第3章 ジョンブリアンハッピー(伊剣タイガ編)前編
秋。伊剣さんはというと…………。意識は回復した。何事もなかったかのように日々の業務を行っている。だけど、日比谷先生や崎盾さんたちは休んでほしい気持ちもある。伊剣さんは何がどうしてあそこまで頑張る必要があるのか…………。
六郭星学園 Sクラス教室
真瀬志奈
「伊剣さんはどうしてあんなに頑張るんでしょうか?」
崎盾ジュン
「わからない。…………もしかすると、僕らも知らない何かがあるのかもしれない。」
中神シンジ
「そう言っていても、あいつにも色々考えがあるはずだ。様子を見るべきだ。」
真瀬志奈
「…………わかりました。」
今日はこのあと、各委員会の委員長と莉緒たちが教室に来て、会議を行う。
崎盾ジュン
「時間だね。そろそろ準備をしよう。」
真瀬志奈
「はい…………。」
私たちは資料を準備して、時間になるのを待つ。
伊剣さんも来て、莉緒も委員長と一緒にやって来た。
伊剣タイガ
「ふぅ…………。」
真瀬志奈
「大丈夫ですか…………?伊剣さん。今日は一段と疲れてるような気がします。」
伊剣タイガ
「大丈夫だ…………このくらいな…………」
伊剣さんはしりもちをつく。
委員長たちがざわつく。
崎盾ジュン
「タイガ!?」
真瀬志奈
「大丈夫ですか!?」
伊剣タイガ
「大丈夫…………ただの立ちくらみだ。」
真瀬志奈
「大丈夫じゃありません!ここは良いので保健室に行ってください!」
伊剣タイガ
「だが…………。」
中神シンジ
「真瀬もこう言っているんだ。少し休め。」
伊剣タイガ
「……………………すまない。」
伊剣さんは保健室に向かう。足取りは重かった。
心配したのか、笹野さんが伊剣さんについていった。
柚木アイラ
「この状況…………会議は無理…………ですね。」
真瀬莉緒
「そうだね…………タイガ、大丈夫かな?」
三蜂レンカ
「……………………。」
真瀬莉緒
「レンカ?何考え込んでいるの?」
三蜂レンカ
「いや…………少しね…………。」
結局、その日の会議は中止になった。私は三蜂さんと寮の部屋に戻ることにした。
六郭星学園寮 志奈・レンカの部屋
真瀬志奈
「伊剣さん…………。」
三蜂レンカ
「…………やっぱりタイガのことが気になるのね。」
真瀬志奈
「生徒会だから当然です。本当に心配です…………。」
三蜂レンカ
「そう…………やっぱりタイガは無茶しているのね…………。」
真瀬志奈
「三蜂さん何か知っているんですか?…………もし良ければ教えてください!」
三蜂レンカ
「それは…………できないわ。タイガのことは本人から聞かないと。」
真瀬志奈
「それは…………そうですよね。すみません。無理言って…………。」
三蜂レンカ
「気にしないで。…………少し、出かけてきたら?」
真瀬志奈
「そうします。では…………。」
私は少し、出かけることにした。
六郭星学園 音楽室
出かけるとは言ったものの、結局のところ私は音楽室にいた。
声優さんに歌ってもらうための楽曲を練習していた。伊剣さんは今日はいない。
真瀬志奈
「アレンジは完璧だけど、どうしたら…………?」
練習と伊剣さんで悩んでいると…………辺り一面が光に包まれた。
真瀬志奈
「な、何!?」
光が消えるとそこには1人の男性の姿が見えた。
真瀬志奈
「あ、あなたは…………?」
??
「真瀬志奈さんだね。」
真瀬志奈
「ど、どうして私の名前を!?」
虹谷サイ
「自己紹介がまだだったね。僕は虹谷サイ(にじや さい)。僕はある人物を追ってここに来たんだ。」
真瀬志奈
「ある人物を…………その人は一体?」
虹谷サイ
「伊剣タイガ。彼を捕まえに来たんだよ。」
真瀬志奈
「伊剣さん…………?一体どうして!?」
虹谷サイ
「彼は大きい罪を犯した。ただそれだけだよ。」
真瀬志奈
「…………警察か何かですか?」
虹谷サイ
「いや。違うよ。けど、彼を連れて行くよ。」
虹谷と言う人は、寮の方へ向かう。私はその虹谷と言う人の腕を掴む。
虹谷サイ
「何をするんだい?」
真瀬志奈
「わ、私は伊剣さんが罪を犯したとは思いません。」
虹谷サイ
「…………どうしてそう思うんだい?」
真瀬志奈
「私は…………!どんな罪を犯したのかはわかりません。ですが…………。」
虹谷サイ
「…………あんな様子なのにどうして守るんだい?」
真瀬志奈
「あんな様子だからです。今の状態で伊剣さんを連れて行くわけにはいきません。」
虹谷サイ
「まあ良い。…………後悔するだけだよ。」
そう捨て台詞を吐くと、また眩い光で辺りが包まれる。
真瀬志奈
「一体、何だったの…………?」
私は気持ちを切り替え、音楽室から出ようとすると…………。
伊剣タイガ
「志奈。」
真瀬志奈
「伊剣さん!?どうしてここに?」
伊剣タイガ
「練習に決まっているだろう。ここにいるのではないかと思ってな…………。」
真瀬志奈
「ちょうど、切り上げようと思っていました。今日はもう戻りましょう。」
伊剣タイガ
「えっ…………ああ。わかった。」
そう言って、私たちは空腹を満たすために、食堂に行くことにした。
六郭星学園 食堂
食堂に行くと、学生たちはとても賑やかに食事を楽しんでいた。
??
「あっ、志奈!」
真瀬志奈
「シオン!久しぶりね!」
櫻井シオン(さくらい しおん)。六郭星学園の合併前の2年間、莉緒と同じクラスだった子だ。そのおかげでシオンとは仲良くさせてもらっている。
櫻井シオン
「聞いたわよ。志奈が声優さんに作曲をしているなんてね。さすが真瀬姉弟だね。」
真瀬志奈
「ありがとう。期待していてね。」
櫻井シオン
「ええ。…………ところで、隣の生徒会長さんは大丈夫なの?」
真瀬志奈
「えっ…………?」
伊剣さんは床でうずくまっていた。
真瀬志奈
「伊剣さん!?」
私は先生を呼び、保健室に運んだ。




