぎりもついていた。
来川ナナ
「私、こう見えても茶色が好きなんです。特に薄い茶色が好きで、色々なものを薄茶色で統一しているんです。」
真瀬莉緒
「へえ……薄茶色が好きなんですね。」
珍しいとは絶対に言わない。なぜなら僕は色が好きだからだ。赤も青ももちろんマイナーな色でも何でも好きだ。その人その人の好きな色も否定をする気は絶対にない。
真瀬莉緒
「いただきます。」
僕は早速、お弁当に手をつけることにした。
そして、ハンバーグをひと口食べる。
来川ナナ
「……どうですか?」
真瀬莉緒
「美味しいです!」
とても美味しかった。肉厚なハンバーグに塩加減がとても良かった。
来川ナナ
「……良かったです。」
来川さんはホッと肩をなでおろしていた。
真瀬莉緒
「……あ。」
ふと曲のフレーズや、曲調が思い浮かんだ。しかし、来川さんはどう思うのだろうか。
真瀬莉緒
「来川さん、曲の曲調とかフレーズですけど……。こんな感じはどうでしょうか?」
僕は来川さんに聞く……
来川ナナ
「…………いいですね!それでいきましょう!」
真瀬莉緒
「良かった……。ではこれで……。」
僕たちは早速、曲調やフレーズをこしらえていく。僕が意見を言うと来川さんは即決して良いと決めてくれる。
真瀬莉緒
「じゃあ、今日はこんな感じですね。」
来川ナナ
「はい!ありがとうございました!明日もよろしくお願いします。」
真瀬莉緒
「ええ、こちらこそよろしくお願いします。」
そう言うと、来川さんは先に学園に帰って行った。
僕は少しだけこの草原を佇んでいた。
真瀬莉緒
「なんでだろう……どこかで見たような気がする……それも悪い意味で……。」
僕はそう思うと気味が悪くなり、そそくさとその場を離れた。
六郭星学園 寮
寮に戻ると何やら騒がしかった。辺りの人に聞いてみると、どうやら6月に予定していた課題の発表が3月に延期になることになったらしい。
延期になるということは課題の猶予がかなり延びたことになる。しかし、それなりの課題の質も向上させることに努めなくてはならない。僕は今後のことも含め、来川さんに話をしないといけないと思った。
けれど、今日はもう遅いため、明日にでも話をしよう。そう思い、僕は部屋に戻った。
六郭星学園 寮 莉緒・ケントの部屋
夜坂ケント
「おう。おかえり。」
真瀬莉緒
「あ、はい。戻りました。」
夜坂ケント
「……そんなよそよそしくしなくても良いんだぞ。」
真瀬莉緒
「あ……はい。」
夜坂ケント
「それよりも莉緒。来川との曲作りは上手くいっているのか?」
真瀬莉緒
「まぁ……それなりに……。ただ、気になるところもあるけど……」
夜坂ケント
「気になるところ?」
真瀬莉緒
「はい……ただ、1回だけなので思い違いかもしれないから、今度また話すのでそこで確認をしてみようと思ってる。」
夜坂ケント
「そうか。まぁ……初回だしな。判断としては正しいのかもな。」
真瀬莉緒
「とりあえずは今日はこんな感じかな?」
夜坂ケント
「ほお。曲の方はできているのか?」
真瀬莉緒
「いや、今日はどんな形でいくかの方向性を考えてみただけ。明日から曲のベースを考えていくよ。」
夜坂ケント
「おう。それじゃあ……明日聞かせてもらおうか。いいか?」
真瀬莉緒
「僕は……構わないけれど……。」
夜坂ケント
「そうか……じゃあ、明日よろしくな。」
真瀬莉緒
「…………はい。」
そう会話をして、僕たちは寝床に着き……翌日……
六郭星学園 音楽室
