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colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第1部 古金ミカ編
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第3章 山吹色の夕焼けで (古金ミカ編) 後編

真瀬莉緒

「それじゃあ行きましょう。」


古金ミカ

「はい。」


僕たちは中庭に出る。中庭には星野さんと来川さんがいた。


古金ミカ

「星野さん。来川さん。どうされましたか?」


星野シキア

「ええ、今はどうしたらあなたを救えるか考えていたの。」


古金ミカ

「私を……?」


来川ナナ

「何もできないかもしれないけど、私たちはあなたのことを待っているから……!」


古金ミカ

「…………。」


星野シキア

「莉緒……あとはよろしくね。」


来川ナナ

「頑張ってね。」


そう言うと星野さんと来川さんは去っていった。


真瀬莉緒

「散歩の続きをしましょう。」


古金ミカ

「はい。」


散歩を続けると、今度は姉さんがいた。


真瀬志奈

「ミカ。元気?」


古金ミカ

「はい。私は元気ですが……?」


真瀬志奈

「ミカね。私は待つことしかできない。これを乗り越えれるのはミカ次第。私はミカを信じているからね。莉緒……頼むわよ。」


姉さんもそう言うと去っていった。


中庭の階段近くに行くと今度は月川さんと夜坂さんに会った。


月川タクト

「やあ、古金さん。こうしてお話するのは初めてだね。」


古金ミカ

「はい。そうですね。」


夜坂ケント

「俺たちは古金とはあまり接点はないが、柊木がいつも心配していてな……。俺たちの友人が心配しているんだ。こっちも応援しないとな。」


月川タクト

「そうゆうこと。古金さん。アイもそうだけど、僕たちも元の古金さんに戻るのを楽しみにしているからね。」


夜坂ケント

「ああ……。頑張れよ。」


そして2人は去っていった。


古金ミカ

「先程から皆さんは何を考えているのでしょうか?」


真瀬莉緒

「さぁ……?…………気持ちはわからなくもないですけどね。」


そう言って散歩を続けた。気がつけば遠いところまで散歩をしていた。辺りは山の上の展望台だった。


そこには柊木さんがいた。


柊木アイ

「ミカ……。」


古金ミカ

「柊木さんも同じことを言うのですか?」


柊木アイ

「…………。」


真瀬莉緒

「違うよ。アイくんはそんなことはしない。」


柊木アイ

「莉緒くん……!」


真瀬莉緒

「古金さん……いや、ミカさん。僕はどんなミカさんでも構わない。他人に性格をどうこう言われる筋合いなんてないからね。」


古金ミカ

「…………。」


真瀬莉緒

「それでね。僕がミカさんと一緒に作ってきた曲を聞いて欲しいんだ。と言っても僕が少しアレンジを加えたけれど……」


古金ミカ

「…………。」


真瀬莉緒

「それで、この曲を聞いてミカさんにどうしてもらうか決めて欲しいんだ。」


古金ミカ

「……わかりました。」


真瀬莉緒

「ありがとう。じゃあ……弾くね。」


僕はミカさんへの思いを乗せて曲を弾いていく……



古金ミカ

「これが……真瀬さんの……思い……。」


僕の思いは少なからず届いた様子だった。


真瀬莉緒

「ミカさん。これが僕たちが作ってきた曲です。この曲を生かすのも殺すのもミカさん次第です。」


古金ミカ

「……私が……?」


真瀬莉緒

「今決めなくてもいい。ミカさん、いつでも待っています。」


古金ミカ

「……私は……!私は……!」


真瀬莉緒

「ミカさん……。」


古金ミカ

「へへーんだ!!もちろん莉緒っちと一緒に作るんだもんねー!!」


真瀬莉緒

「やった……!!」


柊木アイ

「よし!!」


良かった……。前のミカさんに戻った……。

ホッとしたのか、肩の荷がおり、そのまま地べたに座り込んでしまった。その時に辺りを見ると既に夕方だった。展望台から見えるのは山吹色のきれいな夕日だった……。僕を見ていたミカさんは隣に来て地べたに座った。


古金ミカ

「莉緒っち……ありがとうね。」


真瀬莉緒

「…………うん。」


古金ミカ

「私……父親の暴力にも暴言にも負けないから。……それと父親から命令された曲だけど、それは作る。でもそれは命令じゃなく、莉緒との約束として作りたいんだ。」


真瀬莉緒

「そっか……じゃあ、明日からたくさん練習しよう!」


古金ミカ

「もっちろーん!いっぱい練習するんだから!」


再び光を取り戻したミカさんと決意をあらわにした。


そして、それを見ていたアイくんが何かを言いたそうな様子が見られた。


柊木アイ

「ちなみに……莉緒くんたちは課題はできているの?」


…………忘れていた。元々は6月を予定していたけど、例のモンスター事件の件で3月になった。しかし、今回のミカさんの件で、課題はそっちのけになっていた。


古金ミカ

「それなら問題ないわよ!この曲を課題として提出するの。それなら文句ないでしょう?」


真瀬莉緒

「僕も同じことを考えていたよ。それで行こう!」


古金ミカ

「おー!!」


柊木アイ

「……………………。」



六郭星学園 Kクラス教室



翌日……ミカさんの様子が戻ったことにクラスメイトたちはひたすら喜んでくれた。


星野シキア

「心配したのよ!……もう、本当に良かった。」


来川ナナ

「ミカ……おかえり。」


星野さんも来川さんも喜びを隠せなかった。


笛花奏

「さあ、古金さんも戻ってきたので、これからも楽しく学園生活を楽しみましょう!」


クラスメイトはそれに「はい。」と答える。本当に良かった……と思った。


柿本瑛久

「うわぁぁぁ!!やめてくださーい!!」


柿本先生の声が聞こえる。その瞬間、Kクラスの教室のドアが開くと……ミカさんの父親がいた。


古金ミカの父親

「貴様……!このワシを欺きやがって……!!」


そう言うとドアの近くにいた女子生徒の腕を掴み、喉元にスタンガンを近づける。周りのクラスメイトたちも驚き、ミカさんの父親の近くを離れた。


古金ミカ

「な……人質を取る気!?最低ね!」


古金ミカの父親

「さあ、この女がどうなってもいいのか!」


女子生徒A

「いやぁ……!助けて!」


笛花奏

「やめてください!それ以上やるなら警察を呼びますよ!」


バーン!!


