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colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第1部 古金ミカ編
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第4章 オレンジ色のペンライト (古金ミカ編) 後編

温水プールを楽しんだあと、僕たちは自由行動になった。



リゾートホテル ミカの部屋前



自由行動になったため、僕とミカさんは荷物を取りにミカさんの部屋に向かった。


ミカさんの部屋の前に行くと、1人の女性が座り込んでいた。


真瀬莉緒

「……?あのー。すみません……どうかされました……」


その人の顔を見たとき、僕は驚いた。僕たちが元々この人に曲を書こうとしていた声優さんその人だったからだ。


古金ミカ

「あわわ……どうしたんですか!?大丈夫ですか?」


さすがのミカさんも慌てていた。


話を聞くと、ルームキーをどこかに忘れてしまい、確認するとマネージャーさんが持っており、来るのに今からあと30分ほどらしく、それまで待っていたらしい。


僕たちは声優さんを放っておくわけにもいかないので、マネージャーさんが来るまでの間、ミカさんの部屋で休んでもらうことを提案すると、感謝して、部屋に入っていった。



リゾートホテル ミカの部屋



ミカさんの部屋に入るやいなや声優さんは押しかけて申し訳ないと頭を下げて感謝してくれた。


古金ミカ

「いえ、大丈夫です。私の部屋でよければくつろいでください。」


ミカさんは声優さんの前なのか、TPOをわきまえているのか、いつもの様子とは違う。


声優さんはあたりを見渡しており、僕たちの書いた曲の楽譜に目に入った。


この曲は何なのかを聞くとミカさんはしっかりと答えた。


古金ミカ

「はい。この曲はこんな感じで……はい。」


ミカさんは声優さんからの質問にしっかりと1つ1つ答えていき、デモテープも聴いてもらった。


デモテープを聞いている際には声優さんは目を瞑り、真剣な様子で聞いていた。


デモテープを聴き終えると改めて声優さんは質問をして、歌詞はあるのかと聞いてきた。


古金ミカ

「はい……こちらに。」


歌詞に関しては初耳だ。ミカさんいつのまに……?

声優さんがいる前で言うのはあれなので、このことは黙っておくことにした。


声優さんは歌詞を見ていると、マネージャーさんが戻ってきた。


声優さんがマネージャーさんに耳打ちで話をすると、マネージャーさんはうんと頷き、ミカさんに携帯番号を教えて欲しいと言われた。


古金ミカ

「はい……。」


ミカさんはなにがなんだかわからないまま、番号を伝えた。


声優さんは、楽譜とデモテープを借りても大丈夫かと聞いた。


古金ミカ

「はい!ありがとうございます!」


ミカさんは喜びながら楽譜とデモテープを渡した。

楽譜とデモテープを借りたということは……その可能性があるため、僕も期待に胸が膨らむ。


マネージャーさんと声優さんはありがとうございましたと一礼をして、部屋へと戻っていった。

ドアが閉まったあと、ミカさんは元の様子に戻り……


古金ミカ

「うひょー!これは可能性大いにありだよ!」


ミカさんは喜びを隠せなかった。それもそうだ。僕も嬉しい。僕たちはワクワクしながら、ホテルの庭で花火大会があるためそれぞれの部屋に戻り季節外れの浴衣に着替えた。


リゾートホテル 庭


ホテルマン

「それではこれより、打ち上げ花火を行います!」


ホテルマンはそれをいうと、花火職人の人に合図をして、打ち上げ花火を花火職人の人があげる。


ピューードーン!!


