第３章 白い平穏へ（不知火カイル編）後編
一体…………どうしたら…………！？
すると、１つの影が見える。
不知火カイル
「無事か…………志奈！？」
不知火さんだった。
真瀬志奈
「不知火さん！」
不知火カイル
「貴様…………！！」
成瀬実
「ダメです！！」
成瀬先生もあとを追ってきた。不知火さんは手を上げようとしたところを成瀬先生が止める。
成瀬実
「手を上げるのは危険です。やめてください。」
不知火カイル
「成瀬先生…………。」
手を上げるのをやめた不知火さんは縛られていたロープをほどいてくれた。
女子生徒
「ふん…………これに懲りたら、少しは…………。」
成瀬実
「ふん…………！！」
女子生徒
「……………………！！」
成瀬先生が女子生徒に平手打ちをする。
真瀬志奈
「な、成瀬先生！」
女子生徒
「先生でしょ！？手を上げたわね！訴えるわよ！！柳原先生も見ていたでしょ！？」
駆けつけた柳原先生。しかし、柳原先生は…………。
柳原悠香
「さあ？一体？」
女子生徒
「…………！？」
多くの先生方と、崎盾さんがやって来て、女子生徒は連行される。
崎盾ジュン
「良かった…………。」
不知火カイル
「ジュン…………ありがとう。」
崎盾ジュン
「今回のことで色々と退学者が出ることになったよ。真瀬さんに対しての嫌がらせでね。」
真瀬志奈
「ありがとうございます。…………助かった…………のね。」
不知火カイル
「そうだね。良かった…………。」
とりあえずは一安心だ。そう思ったとき。
ギギ……ガガ……
真瀬志奈
「えっ……！？」
この耳鳴りは……！？
ギギ……ガガ……
苦しい…………！
そのまま意識が遠のく。
六郭星学園寮 志奈・マイカの部屋
真瀬志奈
「うっ…………うーん…………。」
気がつくと、寮の部屋の中だった。
冬原マイカ
「志奈！」
真瀬志奈
「あっ、冬原さん。」
冬原マイカ
「気がついたのねぇ。良かったわ。」
真瀬志奈
「これで…………終わったんですよね。嫌がらせも。」
冬原マイカ
「ええ。これで、何もかも終わったわ。カイルもきっと喜んでいるわぁ。」
真瀬志奈
「はい。これで、またみなさんと一緒に学園生活を送ることができます。」
冬原マイカ
「そうねぇ。カイルも嬉しいでしょ？」
真瀬志奈
「不知火さん？」
ベッドルームのドアが開くと、そこには不知火さんがいた。
不知火カイル
「良かったよ…………これで…………。」
真瀬志奈
「…………はい。」
冬原マイカ
「あとは２人の時間を楽しんで。私はこの辺で…………。」
不知火カイル
「マイカ…………僕がいない間、ありがとう。志奈を守ってくれて。」
冬原マイカ
「…………どういたしまして。」
冬原さんは微笑んだ。笑みを浮かべながら、その場を離れた。
真瀬志奈
「そういえば…………課題の話ですけれど。完成しましたよ。」
不知火カイル
「ああ。曲のことかい？それなら、音楽室に行こう。話はそれからだ。」
真瀬志奈
「そうですね。音楽室に行きましょう！」
私たちは音楽室に向かう。
六郭星学園 音楽室
真瀬志奈
「はい…………では、この演奏を聞いてください。」
不知火カイル
「ああ。聞かせてほしいな。」
真瀬志奈
「では……………………。」
私は早速、演奏を始める。
演奏が終わると、不知火さんは拍手をしていた。
不知火カイル
「さすがだよ。志奈。きみは想像の倍を超える素晴らしさを見せる。」
真瀬志奈
「ありがとうございます。私…………声優さんもそうですけれど、不知火さんのことも想って作りました。」
不知火カイル
「僕のことを…………？そうか…………。」
真瀬志奈
「これなら、声優さんも満足の楽曲になります。不知火さん。」
不知火カイル
「…………楽器を貸してくれないか？」
真瀬志奈
「は、はい。…………どうぞ。」
不知火さんは楽器を手に取ると、この作った曲を演奏する。
真瀬志奈
「……………………すごいです。」
不知火さんの演奏は前以上に凌駕する演奏だった。とても素晴らしい。
不知火カイル
「どうだい？僕…………上手くなっているかな？」
真瀬志奈
「それはもう…………私の想像以上です。」
不知火カイル
「ははは…………。同じこと言っているね。」
真瀬志奈
「本当ですね。ふふふ…………。」
私たちはお互いに照れ笑いして、音楽室の片づけをする。
すると、そこに成瀬先生がやって来た。
真瀬志奈
「成瀬先生。どうかしましたか？」
成瀬実
「２人とも少し、お耳に入れてほしいことが…………。」
真瀬志奈
「何ですか？」
成瀬実
「それがですね…………。」
成瀬先生の話を聞くと、卒業式前に、有志のパーティーが行われるらしい。私たちも参加するのはどうかという、お誘いだった。
成瀬実
「どうでしょうか？」
パーティーか…………あまり好きではないけれど…………。せっかくの機会だから参加をしよう。
真瀬志奈
「わかりました。参加します！」
不知火カイル
「志奈が参加するなら、僕も参加します。」
成瀬実
「わかりました…………では、その日を楽しみにしていてくださいね。ようやく平穏が訪れましたからね…………。」
真瀬志奈
「はい。…………ありがとうございます。」
成瀬実
「それと、声優さんが近々、この学校に来ます。歌詞の準備できていますか？」
真瀬志奈
「歌詞ですか…………ああ。」
そう言えば歌詞はまだ書いていなかったな…………。どうしよう…………。」
不知火カイル
「歌詞はできています。そちらを声優さんに聞いていただきます。」
真瀬志奈
「えっ…………。」
不知火さん。いつの間に…………。
成瀬実
「そうですか。では、その日も頑張ってください。…………では。失礼します。」
成瀬先生は音楽室をあとにした。
真瀬志奈
「不知火さん…………歌詞はどんな内容ですか？」
不知火カイル
「それは…………今はまだ言えない。来るときが来たら話すよ。」
真瀬志奈
「わかりました…………。そのときを楽しみにしています。」
不知火さんの書いた歌詞を楽しみにしながら、残りの学生生活を満喫します…………。
