第3章 山吹色の落ち葉(夢野マナカ編)前編
秋。作曲は順調に進んでいる。綺羅星メルマ…………メルマが夢野さんと知った僕。僕は気にしないとは言ったが、やっぱり心の中でドキドキしている。そんな感情を抱きながら、僕たちは課題の作曲に向けて練習をする。
六郭星学園 音楽室
夢野マナカ
「……………………。」
夢野さんが真剣な様子で演奏をする。
…………ダメだ。メルマが頭によぎる。
夢野マナカ
「どうしました?…………何か顔についてますか?」
真瀬莉緒
「えっ…………いえ。何でもありません。続けましょう。」
夢野さんはメルマのことをあまり良く思っていない。それは一体、どうしてだろう?
夢野マナカ
「ふぅ…………切り上げましょう。…………真瀬さんも疲れたはずです。…………今日は部屋に戻って、休みましょう。」
真瀬莉緒
「はい…………。」
六郭星学園 中庭
真瀬莉緒
「ふぅ…………秋風が涼しい。」
そんなことを思っていると、中庭で何かを話している物陰があった。
真瀬莉緒
「夢野さんだ。」
何か話している。もう一つの影は間宮先生だ。
何を話しているんだろう。
間宮舞来
「そうだったんですね…………。それで…………?彼のことを…………?」
彼のこと…………?誰のことだろう。
夢野マナカ
「はい…………。ただ、彼女は許してくれない…………はずです。」
間宮舞来
「三蜂さん…………ですね。」
夢野マナカ
「でも…………私は…………。」
真瀬莉緒
「……………………。」
他人のプライバシーに聞き入ってはいけない。僕は部屋に戻って休もう。
僕は気づかれないように寮の方へ向かった。
六郭星学園寮 莉緒・ユウタの部屋
根村ユウタ
「おかえり…………。」
真瀬莉緒
「ただいま戻りました。」
根村ユウタ
「マナカ…………課題は…………?」
真瀬莉緒
「えっ…………夢野さんとの課題は順調かって話ですか?」
根村ユウタ
「鋭い…………。」
半年も一緒にいるんだ。このぐらいわかる。
真瀬莉緒
「順調ですよ。とても勢いよく進んでいます。」
根村ユウタ
「そうか…………夢が…………叶うのか…………。」
真瀬莉緒
「夢…………?」
僕は初めてのフレーズに疑問を覚える。夢野さんには夢があるのかな…………?
真瀬莉緒
「夢って、何ですか?」
根村ユウタ
「……………………失言…………した…………。」
真瀬莉緒
「……………………。」
根村さんは何も言わない…………と、思ったらこんな話をする。
根村ユウタ
「勝負…………しないか…………?」
真瀬莉緒
「勝負ですか?」
根村ユウタ
「勝ったら…………教える…………。負けたら…………教えない…………。」
夢野さんの夢についてだろうか?なら…………。
真瀬莉緒
「わかりました。勝負しましょう。」
僕たちはゲームで勝負する。
真瀬莉緒
「勝った…………。」
勝負の結果は僕の勝利だった。
真瀬莉緒
「勝ちました。教えていただけますか?」
根村ユウタ
「わかった…………教えよう…………マナカの…………夢を…………。」
僕は夢野さんの夢について色々と聞く。
六郭星学園 中庭
夢野さんのことを聞いた僕は、なんとなく中庭に向かった。
しかし…………。
真瀬莉緒
「夢野さん…………。」
夢野さんのことを考えていると、辺り一面が光に包まれた。
座ろうとしたときに、辺りが一面、光に包まれた…………。
真瀬莉緒
「な、なんだ…………!?」
??
「ふぅ…………これで何度目かしらね。」
光が消えると、見知らぬ女性がいた。
真瀬莉緒
「あ、あなたは一体…………?学校関係者じゃないですよね?」
虹谷アヤ
「真瀬莉緒…………私の名前は虹谷アヤ(にじや あや)。私はあることのためにここに来たの。」
唐突な話でついていけない…………どうして僕の名前を?それもそうだけど、あることのためとは…………?
真瀬莉緒
「あることって一体?」
虹谷アヤ
「あることって簡単に言うと、容疑者の捕獲ね。」
真瀬莉緒
「容疑者の捕獲…………?その容疑者って?」
虹谷アヤ
「決まっているわ、夢野マナカ。彼女よ。」
真瀬莉緒
「夢野さん…………!?どうしてですか!?」
僕はつい声を荒げた。
虹谷アヤ
「理由は言えない。けど…………彼女を連れて行く。それだけ。…………じゃあ、連れて行くわね。」
真瀬莉緒
「待ってください。」
僕は虹谷と言う名の人の目の前に立ちふさがる。
虹谷アヤ
「どうして彼女を守るの?」
真瀬莉緒
「僕は夢野さんにどんな罪があろうと、容疑ならば僕は止めます。」
虹谷アヤ
「……………………。」
真瀬莉緒
「証拠もないのに、犯人呼ばわりはダメです。どうかお引き取り願います。」
虹谷アヤ
「またね…………。その信じることが最大の後悔よ。」
真瀬莉緒
「……………………。」
虹谷アヤ
「まあ、良いわ。今日はこの辺で失礼するわ。またどこかで。」
すると、再び辺り一面が光に包まれる。またその光は消えると、虹谷と言う人もいなくなっていた。
真瀬莉緒
「……………………何だ一体…………?」
不思議に思うと、今度は…………。
ギギ……ガガ…………。
真瀬莉緒
「えっ…………。」
ギギ……ガガ…………。
耳鳴り……?くっ……苦しい……!
ギギ……ガガ…………。
真瀬莉緒
「ぐっ……ああああ…………!」
真瀬志奈
「莉緒!?」
僕は倒れる寸前に姉さんに支えられた。
真瀬志奈
「莉緒…………!しっかりして莉緒…………!」
真瀬莉緒
「ね、姉さん…………?」
真瀬志奈
「良かった…………無事で…………。」
真瀬莉緒
「迷惑…………かけちゃったね。」
僕は身体を起こした。
真瀬志奈
「大丈夫?色々と心配事が重なったの?」
真瀬莉緒
「うん…………姉さんは…………。夢野さんのことどう思っているの?」
僕は何気なく、姉さんに聞いてみた。
真瀬志奈
「マナカ?…………大人しくて、とても優しいわよ。」
真瀬莉緒
「……………………。」
どうやら姉さんは知らないようだ。僕と根村さんが知っている…………秘密。
真瀬莉緒
「そうか…………ごめんね。色々と心配かけて。」
真瀬志奈
「いいのよ。じゃあ、体調に気をつけて…………。」
そう言って、姉さんは寮の方に向かった。
真瀬莉緒
「さて、教室に…………。」
すると、うしろから声をかけられる。その声は聞き覚えのある声だった。
夢野マナカ
「真瀬さん…………。」
真瀬莉緒
「夢野さん…………!」