打ち上げ花火が始まった。


星野シキア

「綺麗ね……。」


星野さんがそういう、そしてミカさんも珍しく花火に見惚れていた。


ミカさんの浴衣はオレンジ色の浴衣だった。とても可愛らしい浴衣だった。


古金ミカ

「きれい……ですな。」


真瀬莉緒

「そう……だね。」


古金ミカ

「…………もっと大きく見れる場所に行こうじゃないか!」


そういうと、ミカさんは打ち上げ花火が見れる周りには誰もいない場所に連れて行かれる。


古金ミカ

「ついた……。」


打ち上げ花火を見るととても大きく、きれいに輝いていた。


僕たちはしばらくの間、それを見ていた。季節はずれの花火はとても大きく……浴衣でも寒さを感じないほど暖かい……


古金ミカ

「莉緒っち……あのさ……」


真瀬莉緒

「ん……?」


古金ミカ

「卒業……ら……私……ない?」


真瀬莉緒

「え……?」


花火の音で聞こえなかった。


古金ミカ

「答えは……卒業した時に話して欲しいな……。」


真瀬莉緒

「…………わかったよ。」


何かわからなかったが僕は、はいと言ってしまった。


どんなことなのかはわからないが、卒業式までどんなことか考えることにした。



六郭星学園 大講堂


旅行が終わり、数日後……


いよいよ、課題発表当日になった。課題はKクラスから1ペアずつ発表していき、そこからJクラス、Iクラスといき、Sクラスと回っていく。1ペアずつなので3日間に分けて発表をしていく。つまり……クラス単位だとトップバッターだ。


いきなりクラスの子たちの出番が回っていく……


まず先に来川さんのペアが発表していく。来川さんたちは戦国武将の甲冑を再現した模型を作った。


夜坂ケント

「来川のやつ……とんでもないものを作ったな……。」


夜坂さんが少し嬉しそうに見ている。古くからの知り合いの夜坂さんから見ると来川さんは変わったんだろう。


中盤に入ると星野さんのペアの順番になった。

星野さんのペアはマジックショーを披露した。


月川タクト

「へえ……シキアのやつ、こんなことするんだ。」


月川さんが嬉しそうにそう言っていた。


そして……いよいよ僕たちの順番だ。クラスではトリをとることになった。


古金ミカ

「莉緒っち!準備はできるかな?」


真瀬莉緒

「もちろん!準備はできているよ!」


古金ミカ

「よし……じゃあ……よろしくね!」


真瀬莉緒

「はい!」


僕たちはステージに立ち、ピアノとバイオリンの前に立つ。



そして、合図をだして、演奏をする――




演奏が終わった――――他のみんなの反応は……


男子生徒A

「すげぇ……あいつ……こんな曲を作れるのか!」


女子生徒A

「すごーい!感動した!……古金さんすごい!」


全員から驚いており、そのあと拍手喝采が鳴り止まない。

僕たちは…………感動できる曲を弾けたんだ……!


笛花奏

「良かった……本当に良かった……!」


鹿崎咲也

「良かったな。古金のやつも生き生きとしてる。真瀬の弟のおかげかもな。」


笛花奏

「ええ……そうね……。」


ステージを後にすると僕たちはお互いを労った。


古金ミカ

「莉緒っち!ありがとう!」


真瀬莉緒

「こちらこそ!」


お互いに労ったあと、強く握手をした。


しばらくすると……ミカさんの携帯が鳴る。


古金ミカ

「はい。古金ですが……。…………えぇ!?本当ですか!?」


ミカさんが驚いている。何かあったんだろうか?


古金ミカ

「はい。ありがとうございます!失礼します!」


真瀬莉緒

「……?どうかしたの?」


古金ミカ

「この間の声優さんとのやりとり覚えている?」


真瀬莉緒

「ああ、はい。それで……?」


古金ミカ

「私たちの作った曲……正式に歌うことになったそうでーす!!」


真瀬莉緒

「ええ!?」


想像を超えるようなことだった……。まさか、あの人がこの曲を……!嬉しいに決まっている!