放課後……僕らは曲のベースを考えていた。来川さんに今日の放課後は空いているか聞くと、即答ではいと答えて、今の状況にいたっている。
真瀬莉緒
「曲のベースとしては、こんな感じはどうでしょうか?」
来川ナナ
「すごく良いと思います!」
真瀬莉緒
「ありがとうございます……。じゃあこれで……。」
来川ナナ
「あ……。」
真瀬莉緒
「ん……?どうかしましたか?」
来川ナナ
「いえ……何でもありません。これで行きましょう!」
真瀬莉緒
「あ……はい。」
僕は曲のベースに意見を言うと来川さんは即決ではいと答える。作曲は順調ではあるが、どこかモヤモヤしている。
そのモヤモヤがわからないうちに来川さんの携帯がなった。
来川ナナ
「はい。…………あっ…………。うん。わかった……ごめんね……。」
真瀬莉緒
「…………?」
来川ナナ
「ごめんなさい。ミカから連絡があって、約束の時間にきてないからどうしたのって……。」
真瀬莉緒
「ああ……元から予定が入っていたんですね。」
来川ナナ
「はい……このようなことがもうないようにします。今日は……すみません。」
真瀬莉緒
「大丈夫ですよ。古金さんのところへ早く行ってあげてください。」
来川ナナ
「すみません……。ありがとうございます。……では、今日は失礼します。」
そう言って来川さんは古金さんのところへ向かった。
曲のベースは大部分は完成している。あとは1人でも大丈夫だろう。僕は完成するまで、音楽室で練習しようとしたとき、音楽室の扉が開いた。
??
「お?真瀬……あぁ、すまん。弟の方か。」
真瀬莉緒
「はい……そうですけど……。」
鹿崎咲也
「俺は鹿崎咲也。Eクラスの担任をしている。まあ簡単に言うと真瀬志奈の担任でもある。よろしくな!」
真瀬莉緒
「真瀬莉緒です。姉がお世話になっております。こちらこそよろしくお願いいたします。」
鹿崎咲也
「姉同様に礼儀正しいな。……それにしても……1人で練習か?」
真瀬莉緒
「はい……さっきまでは2人でやっていましたが今は1人でやろうと思っていたところです。」
鹿崎咲也
「そうか……せっかくなら、俺が見てやろうか?」
真瀬莉緒
「え、良いんですか?」
鹿崎咲也
「ああ!クラスは違えど、先生だからな。これくらいはさせてくれ。」
真瀬莉緒
「ありがとうございます。」
僕はお礼を言って、鹿崎先生に曲のベースを聴いてもらった。
鹿崎咲也
「なるほど……コンセプトと重ね合わせて聞いてみると……こことここを変えた方が良いんじゃないか?」
真瀬莉緒
「あ、はい……。なるほど……。」
鹿崎咲也
「それに……こことここは音を高くしても良いんじゃないか?」
真瀬莉緒
「いや、これはこれでいいです。本人の歌いやすさやリスペクトも含めて考えたらこうじゃないかと……。」
鹿崎咲也
「……そうか。それもそうだな!色々と考えているんだな!」
真瀬莉緒
「はい。ありがとうございます。」
鹿崎咲也
「何も何も。こうしてしっかりとやりとりしているんだろ。パートナーと。」
真瀬莉緒
「…………あー…………。」
よくよく考えると来川さんからあまり意見を聞いたことがないな……モヤモヤしていたのはこのことだったんだろうか。
鹿崎咲也
「……?どうした?」
真瀬莉緒
「あ、いえ、何でもありません。もうしばらく、曲のベースを考えて行こうかと思います。」
鹿崎咲也
「そうか。それなら俺も協力してやるぞ!どんどん意見を言ってくれ!」
真瀬莉緒
「ありがとうございます!」
こうして僕は鹿崎先生とやりとりをして、大部分を無事に完成させた。
