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colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第5部 不知火カイル編
301/351

第2章 グレーな日々のはじまり(不知火カイル編)中編

六郭星学園 音楽室



不知火カイル

「おお…………これが、作った曲…………!」


大運動会が終わって、数日。私は不知火さんに聞いてもらった。


真瀬志奈

「お気に召していただき嬉しいです。」


不知火カイル

「うん…………そうだね。この曲調でいこう。きっと喜ぶよ。声優さんも聞くファンの人も。」


不知火さんはどこか上の空で話していた。何か考えごとだろうか?


真瀬志奈

「あの…………不知火さん?」


不知火カイル

「ああ。ごめんね。練習…………しようか。」


真瀬志奈

「そうですね。練習しましょう。」


私と不知火さんは曲の練習を行った。不知火さんの演奏はとても巧みな技術で圧巻させられる。


その上に呑み込みが早い。もう自分のモノになろうとしている。


真瀬志奈

「すごいです…………。不知火さん。」


不知火カイル

「ありがとう。でも、まだまだだよ。もっと頑張っていかないと。」


真瀬志奈

「…………わかりました。ただ今日はこれで切り上げましょう。練習のし過ぎも逆効果になりますからね。」


不知火カイル

「ああ…………そうだね。じゃあ、寮に戻ろうか。」


真瀬志奈

「はい。」


私たちは音楽室から出る。廊下を歩くと、そこにたくさんの女子生徒がやって来た。


女子生徒A

「不知火さん!これ…………受け取ってください!」


不知火さんは笑顔になる。


不知火カイル

「ありがとう!大切に読むね!」


女子生徒B

「カイルさん!これ作って来たんです!ぜひ食べてください!」


不知火カイル

「ありがとう!いただくね!」


不知火さんはモテモテだ。すごい人なんだな…………。


女子生徒C

「あんた、カイルさんのパートナー?」


唐突に1人の女子生徒が話しかけてきた。


真瀬志奈

「はい…………そうですが…………?」


女子生徒C

「あんた。調子乗らないでよね!カイルさんと一緒だからって、あなただけにカイルさんを独り占めはさせないんだから!!」


真瀬志奈

「ひ…………独り占めって…………。」


女子生徒C

「こんなもの、破り捨ててあげるわ!!」


真瀬志奈

「きゃあ!やめてください!」


横暴な女子生徒が楽譜を取り上げる。不知火さんもそれに気づき、止めようとするが他の女子生徒が邪魔をして身動きが取れない。


真瀬志奈

「やめて…………。」


破られる…………そう思ったとき。1人の男子生徒が楽譜を奪い取る。


??

「馬鹿な真似はやめるんだ!こんなことをして何になる!?生徒会として今の行動は看過できない!」


女子生徒C

「くっ…………。」


女子生徒たちは、生徒会のメンバーにこってりとお灸をすえられ、不知火さんのところから去った。


真瀬志奈

「あ、ありがとうございます。」


不知火カイル

「ありがとう。副会長。」


真瀬志奈

「ふ、副会長でしたか!?すみません。改めてお礼します。」


崎盾ジュン

「いいんだよ。僕は、崎盾ジュン(さきだて じゅん)。よろしくね。それじゃあこの辺で。」


崎盾さんも奥の廊下へ向かう。


不知火カイル

「ごめんね…………志奈のこと守ってやれなかった。」


真瀬志奈

「無理もないですよ。あんなに女子生徒たちに阻まれていたんですから。」


不知火カイル

「うん…………。でも、生徒会のツテもできたし、お灸も据えてくれた。しばらくは大丈夫だよ。」


真瀬志奈

「そうですね。じゃあ、改めて帰りましょうか。」


私たちは寮の方へ戻った。



六郭星学園寮 志奈・マイカの部屋



真瀬志奈

「ただいま帰りました。」


冬原マイカ

「ああ。おかえり。」


冬原さんは暖かく迎えてくれた。


冬原マイカ

「その様子だと、カイルに演奏を聞いてもらったみたいだねぇ。」


真瀬志奈

「はい。すごいですよ。不知火さんの演奏技術は!」


冬原さんに不知火さんの演奏技術のすごさを聞いてもらった。


冬原マイカ

「そうかい…………。それはなによりだねぇ。」


真瀬志奈

「はい。とても楽しく練習できました。これからも楽しみです!」


冬原マイカ

「楽しそうで良かったよ。また頑張ってねぇ。」


真瀬志奈

「ありがとうございます。頑張ります!」


この日は充実した日を過ごすことができ、安らぎを味わいながら眠りについた。



六郭星学園 中庭



今日は不知火さんたちと水族館に遊びに行くことになった。バスに乗るため、私は中庭を通る。


真瀬志奈

「ふぅ…………暑い。」


今夏は特に暑い。急いで涼しいところに行こうと思ったが、莉緒に会った。


真瀬莉緒

「ああ。姉さん。久しぶり。」


真瀬志奈

「莉緒!久しぶりね。元気だった?」


真瀬莉緒

「うん。元気だよ。マイカの様子はどうだい?」


真瀬志奈

「冬原さんのこと?…………うん。元気よ。冬原さんが何か?」


真瀬莉緒

「ああ。俺、マイカと課題のペアなんだ。姉さんは?」


真瀬志奈

「私は不知火さんと。とても楽しいわよ!」


真瀬莉緒

「そうか…………。」


莉緒は浮かない顔をしている。


真瀬志奈

「どうしたの?」


真瀬莉緒

「ああ。ごめん。実はさ…………カイルのことなんだけど、ちょっと体調が優れないみたいでさ。」


真瀬志奈

「体調が?…………気になるわね。」


真瀬莉緒

「あの調子だけど、毎晩毎晩、女子生徒たちの手紙を夜中まで書いて睡眠不足なんだ。」


真瀬志奈

「それは大変ね…………。ちょっと本人にも聞かないと。」


真瀬莉緒

「うん。頼むね。…………ごめんね。時間を割いてくれて。楽しんできて!」


真瀬志奈

「ありがとう!行って来るわ!」


莉緒と別れた私は、不知火さんたちがいるところへ向かう。



六郭星学園 正門



不知火カイル

「ああ。待っていたよ!志奈!」


根村ユウタ

「待ったぞ…………。」


内野タスク

「何かあったんですか?少し考えているけれど…………。」


真瀬志奈

「いえ、大丈夫です。さあ!水族館に行きましょう!」


私の掛け声で、みなさんも頷き、水族館に向かうことにした。

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