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colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第4部 伊剣タイガ編
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第2章 灰色の夜空に(伊剣タイガ編)後編

六郭星学園寮 ロビー



ロビーに行くと、何かを言い争う声が聞こえる。


伊剣さんの声だ。相手は…………?


伊剣タイガ

「まだ彼女は救われるはずだ。きっと大丈夫なはずだ。」


??

「だったら、会わせるんだ!まりあは…………本当に無事なのか!?」


伊剣タイガ

「落ち着け!夜も遅い。寮の部屋に…………。」


??

「言われなくてもわかっている!!」


そう言うと、その人は勢いよく私にぶつかる。


真瀬志奈

「きゃっ!!」


私は思わず声を出す。


見ると、ぶつかって来たのは浅越ハルト(あさごえ はると)さんだった。


浅越ハルト

「なっ…………すまない。」


浅越さんはそう言って、男子寮に向かった。


伊剣タイガ

「はあ…………はあ…………志奈。大丈夫か?」


真瀬志奈

「はい…………何とか。」


真瀬志奈

「あの、さっきの人…………浅越さんですよね。何かあったんですか?」


伊剣タイガ

「ああ。彼の妹がな…………。色々あって…………。」


真瀬志奈

「浅越さん…………妹さんがいらしたんですか。」


伊剣タイガ

「ああ。」


すると、伊剣さんのスマホが鳴る。


伊剣タイガ

「ああ…………すまない。」


伊剣さんは電話に出る。


伊剣タイガ

「はい。伊剣です。…………わかりました。」


電話を切る。何か知らせがあったのだろう。


伊剣さんは電話で聞いた情報を青緑色の手帳に記入する。


何かを話そうと思った。


真瀬志奈

「あの…………青緑色が好きなんですか?」


伊剣タイガ

「えっ…………ああ。この手帳のことか…………。」


伊剣さんは少し穏やかな様子で話を始めた。


伊剣タイガ

「青緑色は私の好きな色でな。赤や青と言った、有名な色ではないがな…………。とにかく青緑色が好きなんだ。これだけは譲れない。」


真瀬志奈

「…………素敵だと思います。そうして好きな色を言えるのは。」


伊剣タイガ

「ありがとう。志奈。」


真瀬志奈

「どういたしまして。」


伊剣タイガ

「そういえば…………急に倒れたみたいだが、大丈夫か?」


真瀬志奈

「はい。夏目さんに見守っていただきました。」


伊剣タイガ

「彼女が…………?」


伊剣さんの表情が強張る。


伊剣タイガ

「そうか…………彼女か…………。」


どうやら何か夏目さんのことで知っているようだ。


真瀬志奈

「夏目さんのことで何か…………?」


伊剣タイガ

「えっ…………あっ、何でもない。気にしないでくれ。」


真瀬志奈

「はぁ…………わかりました。」


すると、サイレンが鳴る。これは…………!


