第4章 茶色いドレスをまとって(中神シンジ編)前編
冬。中神さんの状態も落ち着き、今は特に変わったこともなく平穏な日常を過ごしている。ただ、私たちはある難題に直撃しているそれはというと…………。
真瀬志奈
「期末テスト…………。」
中神シンジ
「仕方ない…………。頑張るか…………。」
六郭星学園のテストは1年に1回しか行われない。しかもそのテストは1年間に学んだものが出題範囲になっている……つまりはかなり膨大な範囲のテストが行われる。
真瀬志奈
「頑張りましょう。今後の進路に響きますからね。」
中神シンジ
「わかっている。伊剣と崎盾も呼んで、勉強会だ。」
真瀬志奈
「はい。やりましょう!」
そんなこんなで、生徒会で勉強会をやろうと思っていたが、莉緒たちも勉強会をしようと思っていたので、莉緒たちも加わり、8人で勉強会をやることになった。
六郭星学園 Fクラス教室
私たちは莉緒たちのクラスで勉強会をすることになった。和気あいあいとした感じで勉強会は進んでいる。1人を除いて。
三蜂レンカ
「……………………。」
柚木アイラ
「仕方ないですよ…………。中神さんと真瀬さんは…………。」
真瀬莉緒
「そうだよ。まだ確定ってわけではないから…………。」
笹野ユリ
「レンカ…………。」
三蜂レンカ
「ふぅ…………仕方ないわね。認めてあげる。2人がどんな関係性かはわからないけれど…………。」
伊剣タイガ
「どうやら…………認めてくれたようだな。」
崎盾ジュン
「良かったね!」
中神シンジ
「ふん…………まだ決まったわけではない。」
真瀬志奈
「そ、そうですよ!でも…………わからないかもしれません。」
中神シンジ
「……………………。」
そして私たちはひたすらと勉強会を進めて行った。
伊剣タイガ
「よし、切り上げよう。みんな寮に戻るように。」
全員が椅子から立ち上がる。私も立ち上がろうとしたときだった。
ギギ……ガガ……
真瀬志奈
「えっ……!?」
この耳鳴りは……!?
ギギ……ガガ……
苦しい…………!
私はその場に倒れ込んだ。
崎盾ジュン
「志奈さん!?」
伊剣タイガ
「誰か!急いで保健室に!!」
私の意識が遠のいていく…………
六郭星学園 保健室
目が覚めると、そこは保健室だった。私はベッドの上で寝ていたみたいだ。
笹野ユリ
「目が覚めたみたいね。まったく…………心配したんだからね。」
真瀬志奈
「笹野さん…………すみません。ご心配をおかけしました。」
笹野ユリ
「そんなにかしこまらなくて良いわよ。疲れているのよきっと。…………無理してない?」
真瀬志奈
「いえ、無理はしてないと…………思います。」
私は、迷いがありつつもそう答える。
笹野ユリ
「そう…………なら良いけど。それじゃあ、寮に戻りましょう。」
真瀬志奈
「はい。今日はありがとうございます。」
笹野ユリ
「どういたしまして。」
笹野さんは少し、微笑みながらそう言った。
それを見た私は、ホッとして寮に戻って、眠りについた。
六郭星学園 Sクラス教室
今日も勉強会が行われる。生徒会のみなさんはもちろん、莉緒たちもいる。みんな勉強に励んでいるみたいだ。
するとそこへ、日比谷先生が何かを持ってやって来た。
柚木アイラ
「日比谷先生…………?」
日比谷直輝
「どうやら、悩んでいるようだな。」
真瀬莉緒
「はい…………。」
日比谷直輝
「我々は、きっと大丈夫だと信じているからな。…………気分転換にこれを渡しに来た。」
三蜂レンカ
「これは…………ハンバーガー?」
日比谷直輝
「ちょうど良い頃合いだろうと思ったからな。とにかく頑張りたまえ。」
そう言って、日比谷先生は教室から離れた。
ハンバーガーを確認すると、全員の好みが一致していた。さすが日比谷先生だ。
崎盾ジュン
「とりあえず食べようか。お腹もすいてきたことだし。」
伊剣タイガ
「腹が減っては戦はできぬとも言う。食べよう。」
私たちはハンバーガーを食べるが、中神さんは食べようとしない。
真瀬志奈
「どうかしましたか?」
中神シンジ
「いや…………その…………ピクルスが苦手でな。」
中神さんはハンバーガーの中に入っているピクルスが苦手なようだ。
中神シンジ
「真瀬。これ…………悪いが食べてくれるか?」
真瀬志奈
「私ですか?良いですよ!あーん…………。」
中神シンジ
「むっ!?…………ああ。そうか。」
私は口を開けて、中神さんにフォークで食べさせてもらった。
それに対し、みなさんの反応はバラバラだった。
崎盾さんと笹野さん。莉緒は喜んでいた。
伊剣さんは少し、ため息をついていた。
三蜂さんは頭を抱えている。
そして、柚木さんは…………顔を赤らめていた。
中神シンジ
「な、なんだ…………この空間は?」
真瀬莉緒
「良いんだよ。いろいろと。変わったね、みんなも。」
三蜂レンカ
「そうね…………。色々と考えが変わったけど、何かあったら容赦はしないわよ。」
笹野ユリ
「それでも、レンカも変わったわね。シンジも。」
中神シンジ
「俺か?俺は何も変わっていない。」
笹野ユリ
「そう?だけど、色々と志奈に迷惑かけてたじゃない。」
中神シンジ
「それは…………一理あるな。」
笹野さんは中神さんを茶化す。中神さんもそれに対応を上手くしている。
真瀬志奈
「中神さん…………。」
私はとても嬉しかった。中神さんの心が取り戻せたかと思うように…………。
伊剣タイガ
「さあ、ハンバーガーも食べ終わった。勉強の続きをしよう。」
ハンバーガーを食べ終えた、私たちはラストスパートをかけ、勉強する。
そして、数日後。




