第４章 ラベンダー色の香水（根村ユウタ編）前編
冬。根村さんとの楽曲作成はひと段落ついて、適度な練習を行っていた。しかし、私たちはあることについて、悩んでいた。それは…………。
真瀬志奈
「期末テスト…………。」
根村ユウタ
「仕方ない…………。勉強しないと…………。」
六郭星学園のテストは１年に１回しか行われない。しかもそのテストは１年間に学んだものが出題範囲になっている……つまりはかなり膨大な範囲のテストが行われる。
難解なシステムではあるが、私たちはこの学園の生徒だ。従うしかない。
真瀬志奈
「頑張りましょう。みなさんも誘って勉強会です。」
根村ユウタ
「ああ…………。頑張ろう…………。」
私たちは莉緒のクラスメイトたちと、不知火さん、内野さんを誘って、勉強会を始めた。
六郭星学園 Ｄクラス教室
８人での勉強会は様々な知識が飛び回っていく。しかし、それも短い時間だった。仲が良いので、すぐに雑談に切り替わっていく。
夢野マナカ
「……………………。」
冬原マイカ
「今日は楽しそうだねぇ。マナカ。」
夢野マナカ
「はい。…………色々と片付いたので、気が楽になりました。」
内野タスク
「それは素敵なことですね。頑張りましたね。」
夢野マナカ
「はい。…………ありがとうございます。」
夢野さんも今まで少なかった微笑みを見せてくれる。色々と頑張ったんだなとしみじみに思う。
木沢アカリ
「あー…………なんだかお腹空いてきちゃったな！」
不知火カイル
「それじゃあ、ジャンケンで負けた２人が買い出しに行って来るのはどうだい？」
木沢アカリ
「いいね！じゃあ、ジャンケンしよう！せーの…………」
私たちは唐突に始まったジャンケンに参加する。
そして、その結果…………
真瀬莉緒
「えーっと、ハンバーガーとフライドポテトは買ったから…………。」
真瀬志奈
「あとはジュースだけね。」
ジャンケンで負けたのは、私と莉緒の２人だった。こうして莉緒と２人きりになるのは久しぶりだ。
真瀬志奈
「それじゃあ、ジュースも買ったし、学園に戻りましょうか。」
真瀬莉緒
「うん。行こうか。みんなが待ってるし。」
真瀬志奈
「ええ。」
その帰り道の道中で、莉緒はこんな話をしてくる。
真瀬莉緒
「ねえ、姉さんはユウタのこと、どう思っているの？」
真瀬志奈
「唐突ね…………でも…………。根村さんのことは嫌いじゃないわよ。」
真瀬莉緒
「そうか…………なんか２人。最初はぎこちなかったのに、今はすっかり意気投合していて羨ましいよ。」
真瀬志奈
「そう？でも、莉緒は夢野さんと一緒のペアでしょ？合わないの？」
真瀬莉緒
「いや、全然。でもまさか、マナカがメルマだとは…………。」
真瀬志奈
「あ、言ったのね。やっぱり、ショックだった…………？」
真瀬莉緒
「それはなかったな。メルマのことは好きだけど、夢野さん個人も素敵な方だって、思っているよ。」
真瀬志奈
「そう…………素敵な方ね…………。」
真瀬莉緒
「うん…………姉さんも素敵な人と出会えてよかったよ。」
真瀬志奈
「……………………そうね。」
感じたことなかったけれど、もしかして私、根村さんのこと…………。
真瀬莉緒
「姉さん…………？」
真瀬志奈
「あっ、うん…………なんでもない。そういえば、今度、有志パーティーみたいなものが開かれるみたいね。参加するの？」
真瀬莉緒
「うーん…………。」
莉緒はどうやら何か、有志パーティーに何か嫌な感じがするみたいだ。
真瀬莉緒
「でも、マナカたちが行くなら…………。」
真瀬志奈
「確かに私も根村さんが行くって言うなら、行くかもしれないわね…………。」
真瀬莉緒
「そうだね。あとでみんなに聞いてみようか。」
そんな話をして、私たちは学園に戻り、Ｄクラス教室に着いた。
六郭星学園 Ｄクラス教室
真瀬莉緒
「お待たせ。ハンバーガー買ってきたよ。」
木沢アカリ
「待っていたよー！お腹空いていたんだから！」
真瀬志奈
「はい。お待たせしました。」
私たちはハンバーガーを食べながらブレイクタイムに入った。
ブレイクタイム中に、さっき莉緒と話した有志パーティーについて話す。
真瀬志奈
「…………と、いう訳なんですけれどどうでしょうか？」
木沢アカリ
「もちろん！参加するよー！！」
不知火カイル
「楽しみだね。そのときまでに頑張らないとね。」
冬原マイカ
「そうだねぇ。期末テストしっかりやらないと。」
真瀬莉緒
「…………参加しないとね。」
真瀬志奈
「そうね。行くからには楽しまないと。」
内野タスク
「夢野さんはどうですか？参加されますか？」
夢野マナカ
「良いんですか…………？」
不知火カイル
「もちろんだよ。みんなで、参加しよう。」
真瀬志奈
「根村さんはいかがですか？」
根村ユウタ
「もちろん…………参加する…………。」
冬原マイカ
「決まりだねぇ。じゃあ、改めて勉強頑張ろうねぇ。後悔しないように。」
真瀬莉緒
「よし！頑張ろう！」
私たちは勉強を再開した。有志パーティーに参加できるように頑張りたい。
しばらくして、夜が更けたため、その日は解散し、それぞれの寮の部屋に戻る。
六郭星学園寮 志奈・マナカの部屋
真瀬志奈
「ふぅ…………疲れた…………。」
夢野マナカ
「お疲れ様です。…………はい。紅茶です。」
真瀬志奈
「ありがとうございます。」
紅茶を飲んで一息つく。一息ついたところで夢野さんが話し出した。
夢野マナカ
「真瀬さん。…………根村さんのこと、どう思っていますか？」
真瀬志奈
「えっ…………唐突ですね。…………でも、良い人だと思いますよ。」
夢野マナカ
「そうですか…………。」
夢野さんはホッとしている。
真瀬志奈
「何か…………？」
夢野マナカ
「いえ…………ユウタのことが気になって。」
真瀬志奈
「根村さん…………もしかして？」
夢野さんは黙ってこくりと頷く。そうか…………やっぱり。
夢野マナカ
「ユウタの言葉を聞くまで待ってもらえませんか…………？」
真瀬志奈
「もちろんです。私は、待っています。」
夢野さんは微笑んだ。
ホッとした私は、ベッドルームに入り、眠りについた。
そして…………。
