第1章 ピンクのスイートピー(夢野マナカ編)後編
六郭星学園寮 莉緒・ユウタの部屋
真瀬莉緒
「ここが僕の部屋か…………。」
パンフレットによると、部屋は広くリビングとベッドルームが2部屋あり、両方防音になっているらしいのでベッドルームからもう一つのベッドルームからは何も聞こえない。この部屋に2人1組というのがこの寮のルールらしい。
真瀬莉緒
「根村さんはまだかな…………?」
僕は部屋のドアを開ける。
ドアを開けるとそこには男子生徒がいた。
真瀬莉緒
「あっ、どうもこんばんは…………。」
根村ユウタ
「どうも…………。」
暗めの男子生徒だ。ラベンダー色のネクタイをしている。
真瀬莉緒
「真瀬莉緒です。よろしくお願いします。」
根村ユウタ
「根村…………ユウタだ…………。よろしく…………お願いする。」
真瀬莉緒
「はい…………。」
無口な人なんだろう。頑張って話しているところが感じられる。
根村ユウタ
「出かける…………。戸締りを…………頼む。」
真瀬莉緒
「あっ、はい。わかりました…………。」
僕は承諾をすると、根村さんはどこかに出かけた。
真瀬莉緒
「さて…………メルマでも見るか。」
メルマとは、Vtuberのことである。つまり、Vtuberの動画鑑賞だ。
名前は綺羅星メルマ(きらぼし めるま)。ここ最近で登録者数が60万人を超えた、今1番勢いのある女性Vtuberだ。
綺羅星メルマ
「星々のみんな〜!みんなのアース。綺羅星メルマで〜す!」
いつものかけ声にいつもの挨拶。最近の心の拠り所だ。
綺羅星メルマ……癒されるな……。
動画配信を見ている最中に、根村さんが帰って来る。
根村ユウタ
「……………………。メルマか…………。」
真瀬莉緒
「根村さん…………。はい。メルマですけど…………。」
根村さんは何かを考えていた。
根村ユウタ
「メルマは…………あまり好きではない…………。」
真瀬莉緒
「そうなんですね…………。」
根村ユウタ
「すまない…………。メルマ…………マナカには…………話さないでくれ。」
真瀬莉緒
「えっ…………夢野さんはメルマが嫌いなんですか?」
根村ユウタ
「それは…………うん…………。」
真瀬莉緒
「わかりました…………本人の事情があるんですよね。気をつけます。」
根村ユウタ
「すまない…………何度も。」
真瀬莉緒
「いえ…………。では、ベッドルームに行きますね。」
そう言ってパジャマになり、ベッドにもぐりこんだ。
僕は改めて、メルマの配信を見直す。
綺羅星メルマ
「星々のみんな~。今日もお疲れさまでした!良い夢を~!!」
どうやら配信が終了したみたいだ。ところどころ見れていないな…………。まあ、アーカイブで何とか見るか。
そのまま僕は眠りについた。
六郭星学園 Jクラス教室
教室に入ると、夢野さんたちがいた。
夢野マナカ
「おはようございます…………。」
木沢アカリ
「おっはよー!!」
真瀬莉緒
「おはようございます。みなさん朝早くから集まって、どうかしたんですか?」
冬原マイカ
「今日は少し、アウトレットモールに行こうかと思ってねぇ。莉緒もどうだい?」
真瀬莉緒
「みなさんがよければ…………。お願いいたします。」
木沢アカリ
「莉緒くんも行こうよー!みんなで行けば楽しいよ!!」
夢野マナカ
「はい…………そうですね。反対はしませんよ…………。」
真瀬莉緒
「はい。ありがとうございます。では、放課後に行きましょう。」
冬原マイカ
「待っているわよぉ。」
こうして、授業を受けた僕たちは、アウトレットモールに向かうことにした。
アウトレットモール
