第1章 ランプブラックミュージック(水崎アサヒ編)中編
教室から先生が出て行くとすぐに、さっきの女子生徒たちが声をかけてきてくれた。
水崎アサヒ
「なあ、君は本当に楽器を弾けるのだろうか?」
そう言われたので僕は普通に答えた。
真瀬莉緒
「はい…………。弾けますけど…………。」
水崎アサヒ
「それはすごいな!ぜひ聞かせてほしいくらいだ!」
錦戸アケミ
「そうね。今度、聞かせてもらえないかしら?」
錦戸さんもそれに賛同し、僕に問いかける。
水崎アサヒ
「なあ、サヤも聞いてみたいだろ?」
水崎さんは秋葉さんにそう言う。秋葉さんは戸惑いながらも答えた。
秋葉サヤ
「そうね…………。聞いてみたいです。」
3人は僕の話題で持ちきりだ。…………3人の関係性が知りたい。
真瀬莉緒
「みなさんはお知り合いなんですか?」
秋葉サヤ
「はい…………。説明会で仲良くなりました。」
水崎アサヒ
「と言うわけだ。君も今日から友人だ。仲良くしようじゃないか!」
真瀬莉緒
「あ…………ありがとうございます。」
錦戸アケミ
「ところで…………課題はどうするの?」
真瀬莉緒
「そうですね…………。今日はゆっくりと休みましょうか。」
水崎アサヒ
「ああ、そうだな。ゆっくり休んで考えようか。」
その日は解散となり、それぞれ自宅に戻ることになった。
そして…………翌日。
真瀬莉緒
「はあ…………眠い…………。」
まぶたが重い…………昨日は寝すぎたのだろう。
真瀬莉緒
「おはようございます…………。」
水崎アサヒ
「ああ。おはよう。早いんだな。」
真瀬莉緒
「水崎さん。おはようございます。」
水崎アサヒ
「うむ。…………ところで、昨日は解散したがあれから課題は何か考えているものはあるか?」
いきなり水崎さんにそう言われた。課題の案か…………あるといえばある。
しかし…………水崎さんに出来るかどうか…………?
水崎アサヒ
「何か考えがあるみたいだな…………教えてくれ。」
真瀬莉緒
「ふう…………。」
僕は思い切って、案を出す。
真瀬莉緒
「課題なんですが、楽曲作成とかはどうでしょうか?」
水崎アサヒ
「楽曲作成か…………。断る。」
真瀬莉緒
「そうですよね…………。楽器の経験が必要ですからね。」
水崎アサヒ
「いや、楽器は弾ける。」
真瀬莉緒
「えっ…………あ、ただ単にやりたくないと?」
水崎アサヒ
「うーん…………そういうわけではないのだが…………。」
真瀬莉緒
「そうですか…………。無理知恵はしないので気にしないでください。」
水崎アサヒ
「すまない。…………どうしても…………な。」
すると、教室に秋葉さんたちが入って来た。
秋葉サヤ
「おはよう。」
錦戸アケミ
「おはよう。2人とも。」
真瀬莉緒
「おはようございます。」
秋葉サヤ
「ああ、そういえば…………こんなオーディションが始まるらしいの。真瀬さんはどう?」
真瀬莉緒
「どれどれ?…………声優さんの楽曲オーディション…………これは面白いですね。ぜひ!」
水崎アサヒ
「そうか!頑張るんだな!応援しているぞ!」
真瀬莉緒
「ありがとうございます。僕は放課後に音楽室に行こうと思います。」
水崎アサヒ
「ああそうか。せっかくだから聞かせてもらえないだろうか?」
真瀬莉緒
「そうですね…………大丈夫ですよ。放課後、音楽室で。」
水崎アサヒ
「ああ。待っているからな。」
そして、クラスメイトたちが次第に揃い、矢次先生も教壇に上がる。
矢次由佳里
「おはようございます!」
まだ編入してから2日目のため、オリエンテーションから始まり、今日の1日は終わる。
六郭星学園 音楽室
真瀬莉緒
「おお、ここが音楽室か…………。」
水崎アサヒ
「うむ…………音楽学校が合併しただけ、音楽室も中々の広さだな!」
初めて訪れた音楽室はとても広く、世界のあらゆる楽器が並べられており、さらには音響設備までも取り揃えられている。まあ、僕の学校も合併されているのでこれが当たり前だと思う。
水崎アサヒ
「じゃあ、早速だが楽器の腕前を見せてもらおうではないか!」
真瀬莉緒
「そうですね…………今やるとしたら、僕のいた学校の伝統のリズムレッスンをしてからですね。僕の作曲のルーティンでもありますから。」
水崎アサヒ
「そうか。それならそのレッスンとやらを見せてくれ。」
真瀬莉緒
「わかりました。…………では。」
僕は久しぶりのリズムレッスンに取りかかる。
リズムレッスンを終える。上出来だ。
水崎さんもパチパチと拍手をしてくれている。
真瀬莉緒
「ありがとうございます。それでは、本題の楽器の技術をお見せします。」
そう言って僕は楽器を演奏する。
ああ…………この感じは久々だ。人に向けて演奏するのはいつ振りだろう?
そう考えながら演奏を終える。
水崎さんは驚いた様子だった。
水崎アサヒ
「見事だ…………さすがだよ。莉緒。自己紹介で言うだけのことはあるな。」
真瀬莉緒
「あ、ありがとうございます。」
すると、別の方向からも拍手が聞こえてくる。
??
「いやー、すごいものを聞かせてもらったよ。ありがとう。」
真瀬莉緒
「あの…………先生ですか?」
凪野雪緒
「ああ、そうだったな。先生は凪野雪緒って言う。君のお姉さんの担任をやらせてもらっている。よろしくな。」
真瀬莉緒
「先生が…………?姉をよろしくお願いします。」
凪野雪緒
「おう!…………で、君は確か、水崎アサヒだったな。2人は課題のペアなのか?」
水崎アサヒ
「はい!水崎アサヒです。彼とは課題のペアですが…………何か?」
凪野雪緒
「せっかくペアになったんだから、課題は作曲なのかなってな。音楽室にもいるから、てっきりと…………。」
水崎アサヒ
「すみませんが、作曲ではありません。私は別の課題を考えています。」
凪野雪緒
「そうか…………まあ楽しみにしているよ。どんな課題を作るのか…………3月に楽しみにしているよ。」
水崎アサヒ
「ありがとうございます。その日を待っていてください。」
凪野先生は笑顔でゆっくりと頷き、音楽室から出ていった。
水崎アサヒ
「さてと…………そろそろ自分の寮の部屋に向かおうか。どんな部屋のルームメイトは誰なのか楽しみだ。」
真瀬莉緒
「そうですね。行きましょうか。」
僕たちは後片付けをして、それぞれの寮の部屋に向かった。