笛花奏

「なっ……。くっ……。」


真瀬莉緒

「け、拳銃!?そんな……いくらなんでも……!」


ミカさんの父親は拳銃を持っていた。その拳銃の弾が笛花先生の肩をかすめ、笛花先生は肩から出血をしていた。


来川ナナ

「せ、先生!大丈夫ですか!?」


笛花奏

「うぅ……。」


古金ミカ

「わ、わかったから!そっちに行くからその子を離して!」


古金ミカの父親

「だったら屋上に来い!話はそこからだ!」


ミカさんの父親は人質にとった子を引っ張って屋上の方へ行った。


古金ミカ

「なんて卑怯なの……!?あいつ……!」


今まで色々な性格を見てきたがミカさんのこの怒りの様子は初めてみた……ただ、気持ちはかなりわかる。この状況で怒りを露わにしない方が不思議だ。


来川ナナ

「笛花先生のことは安心して。救急車を呼んだから。急いで屋上に向かって!」


古金ミカ

「わかったわ。先生のことをお願い!」


そう言い残し、ミカさんは屋上へと、走り出した。



六郭星学園 屋上



屋上にはミカさんの父親と、人質にされた女子生徒がいた。


古金ミカの父親

「来たな……。こっちへ来い……!」


古金ミカ

「…………はい。」


ミカさんは言われるがままに父親の方へ向かう。そしてそれと同時にクラスメイトの女子は背中を押されて、解放された。


女子生徒A

「いやぁぁ!」


クラスメイトの子は僕に抱きついた。よっぽど恐怖を感じたんだ。無理もない。


真瀬莉緒

「……大丈夫ですか?急いで先生方の方へ行ってください。」


女子生徒A

「…………はい。」


クラスメイトの子は急いで先生方の方へ戻って行った。


古金ミカの父親

「貴様……どういうことかわかっているな……!」


古金ミカ

「ええ、わかっているわよ。」


真瀬莉緒

「…………。」


僕はミカさんが親と話しているところをただ見ているだけだった。


以前のミカさんとは違い、親に対して強く言い放つ。


古金ミカ

「私は負けない……あなたになんか負けない。私はもう逃げずに戦う……!あなたなんか親でもなんでもない!!」


古金ミカの父親

「貴様…………!くたばれえぇぇぇぇ!」


ミカさんの父親はミカさんに向かって銃を構える……!


危ない…………!


助けないと……!そう思った時すでに遅く、銃声が鳴り響く……。


僕の後ろから……


古金ミカの父親

「ぐあぁぁぁぁぁ!!」


ミカさんの父親は右脇腹を撃たれていた。


後ろを振り向くと、そこにはアイくんと見たことないおじさんが立っていた。


柊木アイ

「ミカ!大丈夫!?」


古金ミカ

「うん。大丈夫だけど……まだあいつが起き上がるとまずいからここを離れましょう!」


柊木アイ

「そうだね。行こう!莉緒くんも!」


真瀬莉緒

「う……うん。」



六郭星学園 Kクラス教室


ひとまずKクラスに戻ってきた。それにしてもさっきのおじさんは一体……?


柊木アイ

「あの人は警察の中井雄也(なかい ゆうや)さん。ミカのお父さんを連行するために呼んだんだ。」


真瀬莉緒

「警察……?それじゃあ……ミカさんは!」


柊木アイ

「うん。助かるよ。これからも明るい性格のままだよ。……きっとね。」


それを聞いて、ミカさんを見る。


古金ミカ

「…………イェーイ!!これでしばらくは安泰ですな!」


ミカさんはとても喜んでいた。それを見て僕はホッと肩の荷が降りた。


肩の荷が降りたと同時に、警察の中井さんがKクラスの教室に入ってきた。


中井雄也

「やつは逮捕した。いずれは柊木くんの母親も連行するがそのあたりは大丈夫か?」


柊木アイ

「大丈夫です……。もう僕も決意をしました。母親のやっていたことは許せませんので。」


中井雄也

「わかったよ。……では取り調べがあるから戻るよ……。」


そう言うと中井さんは学園を後にした。


古金ミカ

「アイ!ようやく理解したのね!」


柊木アイ

「うん。執事の東島さんに聞いたよ。許せないね。……あんなことをするなんて……。」


古金ミカ

「そう……。それでいいわ。……ありがとう。」


柊木アイ

「……で、ミカはこれからどうするの?」


古金ミカ

「ええ、複雑だけど跡を継ぐわ。これから古金グループは私が支えるの。」


柊木アイ

「……まあ、僕も柊木家を支えないとだからね……お互いに頑張ろうか。」


古金ミカ

「もっちろーん!でもいつでも合併待ってまーす!」


柊木アイ

「ははっ!ミカったら!」


真瀬莉緒

「…………。」


良かった……これでミカさんも元気になった。


その後、来川さんから連絡があり、笛花先生も命に別状もなく、すぐに退院できそうと言われたそうだ。本当に良かった……。


何もかも障壁がなくなった僕たちは課題である作曲を再び取り掛かる……!

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