第2章 ホワイトストロベリー(柚木アイラ編)中編
六郭星学園 Fクラス教室
真瀬莉緒
「ふぅ…………眠い…………。」
僕はあくびをしながら、席に座る。教室に入るのはいつも1番乗りで、誰もいない。
誰かが来るまで寝ようかと思っていたら、珍しく柚木さんが入って来た。普段ならこんな早い時間に来るなんてあまりない人のはずだが…………。
柚木アイラ
「あっ…………莉緒さん…………。どうしよう…………。」
真瀬莉緒
「えっ…………どうかしましたか?」
柚木アイラ
「はい…………ちょっと今から、生徒会のみんなが来ます…………。」
真瀬莉緒
「生徒会…………?どうしてこんなところに?」
そう聞くと、教室のドアが開く。
伊剣タイガ
「失礼する。」
真瀬莉緒
「い、伊剣さん…………!」
生徒会の面々が並び、姉さんもやって来る。そして今度は、笹野さんと三蜂さんが教室に入って来る。次第に入って来たのは各委員会の委員長だった。
真瀬莉緒
「これは…………一体どういうことですか?」
戸惑う僕を見て、笹野さんが伊剣さんに声をかける。
笹野ユリ
「タイガ。お姉さんも生徒会だし、莉緒くんにも言った方が良いんじゃない?」
伊剣タイガ
「そうだな…………。莉緒。君も聞いてほしい。会議に参加してくれ。」
真瀬莉緒
「あっ…………はい。わかりました。」
うぅ…………生徒会の会議に参加するのは初めてだ。
会長は委員長たちの顔を見ると、淡々と話し始める。
伊剣タイガ
「この数日で、獣の目撃情報が多数寄せられている。各委員会の委員長、そして生徒会はこの学園に何かあった際には連絡を教員にするように。」
真瀬莉緒
「獣…………?」
伊剣さんはそう言うと、今度は中神さんが口を開く。
中神シンジ
「忌まわしき獣は処刑せよ!見つけたらすぐに処罰せよ!」
伊剣タイガ
「シンジ。余計なことは言うな。それに獣は…………。」
中神シンジ
「うるさい!獣は全て悪だ。見つけ次第直ちに罰せないと…………」
伊剣タイガ
「ダメだ!!」
崎盾ジュン
「ちょっと…………2人とも!」
中神さんは興奮したのか、伊剣さんの胸ぐらをつかむ。つかまれた伊剣さんは冷静だ。
すると日比谷先生がやって来て、中神さんを止める。
日比谷直輝
「中神!やめるんだ!!少し、落ち着けて来い!!」
中神シンジ
「…………ぐっ。」
中神さんは教室から出て行った。
伊剣タイガ
「では…………これにて、会議を終える。みな、自分の教室に戻り、授業を受けるように。」
会議を終えると、伊剣さんは僕のところへやって来る。
伊剣タイガ
「すまない…………見苦しいところを見せてしまって…………。」
真瀬莉緒
「い、いえ!大丈夫ですよ。気にしないでください。…………それより獣って一体…………?」
伊剣タイガ
「ああ…………それか…………。時期にわかるかもしれない。また今度詳しく話す。すまないが今は勘弁してくれ。」
真瀬莉緒
「……………………わかりました。」
伊剣タイガ
「ありがとう。ではこれで失礼する。」
伊剣さんは教室をあとにする。それに続いて、崎盾さんも出ていく。
そして、姉さんは教室をあとにする際に、僕に一言話した。
真瀬志奈
「今日、私も初めて知ったわ…………この学園、何かあるわね。」
そう言って、教室から出てった。
残ったのは、Fクラスの面々だ。どう会話しようか迷っていると、柚木さんが声をかけてくれた。
柚木アイラ
「莉緒さん…………。どうでしたか?」
真瀬莉緒
「正直、驚きを隠せません…………。まさか、生徒会にはこんな大事な役目があるなんて…………。」
そう言うと、笹野さんと三蜂さんもこちらに来る。
笹野ユリ
「委員会の委員長にも同じ役目が伝えられているの。でも…………莉緒にも伝えるなんて、会長としては珍しいわね。」
三蜂レンカ
「確かにね…………でも何か考えがあるんじゃないかしら?」
真瀬莉緒
「……………………。」
そうこう考えていると、クラスメイトたちが教室に入って来て、愛森先生も入って来る。
愛森宇蘭
「さ、みんな。ホームルームを始めるわよ。席に座って。」
殺伐とした会議を終えた僕らは、いつも通りの授業を受けた。
六郭星学園 図書室
放課後…………僕は図書委員の仕事をするため、図書室にいる。春のときより比べてだいぶ、図書委員の仕事に慣れた。図書室は意外と人が入るため、大忙しな日も多々ある。
今日はあんまり人はいないが、木沢アカリ(きざわ あかり)さんという、天真爛漫な性格の人が来ていた。
木沢アカリ
「こんにちはー!今日はこの本を返しに来ました!」
真瀬莉緒
「木沢さん。いつもありがとうございます。でも図書室ではなるべくお静かにお願いします。」
木沢アカリ
「えへへ…………気を付けるね。ウチ、また来るね!」
真瀬莉緒
「はい。お待ちしています。」
木沢アカリ
「それじゃあまたね!」
そう言って、木沢さんは図書室から離れた。
柚木アイラ
「だいぶ…………慣れましたね。」
真瀬莉緒
「はい。柚木さんのおかげです。ありがとうございます。」
柚木アイラ
「ふふ…………あの…………もしよければ仕事が終わったら、どこかに行きませんか?」
真瀬莉緒
「お、良いですね。どこへ行きますか?」
柚木アイラ
「じゃあ…………ここの…………。」
三蜂レンカ
「入るわよ。」
図書室に三蜂さんが入って来た。
真瀬莉緒
「柚木さん、楽曲の練習でもしませんか?」
柚木アイラ
「そうですね…………練習しましょう。」
三蜂レンカ
「……………………?」
三蜂さんの前で、デートなどの恋愛系は言語道断。同じクラスメイトでも何をされるかわからない。
僕たちは大人しく、楽曲の練習を行うことにした。




