第3章 ホワイトミルクティーを(根村ユウタ編)中編
木沢アカリ
「…………志奈!マナカ!ユウタが…………!」
ドアを開けて入って来たのは木沢さんだった。根村さんが何かあったのだろうか…………?
真瀬志奈
「根村さんに何があったんですか!?」
木沢アカリ
「ユウタが、自転車に当てられた!」
夢野マナカ
「ユウタが!?」
珍しく夢野さんが声を上げる。相当な動揺をしているのだろう。
真瀬志奈
「それで、根村さんはどこに…………?」
木沢アカリ
「来川医療センターに運ばれて…………成瀬先生と間宮先生も医療センターに行っているみたい。」
真瀬志奈
「医療センター…………急いで行きましょう!」
私たちは急いで、来川医療センターに向かうことにした。
来川医療センター
来川医療センターに来た私たちは根村さんのいる病室に向かう。
真瀬志奈
「根村さん!」
根村ユウタ
「あっ…………その…………。」
どうやら意識はあるみたいだ。良かった…………。
病室には間宮先生と成瀬先生のほかに、おじさんがいた。
木沢アカリ
「おじさん…………!?」
一緒に来た、木沢さんの知り合いみたいだ。名前は中井雄也さんと言うらしい。
中井雄也
「ああ。すまないね。どうやら、根村くんの当て逃げは少し、事件と関係があってね。」
事件…………?
中井雄也
「まあ、用件は済んだ。この辺で失礼するよ。」
そう言って、中井さんは病室をあとにする。
真瀬志奈
「根村さん…………とにかく無事で良かったです。」
根村ユウタ
「すまない…………。」
真瀬志奈
「やっぱり…………根村さん、狙われているんですか?」
根村ユウタ
「…………それを…………どこで…………?」
私は、木沢さんと先生方を病室から出るように促して、出てってもらった。
そして、私は根村さんの過去を聞く。
根村さんはとある研究のサンプルとして扱われ、逃げ出した過去があり、研究所から懸賞金がかかっている。その懸賞金のために、根村さんのことを狙う学生が何人かいるという噂と言うこと。
酷ではあるが、根村さんに私が知ったことをありのまま話した。そして、根村さんは話を聞くにつれ、表情が暗くなっていた。
真瀬志奈
「根村さん…………。」
根村ユウタ
「……………………。」
根村さんは重たい口を開いた。
根村ユウタ
「嫌いに…………なったか…………?」
真瀬志奈
「いいえ。そんなことはないです。」
私は真剣に答える。この半年、根村さんとの関わりはとても大きい。そんなことで嫌いになってたまるものか。
根村ユウタ
「良いのか…………自分の…………ことを…………信じてくれるのか…………?」
真瀬志奈
「もちろんです。根村さんのこと、大切に思っています。」
根村ユウタ
「…………ありがとう…………。自分は…………もう…………逃げない…………一緒に…………いてくれないか…………?」
真瀬志奈
「はい。これからもよろしくお願いします。」
根村ユウタ
「ありがとう…………。志奈。」
夢野マナカ
「あの…………ユウタ。」
根村ユウタ
「マナカ…………?」
夢野マナカ
「私…………メルマだってこと言おうと思う。真瀬さんにも言って、本当に自分が…………やりたいことをやろうと思うの。」
根村ユウタ
「そうか…………マナカ…………頑張れ…………自分も…………頑張る…………。」
根村さんと夢野さんは、お互いに見つめ合い、お互いに笑みを浮かべた。2人とも、何かが吹っ切れたみたいだ。
真瀬志奈
「良かった…………とりあえず安静にしてくださいね。」
根村ユウタ
「ああ…………。」
私は病室をあとにした。
来川医療センター 玄関
玄関の外に出る。根村さんの安否がわかった私は少しだけ肩の荷が下りたような気がした。
真瀬志奈
「ふぅ…………。」
そのとき、辺り一面が光に包まれた。
真瀬志奈
「な、何…………!?」
光が消えると、そこには1人の男性がいた。
??
「いつもとは違う場所だな…………。」
真瀬志奈
「…………あの、あなたは…………?」
虹谷サイ
「ああ。紹介が遅れたね。僕は、虹谷サイ(にじや さい)。ある人物を追いかけてここにやって来たんだ。」
ある人物…………?その人は一体…………?
真瀬志奈
「あの…………その人物って…………?」
虹谷サイ
「根村ユウタ。彼のことだよ。」
真瀬志奈
「根村さん…………!?」
虹谷サイ
「彼は、とても重たい罪を犯した。僕は彼を連れて行くよ。」
そう言って、虹谷と言う人は医療センターに入ろうとする。
私は思わず、虹谷と言う人の腕を掴む。
虹谷サイ
「何故、止めるんだい?これはきみにとっても大切なことだよ。」
真瀬志奈
「それでも…………。」
私はつい、生唾を飲む。
真瀬志奈
「私は…………根村さんがどんな人物なのか、この半年間で色々とわかりました。あの人は犯罪を起こすような人ではありません!」
虹谷サイ
「……………………。」
真瀬志奈
「お引き取り願います。私はとにかく、根村さんを信じています。」
虹谷と言う人は、私の言葉を聞いて深いため息をついた。
虹谷サイ
「仕方ない…………。今回も身を引こう。本当に後悔するのは自分だということを…………!」
そして、辺り一面がまた光に包まれた。
真瀬志奈
「くっ…………!」
光が消えると、虹谷と言う人は、いなくなっていた。
真瀬志奈
「何だったんだろう…………?」
そう思ったとき…………
ギギ……ガガ……
真瀬志奈
「えっ……!?」
この耳鳴りは……!?
ギギ……ガガ……
苦しい…………!
私は思わずしゃがみ込んでしまう。
成瀬実
「真瀬さん!大丈夫ですか!?」
病室をあとにした、成瀬先生が偶然、駆けつけてきてくれたところで意識が遠のいてしまう…………。