伊剣タイガ

「志奈!急いで、生徒を避難させるぞ!これは獣が現れた警報だ!」


真瀬志奈

「は、はい!」


私たちは急いで屋上へ避難誘導を行った。



六郭星学園 屋上



屋上に着いた私たちは自分のクラスのところへ向かう。


すると勢いよく中神さんは伊剣さんのいるところへ行く。


中神シンジ

「伊剣!!何故こんなことになった!!」


崎盾ジュン

「ちょっ…………シンジ!こんなところで喧嘩は…………。」


伊剣タイガ

「ジュン。下がっていろ。言っておく。これは来川医師との指示だ。獣は殺さずに捕獲をすることを約束したはず。それをどうして否定する?」


中神シンジ

「うるさい!獣は1匹残さず始末する!文句は言わせない!!」


伊剣タイガ

「……………………。」


伊剣さんは呆れている。


中神シンジ

「本来なら、貴様は…………!」


伊剣タイガ

「なっ…………くっ…………。」


中神さんにそう言われると、伊剣さんはうなだれた。


崎盾ジュン

「シンジ。それ以上はやめてほしい。」


中神シンジ

「ふん…………。」


崎盾さんが入り、何とか騒ぎは収まった。


伊剣さんは私に話しかける。


伊剣タイガ

「すまなかった…………恥ずかしいところを見られてしまった。」


真瀬志奈

「いえ、そんなことはないですよ。気にしないでください。」


伊剣タイガ

「ありがとう。…………おっと、電話だ。」


伊剣さんは電話に出る。


伊剣タイガ

「はい…………わかりました。解除で良いんですね。はい。」


電話を切ると、大きな声で生徒に伝令する。


伊剣タイガ

「避難解除が発表されました!それぞれ寮の部屋に戻っても構いません!」


伊剣さんの声で、生徒は部屋に戻っていく。


そして、伊剣さんは莉緒に声をかける。


伊剣タイガ

「…………手合わせお願いする。」


真瀬莉緒

「えっ…………今から?…………わかったよ。」


手合わせ…………?


莉緒は私が不思議がっていることに気づいたのか、私に声をかける。


真瀬莉緒

「タイガは剣道をやっているんだ。もし良ければ見ない?」


真瀬志奈

「私が?…………良いんですか?」


伊剣タイガ

「ああ。構わない。体育館に行こう。」


真瀬志奈

「ありがとうございます。では、拝見させていただきます。」


私たちは体育館に足を運ぶ。伊剣さんの足取りは重かったが、ただただ、前を向いていた。そんな気がする。



六郭星学園 体育館



体育館に来た頃にはすでに灰色の夜空に染まっていた。


莉緒と伊剣さんは着替えている。もちろんこんな時間に体育館を許可なく借りれるわけがないため…………。


??

「いやー…………剣道か。やったことないな。」


隣にいるのは凪野雪緒(なぎの ゆきお)先生。体育館を借りる許可の条件として、凪野先生が見守ることになった。


凪野雪緒

「伊剣も色々あったけど、よく生徒会長をやっているよ。」


真瀬志奈

「色々とあったんですか…………?」


凪野雪緒

「あっ…………。なんでもない。ほら、2人が来たぞ。」


莉緒と伊剣さんが正装に着替え終え、手合わせを始める。


伊剣タイガ

「莉緒…………頼む。」


真瀬莉緒

「ああ。」


2人は剣道を始める。圧巻だった。口にできないくらい、とても迫真だった。


勝負の結果は言わずもがな…………伊剣さんの勝ちだった。


真瀬莉緒

「さすが…………タイガだ。」


伊剣タイガ

「莉緒もなかなかだった。またよろしく頼む。」


真瀬志奈

「お疲れさまでした。2人とも、とてもすごかったです。」


伊剣タイガ

「ありがとう。けれど…………作曲の練習できなかったな。」


真瀬志奈

「いえ、今からやれば良いんです。それに閃いたアレンジがありますから、今日はそれを聞いて寝てください。」


伊剣タイガ

「そうか。それならぜひ聞かせてもらおう。」


真瀬莉緒

「姉さんの作曲か…………久しぶりだな。」


真瀬志奈

「では、ではスマホの音源ではありますが…………ぜひ。」


私はスマホの音源を流す。



伊剣タイガ

「いつ聞いても素晴らしい。この曲を…………練習…………」


伊剣さんはドサッと倒れる。私たちは驚いた。


真瀬志奈

「伊剣さん!?」


真瀬莉緒

「タイガ!!」


凪野雪緒

「おい。しっかりしろ!大丈夫か!?」


私たちは急いで保健室に運ぶ。



六郭星学園 保健室



凪野先生は日比谷先生を呼ぶ。しかし、伊剣さんの意識ははっきりしない。


日比谷直輝

「まずい…………これは来川医療センターに運ぶぞ!」


凪野雪緒

「お、おう!」


救急車がやって来る。伊剣さんは来川医療センターに運ばれた。


日比谷直輝

「2人は戻った方が良い。きった大丈夫だ。」


真瀬志奈

「は…………はい。」


伊剣さん…………大丈夫…………よね…………?


私は不安になるも自分の部屋に戻り、眠りについた。

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