第2章 ホワイトストロベリー(柚木アイラ編)後編
六郭星学園 音楽室
三蜂さんにばれないように僕たちは音楽室で楽曲の作成を行っていた。
そして、日が暮れて…………僕たちは曲の基盤を完成させた。
柚木アイラ
「完成…………しましたね。」
真瀬莉緒
「そうですね。じゃあ…………全体を通して演奏しましょうか。」
柚木アイラ
「そうですね。…………やりましょう。」
僕たちは完成した基盤を初めて演奏をする…………!
演奏し終えた僕たちは、安堵の表情を浮かべて床に座り込む。
真瀬莉緒
「ふぅ…………出来ましたね。これならあとはアレンジと演奏の練習のみですね。」
柚木アイラ
「はい…………。これならきっと、喜んでくれると思います…………声優さんも、学園のみなさんも。」
柚木さんはそう言うと、赤い本を開き、読み始めた。
真瀬莉緒
「……………………そういえばその本、前にも見ていましたよね。その本好きなんですか?」
柚木アイラ
「あっ…………はい。…………そうなんです。」
真瀬莉緒
「どんな作品なんですか?ちょっと気になります。」
柚木アイラ
「あっ…………それはちょっと…………。」
真瀬莉緒
「………………あっ。すみません。」
柚木アイラ
「いえ、いいんです。…………でも、いつかお話できたらと思います。」
真瀬莉緒
「…………そのときはぜひ聞かせてください。」
すると、音楽室に誰かが入って来た。
柚木アイラ
「あっ…………日比谷先生…………。」
日比谷先生は僕たちの顔を見ると、苦笑した顔で口を開く。
日比谷直輝
「その様子だと、三蜂に邪魔されたようだな。」
柚木アイラ
「…………はい。それで…………謝恩会のときの楽曲を…………。」
日比谷直輝
「そうか…………それならこれを渡そう。いちご狩りのチケットだ。ここに3枚ある。私もついては来るが、本当はどこかに行きたいんだろう。今から行くがもし良ければどうだ?」
真瀬莉緒
「僕は大丈夫ですが、柚木さんは…………?」
柚木アイラ
「…………大丈夫です。行きましょう。日比谷先生…………お願いします。」
日比谷直輝
「そう言うと思った。よし、行くぞ。」
僕たちは日比谷先生にいちご狩りに連れてってもらう…………。
いちご狩りビニールハウス
真瀬莉緒
「ここが、いちご狩りの場所ですか。初めて来ました。」
日比谷直輝
「無理もない。あまり来ることはないからな。さて…………2人とも、好きなだけ食べると良い。私は奥のいちごでも食べるとする。」
日比谷先生は奥の方へ歩いて行った。
柚木アイラ
「…………食べましょうか。」
真瀬莉緒
「そうですね。せっかく来たんですから、たくさん食べましょう!」
僕たちはさっそくいちごをもぎ取る。手に取ったいちごはとても真っ赤だった。
真瀬莉緒
「いただきます。」
いちごを丸かじりする。そのいちごはとても美味しかった。
真瀬莉緒
「うん。美味しい。」
僕は2個目のいちごを手に取る。すると、柚木さんと手が触れる。
真瀬莉緒
「あっ…………。すみません。」
柚木アイラ
「いえ…………。こちらこそすみません。」
柚木さんは謝るが、なぜか重なった手を離さない。
真瀬莉緒
「柚木さん…………?」
柚木アイラ
「…………あっ。すみません!」
我に返った柚木さんは、手を離した。
真瀬莉緒
「…………とりあえず食べましょうか。」
僕たちは黙々といちごを食べる。すると、日比谷先生が僕たちを呼ぶ。
日比谷先生に呼ばれた場所に行くと、今度は白いいちごがあった。
真瀬莉緒
「珍しいですね。白いいちごですか?」
日比谷直輝
「ああ。しかし、1つしかない。どちらが食べるか決めてくれないか?」
真瀬莉緒
「そうですね…………じゃあ、ここは柚木さんに…………。」
柚木アイラ
「あっ…………良いんですか?」
真瀬莉緒
「もちろんですよ。いつもお世話になっているお礼です。」
柚木アイラ
「わ、わかりました。では…………。」
柚木さんは白いいちごを半分かじる。
すると、僕の口の近くにいちごを近づける。
真瀬莉緒
「えっ…………?」
柚木アイラ
「はい。半分こしましょう。あーんしてください。」
真瀬莉緒
「えっ…………あ、じゃあ…………。」
僕は白いいちごを食べた。
真瀬莉緒
「うん。甘くて、美味しいです。」
柚木アイラ
「良かったです…………。」
日比谷直輝
「ふっ…………来たかいがあったな。」
真瀬莉緒
「あっ…………日比谷先生…………。」
日比谷直輝
「気にしないでくれたまえ。それより…………厄介なやつに会ってしまった…………。」
柚木アイラ
「厄介な人…………?」
??
「おおー!!真瀬の弟じゃないか!元気にしてたか!?」
真瀬莉緒
「鹿崎先生!」
この人は鹿崎咲也先生。前の学校のとき、姉さんの担任をしていたことがあり、僕もある程度は知っている。
鹿崎咲也
「直輝にしては珍しいな。生徒を連れて、こんなところに来るなんて!しかも直輝のクラスじゃない生徒じゃないか!」
日比谷直輝
「ああ。まあ…………三蜂のこともあるからな。」
鹿崎咲也
「ああ、あの子か。それで、気にかけて…………まあ、こっちもそれで連れてきたからな。自分のクラスの生徒だけどな。…………挨拶できるか?」
夜坂ケント
「人を挨拶できない人と思わないでください…………。夜坂ケント(よるさか けんと)。よろしく。」
真瀬莉緒
「は、はい。よろしくお願いします。」
ぶっきらぼうな人…………そんな感じがした。
鹿崎咲也
「それより、もう門限も近いし、そろそろ戻らないか?」
日比谷直輝
「ああ。それもそうだな、帰るか。2人も良いだろうか?」
柚木アイラ
「はい…………大丈夫です。今日はありがとうございました。」
真瀬莉緒
「ありがとうございました。僕も構いません。」
日比谷直輝
「それでは…………学園に戻るか。」
僕たちは、楽しいいちご狩りを楽しみ、学園に戻った。
六郭星学園寮 莉緒・ジュンの部屋
真瀬莉緒
「戻りました…………。」
崎盾ジュン
「おかえり。今日は遅かったね。」
真瀬莉緒
「はい。今日は日比谷先生にいちご狩りに連れていただきました。」
崎盾ジュン
「へえ、日比谷先生が?珍しいね。」
真瀬莉緒
「ええ、まあ訳があってですね…………。」
崎盾ジュン
「興味があるね。教えてよ。」
真瀬莉緒
「はい。…………それでですね…………。」
六郭星学園寮 志奈・アイラの部屋
柚木アイラ
「少年と少女は、素敵な実を見つけ…………分け合い甘みを感じる…………。」




