第3章 ブラウンチョコケーキ(木沢アカリ編)後編
六郭星展望台
展望台にやって来た僕は、しばらく佇んでいた。涼しい秋風に、僕はとても気持ちよくなる。
真瀬莉緒
「秋風が気持ち良い…………。ここに来てよかった。」
しばらく涼んで、もう戻ろうと思った瞬間…………。
辺り一面が、真っ白な光に包まれた。
真瀬莉緒
「な、なんだ!?」
??
「ふぅ…………ここは展望台ね。」
光が消えると、そこには1人の女性がいた。
真瀬莉緒
「あ、あなたは一体…………?」
虹谷アヤ
「ああ、そうね。私は、虹谷アヤ(にじや あや)。」
真瀬莉緒
「虹谷…………?一体あなたは何者なんですか?」
僕が疑問を問いかけると、虹谷さんは答える。
虹谷アヤ
「私は、ある人物を追いかける者。それ以外は言えないわ。」
真瀬莉緒
「ある人物?…………一体、どなたのことですか?」
虹谷アヤ
「決まっているわ。木沢アカリよ。」
僕は驚いた。木沢さん…………?
真瀬莉緒
「何故、木沢さんを!?」
虹谷アヤ
「答える必要はないわ。それじゃあ、彼女を捕獲するわ。」
真瀬莉緒
「だ、ダメです!!」
虹谷アヤ
「…………何故止めるの?」
僕は虹谷と言う人の手を掴む。
真瀬莉緒
「僕は木沢さんが何かをやったとは思えません。僕は彼女を信じます。」
虹谷アヤ
「……………………。」
真瀬莉緒
「どうかお引き取りください。」
虹谷アヤ
「…………彼女もね…………。」
真瀬莉緒
「……………………?」
虹谷アヤ
「良いわ。後悔をしないことね。」
虹谷と言う人がそう言うと、再びあたり一面が光に包まれていった。
光が消えると、虹谷と言う人はいなくなっていた。
真瀬莉緒
「何だったんだ一体…………?」
僕はそそくさと展望台をあとにした。
六郭星学園 中庭
中庭に着くと、根村さんがいた。
根村ユウタ
「お疲れ…………。」
真瀬莉緒
「根村さん。お疲れ様です。」
根村ユウタ
「気分は…………どうだ…………?」
根村さんもだいぶコミュニケーションをとるようになった。
真瀬莉緒
「そうですね。今は…………。」
状況を言いかけると…………。
ギギ……ガガ…………。
真瀬莉緒
「えっ…………。」
ギギ……ガガ…………。
耳鳴り……?くっ……苦しい……!
ギギ……ガガ…………。
真瀬莉緒
「ぐっ……ああああ…………!」
根村ユウタ
「莉緒…………!?」
根村さんの声が聞こえなくなる。
六郭星学園 保健室
目が覚めると保健室だった。
真瀬莉緒
「保健室…………?」
木沢アカリ
「ああ!莉緒くん、目覚めたのね!良かった…………。」
真瀬莉緒
「僕は…………どれだけ寝てましたか?」
木沢アカリ
「寝てるも何も。もう1週間よ!不安で仕方なかったんだから!」
木沢さんは涙目になりながら答える。
真瀬莉緒
「そうだったんですか…………。その1週間何かありましたか?」
木沢アカリ
「うん。声優さんのオーディション結果が出たわ。」
真瀬莉緒
「結果ですか?…………どうでした?」
木沢アカリ
「今度、この学園に声優さんがやって来るみたいなの。…………明日。」
真瀬莉緒
「明日ですか?どうしましょう。歌詞ができていないような…………。」
木沢アカリ
「歌詞は大丈夫!私が書いたから。」
真瀬莉緒
「木沢さんがですか?…………見せてもらえますか?」
木沢アカリ
「ふふーん。それは秘密。でも…………きっと喜んでくれるから。」
真瀬莉緒
「…………仕方ないですね。楽しみに取っておきます。」
木沢アカリ
「うん!元気も出てきたことだし、保健室から出ましょうか。」
真瀬莉緒
「そうですね。明日に備えて準備をしましょう!」
木沢アカリ
「うん!」
そして、僕たちは翌日を迎えた。
六郭星学園 応接室
翌日。僕たちは応接室で声優さんを待っている。そもそも声優さんがやって来るなんて、もはや合格をしたと思って良いだろう。今、成瀬先生が声優さんを案内している。
真瀬莉緒
「大丈夫ですよね…………?」
木沢アカリ
「大丈夫よきっと!莉緒くんと作った曲だもの。こんなの認められるに決まっているわ!」
真瀬莉緒
「そうですよね…………。」
僕は少し不安も残るが、とにかく声優さんが来るのを待った。
そして、扉のノック音が鳴る。成瀬先生が入って来た。
成瀬実
「お待たせしました。すみません。我が学園の生徒をよろしくお願いいたします。」
成瀬先生がそう言うと、声優さんが入って来た。
真瀬莉緒
「真瀬莉緒です。本日はよろしくお願いいたします。」
木沢アカリ
「木沢アカリです。よろしくお願いいたします。」
声優さんは頷いて、席に座った。
そして、声優さんは木沢さんに握手を求めた。
木沢アカリ
「えっ…………良いんですか?」
声優さんは深く頷く。
木沢アカリ
「あ、ありがとうございます!」
木沢さんはとても喜んでいた。僕まで嬉しくなる。
話を聞くと、僕らの曲がオーディションに合格したことを報告にしに来たらしい。
木沢さんも僕らの楽曲がオーディションに合格をしたことに動揺を隠せない。
木沢アカリ
「あ、ありがとうございます!とても嬉しいです!…………あ。こちら歌詞になります。よろしくお願いいたします。」
木沢さんは声優さんに歌詞を渡す。声優さんはその歌詞をしっかりと見る。
しばらくをして、声優さんは笑顔を見せてくれた。
木沢アカリ
「良いんですか!?…………嬉しいです。ありがとうございます!!」
木沢さんはとても喜んでいる。こっちまで嬉しくなる。
あとは軽い雑談を繰り広げ、その日はお開きになり、成瀬先生が声優さんを校門まで案内をした。
木沢アカリ
「やった…………!!莉緒くんありがとう!!」
真瀬莉緒
「これは木沢さんが頑張った証ですよ。でも、ありがとうございます。」
そう言うと、案内を終えた成瀬先生が戻って来る。
成瀬実
「よく頑張りましたね。これはお祝いのケーキです。楽しんでください。」
成瀬先生はブラウンのチョコケーキを僕たちに渡してくれた。
木沢アカリ
「えへへ…………チョコケーキ大好物なんだ。食べよう。莉緒くん。」
真瀬莉緒
「はい。ケーキなんて久しぶりですね…………。」
僕はチョコケーキを1口食べる。とても甘く、チョコが美味しい。
木沢アカリ
「美味しいね。本当に…………!あっ。雪が降って来た。」
窓から雪が降っているところが見える。ケーキもあり、まるで一足早いクリスマスケーキみたいだ。
木沢アカリ
「莉緒くん。あと少しだけど、頑張ろうね。」
真瀬莉緒
「…………はい。」
僕たちはチョコケーキを食べて、応接室をあとにした。
残りの学生生活…………楽しむんだ。




