第1章 白い球を当てて(伊剣タイガ編)後編
伊剣タイガ
「三蜂…………相変わらずだな。」
??
「な、何よ!!」
真瀬志奈
「三蜂さん…………?」
伊剣タイガ
「三蜂レンカ(みつはち れんか)。この学園の風紀委員長だ。恋愛を嫌っている。」
真瀬志奈
「恋愛って…………してませんよ。」
三蜂レンカ
「どうだかね…………。それじゃあ、証拠を見せないさい!」
真瀬志奈
「証拠って…………。」
??
「やめなさい!この学校に恋愛禁止の校則は無いわ!」
そう言いながら、先生らしき人が現れた。
三蜂レンカ
「愛森先生!でも恋愛は人を傷つけるだけです。」
??
「そんなのはわからないわ。あなたの押しつけはやめなさい!」
三蜂レンカ
「……………………仕方ありませんね。でも、恋愛をしたらわかっているわよね…………!」
恨み節を放ち、三蜂さんはその場を離れた。
愛森宇蘭
「ごめんなさいね。私は愛森宇蘭。Fクラスの担任をしているわ。さっきの三蜂って生徒も私の教え子なんだけれど…………ちょっと性格に難ありなのよね。それでも仲良くしてあげてね。じゃあ…………頑張って。」
そう言って、愛森先生も音楽室から出て行った。
伊剣タイガ
「嵐が去っていったか…………。志奈。三蜂はあんな奴だが気にしないでくれ。」
真瀬志奈
「あ、はい…………。わかりました。」
伊剣タイガ
「…………よし。切り上げよう。寮生活だからな…………。」
真瀬志奈
「はい。行きましょう。」
私たちは楽器を片付けて、寮の部屋に向かう。
六郭星学園寮
真瀬志奈
「ここが私の部屋…………。」
パンフレットによると、部屋は広くリビングとベッドルームが2部屋あり、両方防音になっているらしいのでベッドルームからもう一つのベッドルームからは何も聞こえない。この部屋に2人1組というのがこの寮のルールらしい。
真瀬志奈
「私の部屋のパートナーはいるのかな?」
私はドアを開けると、少しだけ絶望を感じた。
三蜂レンカ
「あら…………あなたは?」
真瀬志奈
「三蜂さん…………。」
三蜂さんだった。この1年間やって行けるのだろうか…………。
三蜂レンカ
「どうやら、あなたと1年間、同じ部屋みたいね。」
真瀬志奈
「はい…………そうみたいですね。」
三蜂レンカ
「…………さっきのは見なかったことにするわ。けど気をつけてね。」
真瀬志奈
「はい…………気をつけます。」
三蜂レンカ
「さて、私は自分のベッドに戻るわ。じゃあね。」
真瀬志奈
「はい…………。」
完全に立場が上…………この1年、本当にやれるんだろうか。
真瀬志奈
「もう…………疲れた…………。」
私は、早い眠りについた。
六郭星学園 Sクラス教室
真瀬志奈
「ふぅ…………。眠い…………。」
まぶたをこすりながら教室のドアを開ける。
崎盾ジュン
「ああ、志奈さん。おはよう。」
真瀬志奈
「崎盾さん!おはようございます。」
挨拶をすると、中神さんと伊剣さんも教室に入って来た。
中神シンジ
「おはよう…………。」
伊剣タイガ
「おはよう。志奈、ジュン。今日は唐突になるが、放課後に六郭星ランドに行くぞ。」
真瀬志奈
「六郭星ランドですか!それはまた何故急に?」
伊剣タイガ
「ああ…………風紀委員会の委員長が暴走しだしてな。ちょっと偵察に行こうかとな。」
中神シンジ
「……………………ふん。邪魔になるだけだ。それより例の件を先に…………!」
伊剣タイガ
「シンジ。それは先生方に報告をしてからだ。まずは放課後、六郭星ランドに行くぞ。」
中神シンジ
「………………致し方ない。」
伊剣タイガ
「という訳だ。志奈、ジュン。協力してくれないか?」
真瀬志奈
「そうですね…………こともことですし…………。」
崎盾ジュン
「やむを得ないね。」
伊剣タイガ
「すまないな。では、放課後…………。」
こうして私たちは放課後まで授業を受けて、六郭星ランドに向かった。
