第2章 シーグリーンライト(水崎アサヒ編)後編
リゾートホテル
僕たちはリゾートホテルに着いた。
凪野雪緒
「みんな。楽しんでくれよな!」
矢次由佳里
「でも、あまり興奮しないようにね!」
先生方からの忠告を受けながらも僕たちは早速、温水プールに向かう。
温水プール
真瀬莉緒
「おお、ここが温水プール…………なかなか広いな。」
真瀬志奈
「じゃあ、莉緒。私たちはプールサイドにいましょう。」
真瀬莉緒
「そうだね。じゃあ、水崎さんたちは楽しんで!」
水崎アサヒ
「うむ。楽しもうではないか。」
秋葉サヤ
「アケミ…………無理しないでね。」
錦戸アケミ
「ええ。大丈夫よ。泳ぎはできないから、プールサイドでじっとしてるわ。」
土原ガク
「それじゃあ。泳ごー!!」
雪谷マコト
「ガク!飛び込みは禁止ですよ!」
土原さんたちは早速泳ぎに入る。
錦戸アケミ
「それじゃあ、楽しんで。」
真瀬志奈
「それにしてもみんな、良い水着を着ているわね。」
水崎アサヒ
「そ、そうか。まあな。」
秋葉さんは緑のワンピースの水着でとてもかわいらしく、錦戸さんは水色の水着にラッシュガードを着ており、水崎さんは…………紅のビキニがとても眩しいほど目立つ。
秋葉サヤ
「さ、行きましょう…………。」
水崎アサヒ
「ああ。ガク!今行くからな!」
水崎さんと秋葉さんは土原さんたちのところへと向かった。
一方で泳げない僕たちはプールサイドで楽しくみんなを見ていた。
真瀬志奈
「ところで、アサヒとは順調に作曲は進んでいるの?」
姉さんが唐突に水崎さんについて聞いてきた。
真瀬莉緒
「うーん…………本人にはあまり協力してもらえていないんだけれど…………今は土原さんが手伝ってくれるみたいだから…………まあ、順調なのかな?」
真瀬志奈
「…………そう。ガクがね。」
真瀬莉緒
「何かあったの?水崎さんのことを聞くなんて。」
真瀬志奈
「えっ…………ああ。ちょっとね…………アサヒ、最近悩んでいるから…………。この間も莉緒の作曲のことについて色々と聞いていたわ。」
真瀬莉緒
「そうなんだ。それで、手伝いの方は何か言ってくれてた?」
真瀬志奈
「うーん…………特に何も言っていなかったわね。」
真瀬莉緒
「そうか…………。」
水崎さんの想いはあまり変わっていないみたいだ。僕は半ば諦めることにした。
錦戸アケミ
「話は終わったかしら?…………ねえ、莉緒?」
真瀬莉緒
「錦戸さん?どうかしましたか?」
錦戸アケミ
「その…………アサヒのことなんだけれど…………。」
真瀬莉緒
「水崎さんのことですか?何かあったんですか?」
錦戸アケミ
「そのアサヒのことだけど…………多分、アサヒは悩んでいるわ。」
真瀬莉緒
「悩んでいる?」
錦戸アケミ
「アサヒは過去に、音楽のコンクールで賞を受賞した経験があるの。」
真瀬莉緒
「えっ…………水崎さんはそんな話なんてしていなかったですよ。そんな自慢できることをどうして隠していたんですか?」
錦戸さんは何かを考えながら、口を開く。
錦戸アケミ
「うん…………多分だけど、過去に何かあったのよ。でもそれを私の口から言うのはできないわ。」
真瀬莉緒
「そうですか…………わかりました。教えてくれてありがとうございます。」
すると、水崎さんたちがプールから戻って来た。
水崎アサヒ
「莉緒!志奈!そろそろプールを出ようじゃないか。今日はリゾートホテルのバイキングで夕食だ!」
真瀬莉緒
「お、良いですね。じゃあ行きましょうか。」
僕たちは水着から浴衣に着替えて、バイキング会場に向かった。
バイキング会場
バイキング会場にやって来た僕たちは、それぞれ好きなものを取りに行き、席に着いた。
会場の雰囲気はとても落ち着いた様子で、ピアノとジャズ楽器の演奏が心地良い。
他のみんなも楽しく食事を楽しんでいた。
真瀬莉緒
「美味しいですね。」
水崎アサヒ
「ああ、ここに来てよかったな。」
土原ガク
「うん。美味しい!みんなでご飯は楽しいねー!!」
雪谷マコト
「ガク。あまりはしゃがないでください。この雰囲気ですから、静かに食べましょう。」
土原ガク
「はーい。」
土原さんは黙々と食べ始める。…………それと同時にピアノを演奏していた人が倒れた。
真瀬志奈
「えっ…………大丈夫かな…………?」
すぐにスタッフが駆けつける。すると僕たちの顔を見て、こちらに向かって来る。
スタッフ
「すみません。六郭星学園の生徒さんでしたよね…………?あの…………もし音楽学校の出身の方がいらっしゃったら、代わりに演奏をしていただけませんか?」
錦戸アケミ
「えっ…………それなら、莉緒とか志奈だけど…………。演奏できるの?」
錦戸さんは心配そうに僕と姉さんの顔を見る。
真瀬志奈
「ここは…………莉緒。できるかしら?」
姉さんは僕に託した。となると、僕は演奏をするしかない。
真瀬莉緒
「うーん…………じゃあ、演奏中の作曲を聞いていただきましょうか?」
秋葉サヤ
「本当に大丈夫なの?」
真瀬莉緒
「はい…………ただ、もし良ければ水崎さん。協力をお願いできますでしょうか?」
水崎アサヒ
「莉緒…………すまない。1人でやってくれないか?」
真瀬志奈
「アサヒ…………。」
真瀬莉緒
「……………………わかりました。では、ピアノをお借りします。」
スタッフ
「すみません。よろしくお願いいたします。」
スタッフにステージに案内され、僕はピアノの前の椅子に腰を掛ける。
すると、照明が薄い緑色に光り、その光に包まれて僕は演奏を始めた。
演奏が終わると、周りにいた観客や食事をしていた人たちも、喜んでくれていた。
真瀬莉緒
「ふう…………良かった。」
僕はステージから降りた。
すると、姉さんたちから労いの言葉をかけてくれた。
真瀬志奈
「なかなかやるじゃない。さすが、莉緒ね。」
秋葉サヤ
「とても良かった…………。私も感激したわ。」
錦戸アケミ
「なかなかね。でも…………アサヒ。」
錦戸さんは水崎さんに声をかける。
錦戸アケミ
「どうして、そんなに協力をしないの?良い曲じゃない。」
水崎アサヒ
「…………すまない。答えることができない。」
土原ガク
「……………………。」
雪谷マコト
「ま、まあ。色々とあるんですよきっと。」
雰囲気が悪くなるところを雪谷さんが宥めた。
真瀬志奈
「…………まあ、良いか。莉緒もお疲れ様!」
真瀬莉緒
「ありがとう。…………水崎さん。僕は待ってますからね。」
水崎アサヒ
「……………………。」
水崎さんは何も言わずに、食べ物を食べる。
その後、僕たちはホテルに1泊して、六郭星学園へと戻る。
こうして、少しだけ辛く終わったリゾートホテルでの時間は幕を閉じた。




