第2章 真っ赤な夕日(三蜂レンカ編)後編
六郭星ランド
真瀬莉緒
「ここが六郭星ランド…………。」
六郭星学園のすぐ近くにある遊園地で、六郭星学園の学生も良く出入りをしている。
僕はここには来たことは無かったので、こんな形で六郭星ランドに来れるとは思いもしなかった。
三蜂レンカ
「さあ、行くわよ。二手に分かれて行動するわ。あなたはフードコートに行って。」
真瀬莉緒
「はい…………わかりました。」
僕は言われたとおりにフードコートへ行く。
フードコート
真瀬莉緒
「へえ、広いな。食べ物も美味しそうなものばかりだ。」
フードコートに来た僕は、その広さに圧巻していた。
するとそこに、以前に迷惑をかけた来川さんがいた。
来川ナナ
「あっ…………こんにちは。」
真瀬莉緒
「ああ、来川さん。こんにちは。以前はすみませんでした。」
来川ナナ
「いえ、大丈夫ですよ。真瀬さんは助けようとしてくれたじゃないですか。」
真瀬莉緒
「…………すみません。ありがとうございます。」
来川ナナ
「今日はここに来たってことは、偵察ですか?」
真瀬莉緒
「三蜂さんに言われたので…………。」
来川ナナ
「大丈夫ですか?彼女…………ちょっとやばい人ですよ。」
真瀬莉緒
「…………そうですけど、課題のパートナーですから。」
来川ナナ
「課題のパートナーなんですか…………それは不幸中の不幸ですね…………。」
真瀬莉緒
「……………………。」
僕は黙り込むと、そこに冬原さんもやって来た。
冬原マイカ
「あらぁ?あなた、ここにいたのねぇ。あなたのパートナー、タクトっていう人と揉めてるわよ。」
真瀬莉緒
「月川さんとですか?どこにいますか?」
冬原マイカ
「観覧車に近くだったかしらぁ…………?」
僕はそれを聞くと、急いで観覧車に向かった。
観覧車付近
観覧車付近に行くと、確かに月川さんと三蜂さんが揉めていた。
月川タクト
「一体何が悪い!そもそも、恋愛なんてしていない!」
三蜂レンカ
「とぼけるんじゃないわよ!あなたは恋愛をしているんじゃないの!」
月川タクト
「何を根拠に…………!」
真瀬莉緒
「三蜂さん!!」
僕は三蜂さんの腕を掴む。
真瀬莉緒
「これ以上はやめましょう!頭を冷やしに、観覧車に乗りましょう!」
そう言って、僕は観覧車に三蜂さんと乗り込んだ。
月川タクト
「ふぅ…………。」
来川ナナ
「大丈夫?」
月川タクト
「ああ、莉緒のおかげでね。」
冬原マイカ
「あの子、大変そうねぇ。」
月川タクト
「何とかしてくれるとは思うけれど…………。」
観覧車内
三蜂レンカ
「ちょっと!どういうつもりよ!」
真瀬莉緒
「三蜂さん。やめましょう。さすがに限度があります。」
三蜂レンカ
「降ろしてよ!こんなの、恋愛よ!」
真瀬莉緒
「ここには防犯カメラもあります。何かされても証拠は残ります。」
三蜂レンカ
「くっ…………。……………………。」
三蜂さんは落ち着いたのか、僕の真正面に座る。
三蜂レンカ
「それで?どうするつもりなの?」
真瀬莉緒
「はい。とりあえず電子音ではありますが、音源の録音をしましょう。課題の曲、声優さんに聞いてもらうんですよね?」
三蜂レンカ
「…………そうね。あなたのことだから何かは考えているのよね?」
真瀬莉緒
「ええ。考えてはいます。ここを…………こうして…………。」
僕は音源を入力して、録音をした。
真瀬莉緒
「さて、聞いてください。録音した音源を。」
三蜂レンカ
「ええ。聞かせて。」
