第2章 臙脂色のダーツ(根村ユウタ編)後編
根村ユウタ
「はぁ…………はぁ…………。」
真瀬志奈
「大丈夫ですか?」
人気のいないところに着いた私たち。根村さんは運動不足なのか、息切れしている。
私は少し、心配をしてしまう。
真瀬志奈
「あの…………さっきの話は一体?」
根村さんは息切れしながらも答える。
根村ユウタ
「すまない…………今は…………答えられない…………。」
真瀬志奈
「根村さん…………。」
仕方ない。またいつかにしよう。
真瀬志奈
「わかりました。では…………落ち着いたら、学園に戻りましょう。」
根村ユウタ
「すまない…………すまない…………。」
根村さんは何度も謝る。何か秘密があるのだろうか?
不思議に思うまま、私たちは学園に戻る。
六郭星学園寮 ロビー
??
「門限ギリギリね。大丈夫だったの?」
学園の寮に戻ると、矢次由佳里先生が心配してくれた。
真瀬志奈
「大丈夫です。私は何とか…………。」
矢次由佳里
「やっぱり、ユウタのことで…………?」
真瀬志奈
「えっ、矢次先生知っているんですか?」
矢次由佳里
「まぁ…………でも、本人のことだから私が言うことではないわ。」
真瀬志奈
「そうですよね…………。」
私は、根村さんを見る。
根村ユウタ
「……………………。」
根村さんは何も言わない。やっぱり知られたくない秘密があるのだろう。
矢次由佳里
「…………さあ!もう夜も遅いし、部屋に戻って休みなさい。」
真瀬志奈
「そうですね…………。わかりました。根村さん。部屋に戻りましょう。」
根村ユウタ
「…………ああ。…………おやすみ。」
私たちはそれぞれの寮の部屋に戻った。
六郭星学園寮 志奈・マナカの部屋
真瀬志奈
「ただいま戻りました。」
夢野マナカ
「あっ。…………ちょっと!」
真瀬志奈
「えっ…………?」
夢野マナカ
「ご、ごめんね~。今日はこの辺で。良い夢を~!」
そう言って、夢野さんは何かを切った。
それよりもテンションが高かった。いつもとは違う夢野さんだったような…………。
真瀬志奈
「あの…………夢野さん。何をしていたんですか…………?」
夢野マナカ
「あ、それは…………ちょっと…………すみません。」
あまり話したくないみたいだ。こうなった以上は話を無理やり聞くことはできない。
真瀬志奈
「気にしないでください。聞かれたくないこともありますから。」
夢野マナカ
「あ…………ありがとうございます。」
すると、聞いたことのないサイレンの音が鳴った。
真瀬志奈
「これは…………一体…………?」
私たちは寮の廊下に出ると、サイレンを聞いた生徒たちも廊下にいた。
しばらくすると矢次先生が廊下を走りながら、避難勧告をする。
矢次由佳里
「危険な獣が現れたわ!急いで屋上へ避難して!!」
その避難指示を受け、私たちは屋上へ向かう。
六郭星学園 屋上
真瀬莉緒
「あっ。姉さん!」
真瀬志奈
「莉緒!無事だったのね。」
屋上には学園の生徒たちが避難していた。
屋上から校庭を見ると、先生方が獣を退治しようとしている。
それを見ていた、不知火さんたちが声を出す。
不知火カイル
「先生方、頑張っているね。」
内野タスク
「そうかもしれませんね。しかし…………。」
そう言いかけると内野さんはうずくまってしまう。
根村ユウタ
「大丈夫…………か…………?」
内野タスク
「あっ…………はい…………何とか…………。」
真瀬莉緒
「大丈夫かい?ブルーシートあるから、横になっても良いんだよ。」
内野タスク
「そうですね…………それよりも、木沢さんが…………。」
真瀬莉緒
「アカリ…………?」
私は木沢さんを見ると、どこか様子が変だった。冷や汗をかいている。いつもテンションが高い木沢さんとは何かが違う。
木沢アカリ
「……………………。」
冬原マイカ
「アカリ…………?大丈夫かい…………?」
木沢アカリ
「あっ、うん!気にしないでー!」
冬原マイカ
「そ、そうかい?それなら気にしないでおくよ。」
真瀬志奈
「……………………。」
やっぱり、みなさん何かを隠している気がする。
みなさん不安を抱えて生きているんだろうな…………。
そう考えていると、避難解除の指示を受ける。
根村ユウタ
「戻ろう…………。ここにいても…………。」
真瀬志奈
「そうですね。戻りましょうか。」
私たちはそれぞれの寮の部屋に戻る。
六郭星学園 音楽室
翌日…………私と根村さんは音楽室で、作曲の練習をしている。
根村ユウタ
「これを…………こうして…………。」
的確なアドバイスでどんどん曲が良くなっている。
真瀬志奈
「それでは、全体を通して演奏をしてみましょう。」
根村ユウタ
「名案だ…………頑張って…………曲を…………通そう。」
私たちは早速、全体を通して演奏を始める…………。
全体を通して、演奏した結果はとても良かった。
けれど、根村さんはまだまだ納得できていないようだ。
根村ユウタ
「まだまだ…………。これからだ…………まだ…………時間はある…………。手直し…………頑張ろう。」
真瀬志奈
「はい。頑張りましょう!私も頑張ります!」
根村ユウタ
「ああ…………。頑張ろう…………。」
全体練習を通した私たちは、さらなる高みを目指すために、練習を続ける。
根村さんは特に雑談は行わずに、ひたすら練習をしている。努力家の一面も持っているんだな。
根村さんの足を引っ張ることはしないように頑張ろうそう思った季節になった。




