第3章 アクアマリンの水しぶき(崎盾ジュン編)中編
真瀬志奈
「崎盾さんは何を悩んでいるんですかね…………?」
柚木アイラ
「多分、生徒会のことだと思います…………。」
真瀬志奈
「せ、生徒会…………。」
柚木アイラ
「生徒会は志奈さん。伊剣さんと中神さん。そしてジュンくん。この4人で生徒会が成り立っています。」
真瀬志奈
「それは知っています…………でもそのメンバーに何か不満があるんですか?」
柚木アイラ
「伊剣さんと中神さん。あの2人の対立が問題だと思います。」
真瀬志奈
「伊剣さんと中神さんですか?」
柚木アイラ
「ジュンくんは今は中立の立場になり、そして、獣の騒動であの2人はかなりいがみ合っています。」
真瀬志奈
「その中立の立場に苦しみだしたんですね…………。」
柚木アイラ
「志奈さん。生徒会の一員であるあなたにお願いします。どうかジュンくんを助けてあげて!」
真瀬志奈
「柚木さん…………。」
私は何も言えず、部屋を出た。
真瀬志奈
「一体どうすれば良いのか…………。」
そのときだった。
ギギ……ガガ……
真瀬志奈
「えっ……!?」
何……この耳鳴りは……!?
ギギ……ガガ……
苦しい…………!
私はその場に倒れ込んだ。
意識が遠のいていく…………。
六郭星学園 保健室
目が覚めると、そこは保健室だった。
風亥ノクア
「あっ。目が覚めたみたいだ。」
霧宮ナツハ
「こんにちは。大丈夫?」
真瀬志奈
「か、風亥さんに霧宮さん!?」
私は目が覚めるといきなりドキドキしている。有名人に介抱されていたからだ。
霧宮ナツハ
「大丈夫そうね。私もそろそろ撮影に行かないと…………。」
風亥ノクア
「そういうナツハは大丈夫なの?」
風亥さんがそう言うと、霧宮さんはうつむく。
真瀬志奈
「ま、まあ…………大丈夫じゃないですか?」
私はすかさずフォローをする。
霧宮ナツハ
「そ、そうよ!…………大丈夫よ!」
風亥ノクア
「まあ…………それなら良いんだけど…………。」
風亥さんは疑いの目で霧宮さんを見ている。
真瀬志奈
「あの…………介抱していただきありがとうございます。おかげで元気が出ました。」
風亥ノクア
「そうか…………それならもう確かに大丈夫そうだね。僕もそろそろ行くよ。またどこかで会おうね。」
そう言うと、風亥さんは保健室から出て行った。
霧宮ナツハ
「あの…………ありがとうね。フォローしてくれて。私も行くわ。」
そう言って、霧宮さんも保健室から出て行った。
真瀬志奈
「さて…………私もそろそろ部屋に戻ろうかな…………。」
私は重たい身体を起こし、寮へ戻る。
六郭星学園 中庭
真瀬志奈
「崎盾さんを救うためにはどうしたら…………?」
そう考えていると、辺りに眩い光が包む。
真瀬志奈
「な、何!?」
光が消えるとそこには1人の男性の姿が見えた。
真瀬志奈
「あ、あなたは…………?」
??
「真瀬志奈さんだね。」
真瀬志奈
「ど、どうして私の名前を!?」
虹谷サイ
「自己紹介がまだだったね。僕は虹谷サイ(にじや さい)。僕はある人物を追ってここに来たんだ。」
真瀬志奈
「ある人物を…………その人は一体?」
虹谷サイ
「崎盾ジュンに決まっている。彼を捕まえに来たんだよ。」
真瀬志奈
「崎盾さん…………?一体どうして!?」
虹谷サイ
「彼は大きい罪を犯した。ただそれだけだよ。」
真瀬志奈
「…………警察か何かですか?」
虹谷サイ
「いや。違うよ。けど、彼を連れて行くよ。」
虹谷と言う人は、寮の方へ向かう。私はその虹谷と言う人の腕を掴む。
虹谷サイ
「何をするんだい?」
真瀬志奈
「わ、私は崎盾さんが罪を犯したとは思いません。どうして崎盾さんを追い詰めるんですか!?」
虹谷サイ
「追い詰める?…………どうしてそう思うんだい?」
真瀬志奈
「私は…………!どんな罪を犯したのかはわかりません。けど、崎盾さんのことを信じています!」
虹谷サイ
「……………………。」
真瀬志奈
「どうかお引き取りください。お願いいたします。」
虹谷サイ
「…………後悔するだけだよ。」
そう捨て台詞を吐くと、また眩い光で辺りが包まれる。
真瀬志奈
「一体、何だったの…………?」
私は気持ちを切り替えて、寮の部屋へ戻った。
六郭星学園寮 志奈・アイラの部屋
部屋に戻ると、柚木さんが心配しながら声をかけた。
柚木アイラ
「志奈さん…………大丈夫ですか?…………さっき、霧宮さんが志奈さんが倒れたと…………。」
真瀬志奈
「柚木さん…………すみません。ご心配をおかけしました。」
柚木アイラ
「いえ…………大丈夫なら問題はないです。」
真瀬志奈
「それよりも、崎盾さんのことで色々とあったんです。」
柚木アイラ
「ジュンくんの…………?」
真瀬志奈
「……………………。」
言おうと思ったものの、何も言えなかった。信じている。けれど確証がない。
何かを察したのか、柚木さんはこんな話をする。
柚木アイラ
「ちょっと勝負しませんか?」
真瀬志奈
「勝負ですか…………?」
柚木アイラ
「はい…………カルタで勝負しませんか?勝ったら、ジュンくんのことは気にしないでください。」
真瀬志奈
「それは…………。」
私は悩んだ。しかし、柚木さんには何か考えがあるんだろうと思い、私は勝負に乗ることにした。
真瀬志奈
「わかりました。手加減はしませんよ。」
私たちは、カルタで勝負することにした…………。




