第3章 ホワイトミルクティーを(根村ユウタ編)後編
真瀬志奈
「うっ…………うーん…………。」
目が覚めると、そこは来川医療センターの診察室だった。
間宮舞来
「目が覚めたんですね…………良かった。」
成瀬実
「良かったです。…………お疲れ気味のようですね。」
真瀬志奈
「成瀬先生…………すみません。なんか…………。」
成瀬実
「大丈夫ですよ。気にしないでください。」
成瀬先生は微笑みながらそう返してくれた。
どうやら、私に特段の異常はなく、立ち眩みと診断された。
間宮舞来
「送ってあげます…………。実を送るついでに。」
間宮先生の車に乗って今日は帰ることになった。
私は最後に、根村さんの病室に行き、挨拶をすることにした。
根村ユウタの病室
扉を開けると、根村さんは窓辺に佇んでいた。
気づいたのか、私の方を振り向く。
根村ユウタ
「大丈夫か…………?少し…………体調が悪いのか…………?」
真瀬志奈
「大丈夫です。少し疲れたみたいなので…………。」
根村ユウタ
「そうか…………。そういえば…………楽曲のことなんだが…………。歌詞を…………書かせてもらえないか…………?」
真瀬志奈
「根村さんの歌詞ですか?それは気になりますね。」
私はつい二つ返事で許可する。
根村ユウタ
「ありがとう…………素敵な…………歌詞にする…………。」
真瀬志奈
「期待しています。今度見せてくださいね。」
すると、根村さんの表情が曇った。
根村ユウタ
「すまない…………それは…………できない…………。秘密に…………したい…………でも…………良い歌詞にする…………。」
真瀬志奈
「……………………そうですか。わかりました。期待していますね!」
私は全面的に根村さんに歌詞を任せることにした。
真瀬志奈
「では…………今度は学園でお会いしましょう。」
根村ユウタ
「ああ…………アレンジも…………思いついた…………。音楽室で…………会おう。」
真瀬志奈
「はい!」
私は間宮先生の車で、学園に戻った。
六郭星学園寮 志奈・マナカの部屋
真瀬志奈
「ふぅ…………とりあえず良かった。」
夢野マナカ
「お疲れ様です…………。」
夢野さんはホワイトミルクティーを渡してくれた。
真瀬志奈
「ありがとうございます。いただきます。」
私は貰ったホワイトミルクティーを飲んだ。より一層、安心が勝った。
夢野マナカ
「私も…………頑張ります。真瀬さんの弟さんにも言おうと思います。」
真瀬志奈
「莉緒にメルマだってことを言うんですね。…………きっと莉緒なら受け止めてくれますよ。」
夢野マナカ
「はい。…………大丈夫だとは思いますが、他のファンはどう思うのかわかりません…………。ですが、私は本当にやりたいことをやろうと思います。」
真瀬志奈
「その意気です!応援していますよ。」
夢野マナカ
「はい。頑張ります。」
そして、私たちはホワイトミルクティーを飲み干して、ベッドに眠りについた。
六郭星学園 Dクラス教室
今日は、根村さんが戻ってくる日だ。こちらまでドキドキする。
幸い、このクラスの面々は根村さんに優しく接してくれていた。変わっていなければいいのだけど…………。
不知火カイル
「ユウタ…………大丈夫かな?」
内野タスク
「ドキドキしますね…………でも、何か大丈夫な気がします。」
真瀬志奈
「本当ですか?……………………あっ、来ました。」
根村さんが教室に入って来た。クラスメイトの反応は…………?
男子生徒A
「おかえり。待っていたよ。」
女子生徒B
「これからもよろしくね!」
クラスメイトたちはみなさん、拍手で迎えてくれた。
一緒に教室に入って来た成瀬先生もホッとしている。
成瀬実
「良かった…………。では、ホームルームを始めます。」
安堵していた成瀬先生はホームルームを始める。
ホームルームが終わると、根村さんが話しかけてきた。
根村ユウタ
「志奈…………。この間言った…………アレンジを…………教えたい…………。放課後…………音楽室で…………練習をしよう…………。」
根村さんは病室で言っていた、アレンジをレクチャーしようと、声をかけてくれた。せっかくの頼みを断るわけにはいかない。
真瀬志奈
「もちろんです。放課後、必ず覚えて見せます!」
そして、私たちは授業を受け、放課後を迎える。
六郭星学園 音楽室
放課後になり、私たちは音楽室に来た。
真瀬志奈
「では、聞かせてください。曲のアレンジを…………。」
根村ユウタ
「ああ…………これだ…………。」
根村さんはアレンジを加えた楽曲を入れたCDをラジカセに入れた。そして、音源が流れる…………。
真瀬志奈
「なるほど…………!これは…………素晴らしいです!」
賞賛をすると、根村さんは照れくさそうに微笑む。
根村ユウタ
「ありがとう…………次は…………志奈の番だ…………演奏してほしい…………。」
真瀬志奈
「はい。必ず、素敵な演奏にしてみせます。では…………。」
私はピアノを使って、演奏を始める…………。
真瀬志奈
「どうでしょうか…………?」
根村さんの反応は…………?
根村ユウタ
「志奈…………素敵だった…………。これなら…………きっと…………声優さんも…………喜んでくれる…………ありがとう…………。」
真瀬志奈
「根村さん!…………ありがとうございます。これで、完成ですね。」
根村ユウタ
「ああ…………これで…………この楽曲は…………完成だ…………。あとは…………声優さんに…………聞いてもらうだけ…………。」
真瀬志奈
「はい!早速、アポイントメントを取って、聞いてもらいましょう。3月には間に合いそうです。あとは、練習を重ねていくのと、楽曲発表を待つだけです。頑張りましょう!」
根村ユウタ
「ああ…………頑張ろう…………。」
出会ったときよりも、笑みを浮かべることが多くなってきている。根村さんが元気になって来て、本当に良かった。
残りの学生生活も楽しんでいこう。きっと素敵な時間になるはず…………!