僕は音源を流す…………。
真瀬莉緒
「どうでしょうか?」
僕は三蜂さんに問いかける。
三蜂レンカ
「良いんじゃないの?私はあの声優さんにも合っている気がするんだけど…………。」
真瀬莉緒
「イヤホンをすると、また違って聞こえますよ。はい。イヤホンです。」
僕はイヤホンを渡す。三蜂さんはイヤホンを手に取ると、片耳につける。
真瀬莉緒
「三蜂さん?」
三蜂レンカ
「仕方ないでしょう?ほら、あなたも片耳につけなさい。」
僕は思いもよらない言葉に動揺をするも…………
真瀬莉緒
「わかりました…………隣に失礼します。」
僕は三蜂さんの隣に座る。
そして、僕たちは音源を聴く。
三蜂さんはじっくりと音源を聴いていた。僕も自分で作った曲をしっかり聴く。
三蜂レンカ
「…………なかなか良い曲じゃない。認めてあげるわ。音楽の才能は。」
真瀬莉緒
「ありがとうございます。」
三蜂レンカ
「そろそろ頂上に着くわね。あら…………真っ赤な夕日ね…………。」
真瀬莉緒
「素敵…………ですね。」
三蜂さんは夕日を見つめていた。そんなに夕日が好きなのだろうか?
真瀬莉緒
「夕日…………好きなんですね。」
三蜂レンカ
「うっ…………うう…………。」
真瀬莉緒
「三蜂さん!?大丈夫ですか?」
三蜂さんは意識を失う。
僕はスマホで伊剣さんと姉さんに助けを呼んだ。
伊剣さんは何かを察したのか、冷静に話を聞いて、こちらにやって来るみたいだ。
姉さんも伊剣さんと一緒にいたため、伊剣さんと来るみたいだ。
真瀬莉緒
「大丈夫ですからね。ゴンドラを降りるまでの辛抱ですからね!」
僕はまだかまだかとゴンドラが下に降りるのを待つ。
ゴンドラが下に降りる。僕はスタッフさんに協力を求め、三蜂さんを観覧車から降ろした。
伊剣タイガ
「莉緒!」
真瀬莉緒
「伊剣さん!すみません…………。」
伊剣タイガ
「構わない。しかし、なぜこうなったんだ。」
真瀬志奈
「莉緒…………。レンカに一体何があったの?」
真瀬莉緒
「それが、夕日を見た瞬間にうずくまって意識を…………。」
伊剣タイガ
「夕日か…………。」
真瀬莉緒
「もしかして、何か夕日にありましたか?」
伊剣タイガ
「ああ…………知らないみたいだな。あいにく、私もあまり詳しくはないが…………。」
真瀬莉緒
「そうですか…………。」
三蜂さんは医務室に運ばれて、意識の回復を待つことになった。
六郭星学園寮 ロビー
僕たちは一度、寮に戻って近くにいた矢次由佳里先生に報告をした。
矢次由佳里
「そう…………。あの子…………やっぱり、苦しんでるのね。」
真瀬莉緒
「何か心当たりがあるんですか?」
矢次由佳里
「それは…………教えることもできるけれど、生徒に教えることは…………。」
真瀬莉緒
「そ…………そうですよね。すみません…………。」
伊剣タイガ
「今は志奈が六郭星ランドの医務室にいます。そろそろ報告があるはずですが…………。」
すると、そこに姉さんが戻って来た。三蜂さんを連れて。
真瀬莉緒
「み、三蜂さん…………大丈夫ですか?」
三蜂レンカ
「…………ええ。何とか。」
そう言って、三蜂さんは寮の部屋に行ってしまう。
真瀬志奈
「…………莉緒。ごめん。」
姉さんも追いかけるように、部屋へと戻る。
真瀬莉緒
「三蜂さん…………。」
すると、伊剣さんが僕の肩に手をやる。
伊剣タイガ
「大丈夫だ。三蜂のこと…………頼むぞ。」
真瀬莉緒
「…………はい。」
僕は三蜂さんのことを考えながら、寮の部屋に戻る。