六郭星ランド
真瀬志奈
「ここが、六郭星ランド…………!」
私たちは六郭星ランドに来た。六郭星学園のすぐ近くにある遊園地で、六郭星学園の学生も良く出入りをしている。
私はここには来たことは無かったので、こんな形で六郭星ランドに来れるとは思いもしなかった。
伊剣タイガ
「2組に分かれよう。私と志奈。ジュンとシンジで行動しよう。そちらは頼むぞ。」
崎盾ジュン
「うん。任せて。」
中神シンジ
「ふん…………。」
そう言って、崎盾さんと中神さんはフードコートの方へ向かった。
伊剣タイガ
「さて…………ゲームコーナーの方へ向かおう。」
真瀬志奈
「そうですね。ゲームコーナーにいるかもしれませんからね。」
私たちはゲームコーナーへ行くことにした。
六郭星ランド ゲームコーナー
ゲームコーナーに来た。私たちは、三蜂さんを探す。
真瀬志奈
「いなさそうですね。」
伊剣タイガ
「そうだな。…………仕方ない。せっかく来たんだ。クレーンゲームでもするか。」
真瀬志奈
「えっ…………良いんですか?」
伊剣タイガ
「構わない。せっかくの機会。私も気分転換しないとな。」
真瀬志奈
「伊剣さんが言うのなら…………私もお付き合いさせていただきます。」
伊剣タイガ
「ありがとう。…………おっ。ピンボールがある。クレーンゲームではなく、これをやるか。」
私たちはピンボールをやることにした。ピンボール…………やったことがない。
案の定、私はミスを繰り返していた。上手く的に当たらない。
伊剣タイガ
「志奈。貸してみろ。ここをこうするんだ。力は入れなくても良い。」
伊剣さんがバーを放すと白い球は得点のバーに当たる。
真瀬志奈
「すごいです…………!」
伊剣タイガ
「今度は志奈の番だ。やってみよう。」
真瀬志奈
「は、はい。こうですか?」
伊剣さんのやった通りにやると、白い球はバーに当たった。
真瀬志奈
「やった…………!やりました!」
伊剣タイガ
「その調子だ。…………ああ。もうこんな時間か。また遊びに来よう。」
真瀬志奈
「はい。またピンボールで遊びましょう。」
私たちはフードコートにいる崎盾さんたちのところへ向かう。
六郭星ランド フードコート
崎盾ジュン
「ああ。志奈さん。タイガ。お疲れ…………。」
伊剣タイガ
「どうやら、2人はご飯を食べていたようだな。」
中神シンジ
「ふん…………崎盾が言い出したからな。」
伊剣タイガ
「まあ、私たちも人のことは言えないからな。」
崎盾ジュン
「えっ、それってどういうこと?」
伊剣タイガ
「さ、学園に戻るぞ。」
伊剣さんは崎盾さんに色々、話を聞かれるもなあなあに返事をし、私たちは学園に戻った。
六郭星学園寮 志奈・レンカの部屋
部屋に戻ると、私は作曲を行う。今日、練習できなかった分を取り返すためにだ。せっかくの作曲だから、伊剣さんの演奏が目立つ、曲にしようと、曲の中に取り入れる。
熱中したのか、三蜂さんに声をかけられた。
三蜂レンカ
「何しているの?」
真瀬志奈
「あっ、戻られたんですね。今、謝恩会で声優さんが歌われる曲を作っていた最中です。」
三蜂レンカ
「そう…………ねえ、少し聞かせて。減るもんじゃないでしょ?」
真瀬志奈
「えっ…………そうですね…………。伊剣さんとの2人で会っているときに口出ししないなら良いですよ。」
私は少し茶化しながら言った。
三蜂レンカ
「くっ…………仕方ないわね。口出しはしないから聞かせて。」
真瀬志奈
「わかりました。」
私は少し、スカッとしながら演奏を始めた。
三蜂レンカ
「なるほど…………良い曲じゃない。」
真瀬志奈
「はい。ありがとうございます。」
三蜂レンカ
「確かにこの曲はタイガの演奏が不可欠ね。仕方ないから期待してあげる。」
真瀬志奈
「…………どうも。」
私は一応のお墨付きをいただき、作曲を切り上げた。
伊剣さんとの作曲はどんな風になるのか…………ドキドキです。