鹿崎咲也
「ベース……できたな!」
真瀬莉緒
「はい。これで……あとは曲調を考えないといけません。これは来川さんと一緒にやってみようと思っています。」
鹿崎咲也
「そうか……じゃあ俺は一旦、お役御免だな。お前らの曲が完成するのを楽しみにしているぞ!」
真瀬莉緒
「ありがとうございます。」
お礼を言うと鹿崎先生は音楽室から出ていった。曲作りは順調だ。あとの部分は来川さんと一緒に考えるが……どうしてだろう……
来川さんとのやりとりは……気乗りがしない。
意見を言って欲しいだけなのかはわからないけど……やっぱり何かモヤモヤする……
ひとまずは切り替えよう。……そうだ。夜坂くんに作曲の成果を見せるんだった。もう少し仕上げて夜坂くんに見てもらおう。
そう思い、早速僕はあらためて仕上げて、夜坂くんのところへと向かった。
六郭星学園 寮 莉緒・ケントの部屋
部屋に向かうと夜坂くんはまだ帰ってきていなかった。
まだ大丈夫。僕は夜坂くんが帰ってくるギリギリまで曲の練習をした。
……でも、曲を弾く度に何故か来川さんのことを考えてしまうようになっていた。
来川さん……。
夜坂ケント
「練習はかどっているな。」
真瀬莉緒
「夜坂くん!?」
夜坂くんが帰ってきた。早速準備をしなければ。
夜坂ケント
「練習できたか?」
真瀬莉緒
「……曲のベース部分くらいだけど……。」
夜坂ケント
「そうか……。じゃあ聞かせてくれ。」
真瀬莉緒
「わかりました。」
僕は作った曲を完成したところまで弾く……
曲を弾き終えた。夜坂くんの反応は……
夜坂ケント
「良い曲だ。今でそれぐらいならこの先はさらに上手くなるんだろう。」
真瀬莉緒
「あ、ありがとう!」
素直に褒めてくれた夜坂くんに少し驚くも、普通を装って言えた……はず。
夜坂ケント
「……ところで、来川のことだけど……。」
真瀬莉緒
「来川さん……?」
夜坂ケント
「曲作りの最中に何かモヤモヤを感じていないか?」
真瀬莉緒
「え……?」
心の中ではかなり驚いた。モヤモヤしていることがバレていたなんて……そう思いつつも夜坂くんには来川さんの気になるところを伝えた。
真瀬莉緒
「来川さんと話している時は……何故かモヤモヤしています。」
夜坂ケント
「そうか……やはりか……。」
真瀬莉緒
「ただ……今はそれが何かは断定できないです。」
夜坂ケント
「……今はまだ断定は難しい。けれど……ゆくゆくはそれを乗り越えていかないと厳しいと思うぞ。」
真瀬莉緒
「……………………。」
夜坂ケント
「すまない。莉緒を責めるような形になったな。」
真瀬莉緒
「いえ、大丈夫です。」
モヤモヤか……
夜坂ケント
「これは来川にとっては乗り越えていかないといけないことだ……それに…………グッ……!!」
真瀬莉緒
「夜坂くん!?」
夜坂くんが急に苦しんでいる。何があったのか……?
夜坂ケント
「莉緒……薬を……俺の引き出しの中にある薬を出してくれ!」
真瀬莉緒
「引き出し……これだ!」
僕は引き出しにある薬を飲ませた。
夜坂ケント
「はぁ……はぁ……。すまない……」
真瀬莉緒
「いえ……大丈夫なの?」
夜坂ケント
「ああ……実は俺……あまり身体が良くないんだ。」
真瀬莉緒
「身体が……?」
夜坂ケント
「薬がないと苦しくなるんだ……すまんな……。少し外の空気を吸ってくる。」
そう言うと夜坂くんは外へ出かけていった。
真瀬莉緒
「夜坂くん……。」
僕は夜坂くんを心配しながらも曲作りをし……また寝床についた。




