第2章 灰色の夜空に(伊剣タイガ編)中編
六郭星学園 音楽室
私は、伊剣さんに作曲の演奏を聞かせた。伊剣さんはとても良いと褒めてくれる。
伊剣タイガ
「さすがだよ。志奈はやっぱり天才に近い。」
真瀬志奈
「あ、ありがとうございます。」
伊剣タイガ
「このパートにこの楽器のフレーズを入れるのか…………。どれ…………。」
伊剣さんは私の入れたフレーズを難なく演奏する。
真瀬志奈
「すごいです!一度、聞いただけでこんなに演奏できるだなんて…………!」
伊剣タイガ
「まあ、多少なら演奏できる程度だが…………このくらいなら。」
真瀬志奈
「そうとなれば演奏あるのみです。練習して、アレンジを加えましょう!」
伊剣タイガ
「ああ。頑張るぞ。」
そう言ったとき、伊剣さんのスマホが鳴る。
伊剣さんはスマホの着信から出る。
伊剣タイガ
「はい…………伊剣です。…………わかりました。」
着信を切ると、伊剣さんは練習を切り上げようとする。
真瀬志奈
「伊剣さん?」
伊剣タイガ
「すまない。一度、Sクラスに戻る。志奈もついてきてほしい。」
真瀬志奈
「は、はい。」
言われるがまま、Sクラス教室に戻る。
六郭星学園 Sクラス教室
教室に入ると、柚木さんや笹野さんなどの委員会の人たちもおり、何故か関係のない、莉緒もいた。
真瀬志奈
「あの…………何故、莉緒がここに?」
伊剣タイガ
「姉だけ知るのも少し違うかもしれない。という訳で弟も呼んだ。」
真瀬志奈
「そうですか…………。」
伊剣さんはそう言うと、教壇の前に立つ。
伊剣タイガ
「聞いてほしい。」
その一言で、委員長たちは静かになる。さすが、生徒会長だ。
伊剣タイガ
「この数日で、獣の目撃情報が多数寄せられている。各委員会の委員長、そして生徒会はこの学園に何かあった際には連絡を教員にするように。」
真瀬志奈
「獣…………?」
私は何が何だか分からなくなった…………獣…………?
崎盾ジュン
「そうか…………志奈さんは知らないんだっけ…………。」
崎盾さんは小声でそう言った。
伊剣タイガ
「報告は以上。各自、委員会の仕事に就くように。」
伊剣さんはそう言うと教室から離れた。すると、中神さんも追いかけるように教室から出ていき、伊剣さんと何か揉めている。
笹野ユリ
「またね…………。あの2人。」
三蜂レンカ
「喧嘩してばっかり。全く…………特に中神くんよね。」
笹野ユリ
「そうね。シンジ…………特に獣を毛嫌いしているから…………。」
三蜂レンカ
「どうしてあんなにも嫌うのかしら…………?」
2人は中神さんの話をしている。
真瀬莉緒
「姉さん。」
真瀬志奈
「あ、莉緒…………。」
真瀬莉緒
「…………その様子だと、姉さんも知らなかったみたいだね。」
真瀬志奈
「うん…………。全く聞かせれてなかったわ。」
真瀬莉緒
「この学園、何かあるね…………。」
真瀬志奈
「……………………。」
私は黙り込んでしまう…………すると、崎盾さんが近くに来た。
崎盾ジュン
「志奈さん…………。」
真瀬志奈
「崎盾さん…………。生徒会は一体…………?」
崎盾ジュン
「ごめんね。…………黙っていて。嫌になったら辞めても良いからね。」
真瀬志奈
「えっ…………嫌って、そんな…………。」
崎盾ジュン
「…………怖くはないのかい?」
真瀬志奈
「はい。大丈夫です。教えてください。私も力になれたらと思います。」
崎盾ジュン
「わかった。じゃあ、タイガたちのところへ向かおう。彼らも志奈さんに教えないとって、思っているよ。」
真瀬志奈
「はい。そうしましょう。」
真瀬莉緒
「じゃあ、姉さん。頑張ってね。応援しているから。」
真瀬志奈
「ありがとう。莉緒。」
私たちは伊剣さんたちのところへ向かい、生徒会の実情を聞くことにした。
六郭星学園 音楽室
翌日の放課後、私たちは音楽室で再び、作曲の作成に取り掛かっていた。
伊剣さんからは一応の説明を受けたが、私は楽曲の方を優先してほしいとのことだった。
伊剣タイガ
「すまない。こんなことに巻き込んでしまって…………。」
真瀬志奈
「いえ。気にしないでください。生徒会に入ったわけですから。お任せください!」
伊剣タイガ
「そう言ってくれるとこちらとしても助かる。…………ありがとう。」
真瀬志奈
「では、練習に戻りましょう。とことんやりますよ。」
伊剣タイガ
「ああ。ご指導を頼む。」
伊剣さんはそう言い、私たちは日が暮れるまで練習を続けた。
六郭星学園寮 志奈・レンカの部屋
真瀬志奈
「戻りました…………。」
三蜂レンカ
「おかえりなさい。…………やけに疲れているわね。」
真瀬志奈
「そうですか…………?そう言われれば…………なんだか…………。」
そう言った、瞬間だった。
ギギ……ガガ……
真瀬志奈
「えっ……!?」
この耳鳴りは……!?
ギギ……ガガ……
苦しい…………!
私はその場に倒れ込んだ。
三蜂レンカ
「志奈!?」
その言葉で意識は失われていった。
六郭星学園 保健室
目が覚めると、そこは保健室。なんだかお世話になりっぱなしな気がする。
お世話になりっぱなし…………?
??
「お目覚めになりましたか?」
隣にいたのは夏目ホノカ(なつめ ほのか)さんだった。Gクラスの人だった覚えがある。
真瀬志奈
「あ、ありがとうございます。」
夏目ホノカ
「お気になさらないでください。我々のモットーは助け合い。助け合うことでみな救われます。」
真瀬志奈
「はあ…………とりあえずはわかりました。」
夏目ホノカ
「困ったときはまたおっしゃってください。会長も助けに入ります。」
真瀬志奈
「はい…………。では失礼します。」
夏目ホノカ
「ごきげんよう。」
私は保健室をあとにした。