真瀬莉緒

「ミカさん!」


古金ミカ

「ええ!」


僕たちは改めて固い握手を交わした。


そして……数日後……。


六郭星学園 大講堂



楽しい時間が終わり、いよいよ卒業式。

SクラスからKクラスまで全クラスの生徒がずらりと並ぶ。


笛花奏

「ただいまより、六郭星学園卒業式を行います。」


卒業式が始まる。1年間ではあるが、このクラスに出会えてよかったと実感する。


1人1人名前が呼ばれていく。


笛花奏

「真瀬莉緒」


真瀬莉緒

「はい。」


始めに男子が呼ばれる……そして、みんなの名前もそれぞれ呼ばれる。


笛花奏

「古金ミカ」


古金ミカ

「は〜い。」


笛花奏

「星野シキア」


星野シキア

「はい。」


笛花奏

「来川ナナ」


来川ナナ

「はい。」


そうか……卒業するんだ……。そう思うと悲しみに溢れていく……






笛花奏

「以上で卒業式を終了いたします。」


そして、あっという間に卒業式が終わる。

本当にあっという間だった。卒業式も学校生活も。


ただ……唯一の救いは……。


古金ミカ

「うほー!みんな同じ大学に通うんだね!」


来川ナナ

「ええ、まさかテスト上位の50人全員が同じ大学に通うことになるなんて……。」


星野シキア

「現実は小説より奇なり……ね。」


そう、みんな一緒の大学。なのでほとんどは別れの挨拶などはなかった。おまけに姉さんたちも同じ大学だ。


星野シキア

「それより……今度のコンサートでミカたちの曲を歌うんでしょう。」


真瀬莉緒

「はい。チケットも関係者チケットでもらいました。」


古金ミカ

「うほほーい!楽しみですなあ!」


来川ナナ

「ミカ。コンサートではそのはしたないのはやめてね。」


古金ミカ

「はいはい。」


星野シキア

「ふふ……楽しみね。」


真瀬莉緒

「はい。」



コンサート会場



コンサートに呼ばれた僕らは関係者席に案内された。


そして、そこには曲を提供した声優さんがいた。


僕たちは声優さんによろしくお願いいたしますと頭を下げると、声優さんも一礼をしてくれた。


そのあとすぐに声優さんはマネージャーに呼ばれ、ステージの方へと行った。


古金ミカ

「いよいよ……ね。」


さすがのミカさんもここでは真面目モードだ。


真瀬莉緒

「はい。僕らの歌がどんな歌になるか……楽しみだね。」


僕たちは期待を胸に乗せて、座席の方へ座った。


古金ミカ

「はい。これ……」


真瀬莉緒

「お、ペンライト……。」


そのペンライトはオレンジ色だけ光るペンライトだった。


古金ミカ

「普段はペンライトないけど、今回はオレンジ色だけ、OKになったの。」


真瀬莉緒

「え?オレンジ色だけ……?」


古金ミカ

「何でオレンジ色だけ?って顔をしてるわね。」


真瀬莉緒

「まあ……うん。」


古金ミカ

「見てて。始まったらすぐにわかるから……。」


そして、開演のブザーがなる。

白い煙幕があたりを包み、迫り出しがあがり、声優さんが現れる。


女性声優

「覚悟はいいかしら?彼女の思いと共に……この歌を届けます!」


その一言をいうと僕たちが作った曲が流れる……



曲が終わった……曲の歌詞を聴いてはっきりとわかった。


………………ミカさん。思いは伝わった……けれど、今はライブを楽しまないと……!


ライブが終わり、僕たちは帰路に着く。


その帰りの道中で、僕たちは公園のベンチに座る。


お互いに何をいうか戸惑っていた。ここは先陣を切って、いうか……


古金ミカ

「莉緒っち!」


真瀬莉緒

「ミカさん……。」


先にミカさんが口を開いた。おそらく言いたいことはわかっている……はず。


古金ミカ

「莉緒っち……なんて言えばわからない……長く言うこともできないから単刀直入に言うね。」


真瀬莉緒

「ミカさん……。」


古金ミカ

「莉緒っち!好きだー!!」


真瀬莉緒

「ミカさん……!」


古金ミカ

「好きで好きで仕方ないです!こんなポンコツな私だけど……どうですか……な。」


ミカさん……いや、ミカ……そんなの決まっているじゃないか。


真瀬莉緒

「もちろん……。どんなことがあっても、また性格が変わったとしても、僕は守ります!」


古金ミカ

「莉緒!」


真瀬莉緒

「ミカ!」


僕たちは公園の中で熱く抱きしめあった……。







虹谷アヤ

「うーん………彼女は違うのね……。とすると他の人ね……。さあ、行きましょうか。」


古金ミカ編 完

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