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colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第3部 綿垣キョウゴ編
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第4章 水色のハンカチ(綿垣キョウゴ編)前編

冬。綿垣さんと錦戸さんも和解をし、平穏な日々を過ごしていた。私たちは作曲の遅れを取り戻すかのように、音楽室で練習をしていた。



六郭星学園 音楽室



綿垣キョウゴ

「ここはこうだな…………。真瀬、こういう形で行こうと思うのだが…………。」


真瀬志奈

「そうですね…………。ここは前のアレンジで行きましょう。」


綿垣キョウゴ

「ああ、わかった。…………でもこの調子なら、きっと順調に進むな。」


真瀬志奈

「そうですね…………作曲練習は一旦置いといて、試験勉強をしませんか?」


綿垣キョウゴ

「ああ、そういえばそうだな。勉強しないと、内申点に響くからな。」


六郭星学園のテストは1年に1回しか行われない。しかもそのテストは1年間に学んだものが出題範囲になっている……つまりはかなり膨大な範囲のテストが行われる。


綿垣キョウゴ

「真瀬。勉強するぞ。楽曲練習はテストが終わってからでもなんとかできる。」


真瀬志奈

「そうですね…………じゃあ、みなさんも誘って勉強会ですね。」


綿垣キョウゴ

「ああ、そうだな。まずは教室に行こう。」



六郭星学園 Bクラス教室



教室に行くと、そこにはみんながいた。莉緒のクラスのみんなもいる。


雪谷マコト

「キョウゴたちも勉強ですか?」


綿垣キョウゴ

「ああ。…………ということは雪谷たちもか。」


土原ガク

「そうだよー!!みんなで勉強をしたら効率が上がると思ってねー!!」


真瀬莉緒

「というわけなんだ。お邪魔してるよ。」


水崎アサヒ

「うむ。広大な勉強範囲だ。必死にやらないとだめだ。」


秋葉サヤ

「頑張りましょう。…………アケミとも仲直りしたんでしょう?」


綿垣キョウゴ

「ああ、それは…………な。」


錦戸アケミ

「ええ。」


真瀬莉緒

「……………………まあそんな感じだね。姉さんもそろそろ座ったら?勉強しないとテスト結果、置いてきぼりになっちゃうよ?」


真瀬志奈

「そうね。勉強しないと。さ、綿垣さんも座って勉強しましょう。」


綿垣キョウゴ

「あ…………おう…………。」


私たちは莉緒たちの勉強会に混ぜてもらうことにした。勉強会に混じった数時間後、凪野先生がやって来た。


凪野雪緒

「おおー!みんな頑張っているな!」


真瀬志奈

「凪野先生!お疲れ様です!」


凪野雪緒

「みんな頑張っているから、先生が特別にハンバーガーを買ってきたぞ!小腹が空いたところだろう。しっかり栄養を脳に働かせるんだぞ!」


綿垣キョウゴ

「ありがとうございます。頑張ります。」


凪野雪緒

「おう!頑張れよ!じゃあな!」


凪野先生は意気揚々と教室をあとにした。


真瀬志奈

「とりあえず食べましょう。」


私はテリヤキバーガーを取ろうとすると、綿垣さんと手が触れる。


真瀬志奈

「あっ…………。」


綿垣キョウゴ

「どうするか…………?」


私たちは迷っていると…………


真瀬莉緒

「半分こにしたらどう?これなら2人とも食べられるじゃん。」


真瀬志奈

「そうね。…………じゃあ、綿垣さん。私が半分こにしますね。」


私はテリヤキバーガーを半分こにしようとする。


…………が、失敗した。


真瀬志奈

「あっ…………失敗しました…………。」


すると綿垣さんは優しい表情でこう言った。


綿垣キョウゴ

「そうか。じゃあ、小さい方をもらうぞ。」


真瀬志奈

「え、良いんですか?」


綿垣キョウゴ

「良いんだよ。真瀬には色々と世話になっているからな。」


真瀬志奈

「綿垣さん…………では、お言葉に甘えて。」


私はテリヤキバーガーを食べる。


綿垣キョウゴ

「おいおい…………。タレが口についているぞ。」


真瀬志奈

「あっ…………。」


綿垣キョウゴ

「仕方ないな…………ほら、口をこっちに…………。」


真瀬志奈

「……………………ん。」


私は迷いもなく、綿垣さんに顔を向け、水色のハンカチで拭いてもらった。


水崎アサヒ

「………………結構大胆だな…………。」


水崎さんは驚いた表情でこちらを見ていた。ほかのみんなも同じく。


真瀬莉緒

「姉さんもしかして、綿垣さんと付き合っているの?」


莉緒にそう言われて我に返る。


真瀬志奈

「付き合っているって…………そんなことは…………。」


真瀬莉緒

「ふーん。まあ良いけど。」


真瀬志奈

「そんな…………ねえ…………綿垣さん。」


綿垣キョウゴ

「……………………。」


真瀬志奈

「綿垣さん?」


綿垣キョウゴ

「え?……………………ああ。すまない。そうだな。すまないがあまりそんなことは言わないでくれ。」


真瀬莉緒

「ああ、うん。ごめん。」


綿垣キョウゴ

「良いんだ。わかってくれたなら…………。」


真瀬志奈

「……………………。」


私たちはそのあと、無言でひたすら勉強をする。


しばらくすると、日が落ちてきた。もうこんな時間か…………


秋葉サヤ

「この辺で、一旦切り上げましょう…………。お腹もすいてきたことだし…………。」


水崎アサヒ

「そうだな。じゃあ、食堂に行くか。…………みんなもどうだ?」


錦戸アケミ

「私は構わないけど…………?」


雪谷マコト

「僕たちもご一緒で良いんですか?」


水崎アサヒ

「もちろんだ。みんなで食べたほうが楽しいからな。」


土原ガク

「うひょー!!それはありがたいねー!!じゃあお言葉に甘えて!」


真瀬志奈

「じゃあ、行きましょう綿垣さん!」


綿垣キョウゴ

「…………ああ。」


私たちは食堂へと向かった。



六郭星学園 食堂



食堂に行くと、かつてシュークリームパーティーで同じグループになった、3人がいた。


浅越ハルト

「おう、久しぶりだな。」


綿垣キョウゴ

「ああ…………。あれからだいぶ落ち着いてきたよ。」


根村ユウタ

「それは…………良かった…………。」


夏目ホノカ

「私たちは信じていました。あなたが無実であるということを。良かったです。」


綿垣キョウゴ

「…………ありがとう。」


綿垣さんがお礼を言うなんて…………。この1年で成長したんだ。


浅越ハルト

「まあ、頑張れよ。」


綿垣キョウゴ

「ああ。」


そう言うと浅越さんたちは食堂を離れた。


真瀬志奈

「良かったですね。」


綿垣キョウゴ

「ああ。…………ああ。」


綿垣さんがそう言うと照れ臭そうに席に座り、私たちは夕食を堪能した。


そして数週間が経ち…………。

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