アウトレットモールに来た僕たちは大広間に行くことにした。
真瀬莉緒
「何かのイベントがあるんですか?」
冬原マイカ
「まあね。メルマさ。」
真瀬莉緒
「メルマですか!?…………いえ、なんでもありません。」
木沢アカリ
「メルマね…………ウチも楽しみね!!」
夢野マナカ
「……………………。」
夢野さんは少し表情が暗い。夢野さんはメルマが少し苦手なんだ。
メルマは気になるが…………僕は…………。
真瀬莉緒
「冬原さん。夢野さんと少し、外を歩いてきます。」
冬原マイカ
「そうかい?…………まあ良いわ。頼むわねぇ。」
僕は夢野さんを連れて、花畑広場に行く。
花畑広場
真瀬莉緒
「すみません。根村さんから聞きました。メルマのことを。」
夢野マナカ
「そうでしたか…………。すみません。ありがとうございます。」
真瀬莉緒
「いえ…………それにしても、ここは素敵な花々が多いですね。」
夢野マナカ
「はい…………とても、素敵です。」
僕はピンクのスイートピーを見てそう思った。しかし、この時期に咲いているとは…………少し遅めの咲きだ。
夢野さんは、すみれを見ている。とても嬉しそうだ。
真瀬莉緒
「すみれが好きなんですか?」
夢野マナカ
「すみれと言うよりも…………この紫色が好きです。」
真瀬莉緒
「紫ですか…………?」
夢野マナカ
「正確にはラベンダー色が好きなんです。ラベンダーは淡い紫の色で心が落ち着きます。ユウタも好きみたいですよ。彼、ラベンダー色のネクタイをしてますから。」
真瀬莉緒
「そうですか。確かに、ラベンダー色のネクタイをしていますね。僕もラベンダー色は好きです。」
夢野マナカ
「ありがとうございます。…………気遣いのできる優しい人なんですね。真瀬さんは。」
真瀬莉緒
「そんなことは…………。」
そんなことはない、と言おうとしたら冬原さんと木沢さんも花畑にやって来た。
冬原マイカ
「メルマのイベント終わったよぉ。」
木沢アカリ
「お!マナカも楽しそうだね!」
夢野マナカ
「はい。とても、心が落ち着きました。」
冬原マイカ
「莉緒。ありがとうねぇ。」
真瀬莉緒
「いえ、では、そろそろ帰りましょうか。」
木沢アカリ
「その様子だと、何かが閃いたみたいだね!応援しているよ!」
真瀬莉緒
「はい。期待していてくださいね。」
僕はそう言って、学園に戻ることにした。
六郭星学園寮 莉緒・ユウタの部屋
真瀬莉緒
「よし…………。できた。」
寮に戻ってから、僕は作曲のベースを作っていた。
木沢さんに言われた通り、僕は曲のベースが閃いていた。
完成したとき、根村さんは楽器を持っていた。
真瀬莉緒
「根村さん。その楽器は?」
根村ユウタ
「趣味で…………演奏している。」
根村さんも音楽の知識はあるみたいだ。ちょっと聞いてもらおうかな?
真瀬莉緒
「ちょっと聞いてもらえませんか?ちょうどベースができていた頃合いなんです。」
根村ユウタ
「わかった…………。」
僕はベースを根村さんに聞いてもらう…………。
演奏が終わり、根村さんは頷いていた。
根村ユウタ
「さすが…………真瀬莉緒…………。姉の志奈に…………負けず劣らず…………。」
真瀬莉緒
「ありがとうございます。」
根村ユウタ
「この曲は…………マナカっぽく…………その声優さんっぽい…………。その演奏には…………マナカが必要…………。」
真瀬莉緒
「はい。今度、夢野さんにも聞いてもらいます。」
根村ユウタ
「ああ…………。期待…………している。」
真瀬莉緒
「ふぅ…………。」
アウトレットモールに帰ってからの作業だ。結構な疲労が強い。僕はゆっくり休むことにした。




