第3章 ジョンブリアンハッピー(伊剣タイガ編)中編
六郭星学園 保健室
日比谷直輝
「貧血か…………。」
日比谷先生に診てもらうと特段の異常はなかったみたいだ。
真瀬志奈
「良かった…………。」
櫻井シオン
「伊剣会長。疲れているの…………?志奈もいるんだから、休んではいかが?」
伊剣タイガ
「そうはいかない…………。楽曲もある、例の獣の件もある、何よりも…………。」
日比谷直輝
「伊剣。少しは身体を休めるのも会長として、必要なことだ。中神や崎盾に任せろ。なおこれは教員命令だ。違反したら処分を考える。」
伊剣タイガ
「…………仕方ありませんね。ただ、作曲だけはやらせてください。志奈の楽曲は大切なので…………。」
日比谷直輝
「…………良いだろう。作曲だけだ。」
伊剣タイガ
「ありがとうございます。」
真瀬志奈
「でも今日は休んでくださいね。アレンジはいつでもできますからね。」
伊剣タイガ
「わかった。…………すまない。」
私たちは保健室に伊剣さんを1人にして、廊下に出る。
六郭星学園 廊下
真瀬志奈
「日比谷先生。」
日比谷直輝
「真瀬?何か言いたげだな。」
櫻井シオン
「志奈…………?」
真瀬志奈
「伊剣さんの生徒会長の就任には何か裏があるんじゃないですか?」
日比谷直輝
「……………………。」
真瀬志奈
「私…………伊剣さんの生徒会に入って、伊剣さんはとても必死だって実感したんです。何であんなにも必死なのかって思ったんですけど…………。誰かの肩代わりをしているんじゃないかって…………。」
日比谷直輝
「真瀬…………。」
真瀬志奈
「答えてください。…………お願いします。」
日比谷直輝
「……………………。」
櫻井シオン
「日比谷先生。私からもお願いします。」
真瀬志奈
「シオン…………。」
櫻井シオン
「大切なお友達なんでしょ?伊剣会長を助けてあげて。」
真瀬志奈
「シオン…………。日比谷先生。すみません。どうか教えていただきたいです。」
日比谷直輝
「それは…………私の口からは言えないが、三蜂なら答えられる。私が答えても良いと言っていたと言えば話してくれるはずだ。三蜂のところへ行って、聞いてみてほしい…………すまない。私から言えるのはそれまでだ。」
真瀬志奈
「わかりました。では…………失礼します。」
私は三蜂さんのところへ向かう。
櫻井シオン
「良いんですか?」
日比谷直輝
「伊剣が良くなれば…………それだけだ。」
六郭星学園寮 志奈・レンカの部屋
部屋に戻ると、三蜂さんがいた。
三蜂レンカ
「おかえり。その様子だと…………話があるみたいね。」
真瀬志奈
「はい。伊剣さんのことで話があります。日比谷先生も、もう良いと話の許可は下りてます。」
そう話すと、何かを思ったのか重い口を開いた。
三蜂レンカ
「そう…………。わかったわ。その代わりに勝負しない?」
真瀬志奈
「勝負…………ですか?」
三蜂レンカ
「勝負に勝ったら、教えてあげるわ。」
私は、その勝負に乗るしかなかった。
真瀬志奈
「わかりました。では勝負しましょう。」
私たちは勝負することになった。
勝負の結果は私の勝ちだった。
真瀬志奈
「私の勝ちですね。では…………教えていただけますか?」
三蜂レンカ
「……………………。」
真瀬志奈
「ここまできて、答えないのは無しですよ。」
三蜂レンカ
「わかっているわ。タイガはね…………。」
真瀬志奈
「はい…………。」
私は三蜂さんに伊剣さんの話を聞く。
真瀬志奈
「そうだったんですね…………。」
三蜂レンカ
「彼は、責任を全て受け止めるつもりでいるわ。」
真瀬志奈
「……………………はい。私は伊剣さんを守ります。」
三蜂レンカ
「それは…………恋として…………ではないわよね?」
真瀬志奈
「…………どちらでも構いません。」
三蜂レンカ
「……………………あなたには負けたわ。志奈。タイガをよろしくね。」
真瀬志奈
「…………はい。」
三蜂レンカ
「それじゃあ、タイガのことを話しましょう。タイガは…………」
私は伊剣さんの話を三蜂さんから聞く…………それはとても重要な話だった。
真瀬志奈
「伊剣さん…………そんなことがあったんですね。」
三蜂レンカ
「この話を生かすのも殺すのも、志奈。あなた次第よ。」
真瀬志奈
「わかっています。今は伊剣さんはどこに…………?」
三蜂レンカ
「タイガはきっと、精神統一のために体育館にいるわ。以前、莉緒と勝負していたでしょ?」
真瀬志奈
「そうでしたね。では…………行ってきます。」
三蜂レンカ
「いってらっしゃい。」
私は急いで、体育館に向かう。
六郭星学園 体育館
伊剣タイガ
「はぁ…………はぁ…………。ダメだ。このままじゃあ…………また…………」
真瀬志奈
「伊剣さん!!」
伊剣タイガ
「志奈…………?」
真瀬志奈
「まだ、完全に体調が良くなっていないのに…………。」
伊剣タイガ
「しかし…………。」
真瀬志奈
「伊剣さん…………。」
伊剣タイガ
「うっ…………うぅ…………。」
伊剣さんは意識を失う…………。
真瀬志奈
「伊剣さん!」
私は、中神さんと崎盾さんを呼び、保健室へ、伊剣さんを運ぶ。
六郭星学園 保健室
伊剣さんをベッドに寝かせる。しばらくすると、伊剣さんは目を覚ます。
真瀬志奈
「目を覚ましましたね。」
伊剣タイガ
「…………すまない。」
中神シンジ
「全く…………どうしようもないな。」
崎盾ジュン
「まぁ良いじゃない。…………志奈さん。話があるんでしょ?」
真瀬志奈
「はい。伊剣さん…………。」
伊剣タイガ
「……………………。」
真瀬志奈
「私…………知ったんです。」




