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colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第3部 水崎アサヒ編
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第4章 臙脂色のマフラー(水崎アサヒ編)中編

期末テスト当日



矢次由佳里

「今日は期末テストです!みんな勉強はしたかな!?それじゃあ、期末テスト始めます!!」


クラスメイトたちが「はい。」と答える。


矢次由佳里

「それじゃあ……開始!!」


僕はその言葉で裏返したプリントをめくる……



テスト終了のチャイムが鳴る。

僕のプリントは空白欄は無く、出来る限りの答えを出した。そして全員が提出した……


テストの結果は大広間にて貼り出される。1位から最下位まで名前が載る。貼り出されるまでの間、ドキドキが止まらない。


そして……結果発表当日。


水崎アサヒ

「いよいよだ…………。どんな結果になるか…………。」


真瀬莉緒

「はい…………。」


そして、テストの順位が貼り出される……

生徒の人数は700人前後……僕たちの結果は……。


真瀬莉緒

「僕は……49位!良いところかも……!」


700人中の49位。上位にいると言っても過言ではない。


一方で…………水崎さんたちは…………。


水崎アサヒ

「33位か。まあまあの順位だな。」


どうやらギリギリ納得のいく順位だったみたいだ。


秋葉サヤ

「21位…………良かった。」


錦戸アケミ

「27位ね。まあ、許容範囲内ね。」


他の2人も満足が行く順位だったみたいだ。


あとは、オーディションだけだけど…………何かを忘れているような…………?


秋葉サヤ

「そういえば…………課題はできているの?」


真瀬莉緒

「あ!…………しまった。」


錦戸アケミ

「もしかして…………アサヒ、何も考えてなかったの?」


水崎アサヒ

「ああ…………そういえば、課題は別のことをやるって言って何もしていなかったな…………。」


水崎さんが悩んでいると、僕はあることを閃いた。


真瀬莉緒

「でしたら、今作っている曲を課題の発表で披露しませんか?」


水崎アサヒ

「課題を…………?それは名案かもしれないな。」


水崎さんはあっさりと賛成してくれた。前の時と比べて前向きになったのかもしれない。


錦戸アケミ

「2人の作った曲ね…………楽しみにしているわ。」


秋葉サヤ

「頑張ってね。…………応援しているわ。」


真瀬莉緒

「ありがとうございます。頑張ります!」


水崎アサヒ

「よし!そうと決まれば、練習だ!莉緒、音楽室に行くぞ!」


真瀬莉緒

「はい!」


僕たちはオーディションまでの間、練習をする日々を繰り返すことになった。



六郭星学園 音楽室



僕たちは数日間、音楽室に入り浸る日々が続いた…………声優さんに送る曲のアレンジを直したり、課題発表のための練習をしたりなど、色々とやっている。そして、今日。運命の日になった。


真瀬莉緒

「いよいよですね。オーディション。」


水崎アサヒ

「ああ、ここに音源もある。あとは声優さんに聞いてもらうだけだな。」


真瀬莉緒

「ここまで付き合ってくれてありがとうございます。」


僕は水崎さんにお礼を言った。


水崎アサヒ

「礼を言うのはこちらの方だ。莉緒、私は莉緒の音楽に出会っていなかったら、腐っていただろう。ありがとう。…………たとえ、このオーディションが良い結果じゃなくても…………。莉緒とのやりとりは無駄じゃないことだけは心から思うよ。」


真瀬莉緒

「水崎さん…………僕もあなたと一緒に作曲できたことを光栄に思います。」


水崎アサヒ

「ありがとう。…………じゃあ、行こうか。オーディション会場へ。」


真瀬莉緒

「はい。」



都内某所 オーディション会場



オーディション会場に来た僕たちは待機部屋で自分たちの番を待っていた。


真瀬莉緒

「もうすぐですね…………僕たちの番が…………。」


水崎アサヒ

「ああ、そうだな。きっと大丈夫だ。」


そして、出番が回って来た。


審査員A

「次の方、お願いします!」


僕たちは椅子から腰を上げて、声優さんたちがいる部屋に向かう。



真瀬莉緒

「失礼します。」


水崎アサヒ

「失礼します。」


審査員B

「それでは、こちらへ。」


僕たちは案内された席に座る。


真瀬莉緒

「真瀬莉緒と申します。本日はよろしくお願いいたします。」


水崎アサヒ

「水崎アサヒです。本日はよろしくお願いいたします。」


向かいの席には、真ん中に声優さんがいて、両サイドには審査員の2人がいた。


真瀬莉緒

「では…………こちらが音源です。歌詞は彼女が書きました。よろしくお願いいたします。」


そう言うと声優さんは頷き、音源の入ったCDをラジカセに入れた。


声優さんは再生ボタンを押す。そして聞き馴染みの音楽が流れる。


審査員と声優さんたちは音源を聞く…………。次第に声優さんは微笑みだした。


音楽が止まると、声優さんと審査員は拍手をしてくれた。


そして、声優さんは水崎さんに近づき、手を差し出した。


水崎アサヒ

「あ、ありがとうございます…………!」


水崎さんはとても嬉しそうに握手をしていた。そして、僕にも握手を求めてくれ、僕も握手をした。


真瀬莉緒

「ありがとうございます。」


その声優さんの表情から、僕たちの曲は歌ってもらえると確実に思った。


そして…………オーディション会場ですぐに結果が発表された。


結果は…………言うまでもなかった。僕たちの楽曲が採用された。


僕たちはオーディション参加者から拍手をもらい、会場をあとにした。



帰り道



水崎アサヒ

「やったな。莉緒。」


真瀬莉緒

「やりましたね。水崎さんの書いた歌詞は見れませんでしたが…………。」


水崎アサヒ

「ああ…………そういえばそうだな。代わりと言えばあれだが…………。はい。」


真瀬莉緒

「あっ…………。」


水崎さんは臙脂色のマフラーを僕の首に巻いた。そして、そのマフラーを水崎さんは自分の首にも巻いた。


水崎アサヒ

「莉緒。しばらくはこれで我慢してくれ。その…………きっと喜んでくれるはずだ。」


真瀬莉緒

「水崎さん…………。ありがとうございます。その…………待ってますから。」


そして、僕たちは六郭星学園に戻った。

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