第4章 ラベンダー色の香水(根村ユウタ編)後編
演奏を終える、他の人の反応は…………?
男子生徒A
「とても良い曲だ…………!」
女子生徒B
「良かった……!心に響きました!」
私たちは拍手喝采に包まれる。そうか……やったんだ……!
成瀬実
「良かったです…………さすがです。心が…………温まります。」
間宮舞来
「素晴らしい演奏…………でした。私も心に響きました…………。」
成瀬実
「はい…………本当に。」
ステージ上から私たちはみんなにお礼をして、ステージから降りて行った。
真瀬志奈
「やった…………!やりましたね!」
根村ユウタ
「志奈の…………おかげだ…………これで…………あとは…………楽しむ…………だけだ…………。」
真瀬志奈
「はい!」
私たちはお互いに健闘を称え、Dクラスの課題発表は幕を閉じた。
有志パーティー 会場
有志パーティーが始まった。
各クラスの有名人も参加をしているようだ。
でもなんだろう。やっぱりどこか心が苦しい。
真瀬莉緒
「姉さん………………。」
そう言って、莉緒が近づいてきた。顔色を青くして。どうやら莉緒も何か苦しいみたいだ。
真瀬莉緒
「ちょっと苦しいや…………。」
真瀬志奈
「無理しないでね。私はしばらくここにいるから。」
とは言うものの、私も少し苦しい。
美園エリカ
「あら…………大丈夫かしら?」
声をかけてきたのは美園さんだった。こうして会うのは久しぶりだ。
真瀬志奈
「すみません。こんな大事な日に気分が悪くて…………。」
すると、雪谷さんも駆けつけてくれた。
雪谷マコト
「大丈夫ですか?…………お水用意しますね。」
真瀬志奈
「あっ…………ありがとうございます。」
綿垣さんもやってきて、タオルを持ってきてくれた。
綿垣キョウゴ
「これ…………使え。」
真瀬莉緒
「あっ、ありがとう。」
綿垣キョウゴ
「…………それでだ。真瀬志奈だったな。」
綿垣さんは私に話しかける。
真瀬志奈
「はい。真瀬志奈ですけど…………。」
雪谷マコト
「よければ、この香水。使ってみないですか?」
雪谷さんたちが渡した香水はラベンダー色の香水だった。匂いもラベンダーの香りがする。
真瀬莉緒
「でも、ユウタはこの香りは大丈夫かな?」
真瀬志奈
「そうね。…………聞いてみましょう。」
私は根村さんを探そうとすると、ちょうど根村さんがやって来た。
根村ユウタ
「志奈…………莉緒…………その香水は…………?」
真瀬志奈
「雪谷さんたちが持って来たんですよ。どうでしょうか?」
根村さんは香りを嗅ぐ。
根村ユウタ
「とても…………素敵な香りだ…………この香水…………つけてみてほしい…………。」
真瀬志奈
「わかりました。では…………。」
私は香水をつける。根村さんは微笑みを見せた。
美園エリカ
「ふふふ…………仲良さそうね。」
雪谷マコト
「羨ましい限りです。」
香水のおかげで、少しだけ気分が悪くなった、有志パーティーも楽しく過ごすことができた。
そのあと、社交ダンスやビンゴ大会など、様々なイベントを楽しみ、有志パーティーはお開きになった。
そして、最後の行事が始まる。
六郭星学園 大講堂
SクラスからKクラスまで全クラスの生徒がずらりと並ぶ。
成瀬実
「ただいまより、六郭星学園卒業式を行います。」
卒業式が始まる。1年間ではあるが、このクラスに出会えてよかったと実感する。
1人1人名前が呼ばれていく。
成瀬実
「内野タスク。」
内野タスク
「はい。」
成瀬実
「不知火カイル。」
不知火カイル
「はい。」
成瀬実
「根村ユウタ。」
根村ユウタ
「…………はい。」
仲の良かったみんなが呼ばれていく。
そして私も呼ばれる。
成瀬実
「真瀬志奈。」
真瀬志奈
「はい。」
そうか……卒業するんだ……。そう思うと悲しみに溢れていく……
成瀬実
「以上で卒業式を終了いたします。」
そして、あっという間に卒業式が終わる。
本当にあっという間だった。卒業式も学校生活も。
ただ……唯一の救いは……。
不知火カイル
「みんな同じ大学に進学するんだね。」
内野タスク
「はい…………しかも期末テストの上位50人が同じ大学なんて…………。」
根村ユウタ
「不思議だ…………」
みなさん同じ大学に進学することになった。これからもみなさんと関係を築くことができるということだ。これからもよろしくお願いします。
不知火カイル
「いよいよだね…………。」
内野タスク
「2人の曲が聞けますね。」
根村ユウタ
「楽しみに…………している。」
真瀬志奈
「はい!楽しみにしていてくださいね!私も根村さんの書いた歌詞が楽しみです!」
根村ユウタ
「期待…………していてほしい…………。」
真瀬志奈
「はい。もちろんです!」
不知火カイル
「今日の夜に聞けるんだよね。2人で聞くのかい?」
根村ユウタ
「ああ…………。」
真瀬志奈
「すみませんがよろしくお願いいたします。」
内野さんと不知火さんは頷いた。快諾してくれたみたいだ。
そのあと、莉緒たちと合流して、たわいもない会話を莉緒と根村さんの部屋で繰り広げた。
そして…………夜が更けていき…………。
夢野マナカ
「時間ね…………ユウタ。」
根村ユウタ
「ああ…………すまない…………。」
木沢アカリ
「楽しみにしているからね。」
冬原マイカ
「2人の時間、楽しんでねぇ。」
真瀬莉緒
「じゃあね。姉さん。」
不知火カイル
「また来るからね。」
内野タスク
「ドキドキです。またあとで…………。」
莉緒たちは部屋を出た。
私は早速、ラジオをかける。
ちょうど声優さんが歌う番がやって来る。
真瀬志奈
「いよいよですね…………。」
私と根村さんはソファーに座り、歌を聞こうとする。
根村ユウタ
「……………………。」
ラジオパーソナリティー
「それでは、次はこの方です!」
男性声優
「この曲は…………大切な方を思った、大切な曲です。…………どうか聞いてください。」
聞き馴染みのある音楽が流れ、私はじっくり歌詞を聞く…………。
音楽が終わり、私は根村さんを見つめる。
根村ユウタ
「志奈…………。」
真瀬志奈
「根村さん…………。」
根村さんは私の手を握り、重たい口を開く。
根村ユウタ
「自分は…………真瀬志奈…………きみのことを…………心から…………思っている…………。何年…………時が過ぎても…………このドキドキは…………忘れない…………いつも…………そばにいてほしい…………。」
真瀬志奈
「…………やっと、その言葉が聞けましたね。」
根村ユウタ
「志奈…………愛している…………。」
真瀬志奈
「私も…………ユウタ。」
私は根村さんを抱きしめる。
根村ユウタ
「香水の…………香り…………。素敵だ…………。」
真瀬志奈
「ええ。とても…………。」
私たちはラベンダー色の香水の香りに包まれて、時を過ごす。
虹谷サイ
「くそ…………彼も違うのか…………!もう…………残り少ない…………。焦るな…………。他を当たろう。」
根村ユウタ編 完