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colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第3部 綿垣キョウゴ編
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第2章 鳥の子色シュークリーム(綿垣キョウゴ編)後編

六郭星学園 Cクラス教室



凪野先生の指示で、他クラスの人と班になり、他クラスの教室でシュークリームを作ることになった。


綿垣キョウゴ

「こうか…………?」


真瀬志奈

「そうですね。いい感じです。」


私の班は綿垣さんと莉緒のほかに3人いる。


このCクラスの浅越ハルト(あさごえ はると)さん。他のクラスからは、夏目ホノカ(なつめ ほのか)さんと根村ユウタ(ねむら ゆうた)さんだ。


浅越ハルト

「全く…………こんなことをやるとは……………………。」


根村ユウタ

「……………………。」


浅越ハルト

「どうした?黙々と作業しているが…………?」


根村ユウタ

「……………………いえ。」


浅越ハルト

「そうか…………。」


夏目ホノカ

「喧嘩はいけませんよ。我々の助け合いの精神は大切です。この作業もとても大事な作業です。仲間割れはいけませんよ。」


浅越ハルト

「喧嘩をしているわけじゃない。ただ単に聞いていただけだ。」


夏目ホノカ

「そうですか…………。ではまた頑張りましょう。」


真瀬志奈

「ふぅ…………。」


どうやら揉め事にはならなかったようだ。私はとりあえず一安心をした。


根村ユウタ

「……………………ふぅ。」


だけど、根村さんの噂は聞いてはいたもののここまで寡黙な人だとは思わなかったな。


けれど、静かなのは私も好きだ。私は黙々と作業をする。


綿垣キョウゴ

「ふう…………これで完成だな。」


綿垣さんはもう完成させたらしい。


真瀬志奈

「もうできたんですか?早いですね。」


綿垣キョウゴ

「ああ…………真瀬は完成できたのか?」


真瀬志奈

「私ですか…………?私はまだです。何とか作りたいのですが…………難しいですね。」


綿垣キョウゴ

「どれ…………見せてみろ。」


綿垣さんは私の手を取り、色々と教えてくれた。


綿垣キョウゴ

「ここはこうで…………ああ、そうだ。」


真瀬志奈

「はい。こうですね。」


シュークリーム作りをレクチャーしてもらっているときは不思議なことに、怖さや恐怖を感じることはなかった。


綿垣キョウゴ

「よし…………これで完成だ。どうだ?…………良い感じだろう?」


真瀬志奈

「はい。ありがとうございます!」


真瀬莉緒

「お、姉さん。元気になってきたね。」


真瀬志奈

「そ…………そうかしら?」


浅越ハルト

「そんな話はいい。…………すまないが、こっちも教えてくれないだろうか?」


綿垣キョウゴ

「ああ、わかった。」


綿垣さんは他の人のシュークリームの作成の手伝いを始めた。


真瀬志奈

「……………………。」


真瀬莉緒

「…………?…………姉さん、どうかしたの?」


真瀬志奈

「いや…………綿垣さんって、器用な一面もあるんだなって。」


そういえば楽器も上手く弾きこなせていたし…………意外とすごいかも。


綿垣キョウゴ

「よし。これで全員の分は完成させたな。」


根村ユウタ

「……………………どうも。」


夏目ホノカ

「ありがとうございます。」


綿垣キョウゴ

「構わない…………けれど、怖くはないのか?」


浅越ハルト

「ん?ああ、君の噂か。俺は気にしてはいない。」


根村ユウタ

「……………………同じく。」


夏目ホノカ

「あなたの噂はよく聞いてはいます。ですが、助け合うのが私たちの精神。私はあなたを信じます。」


綿垣キョウゴ

「……………………そうか。……………………ありがとう。」


真瀬志奈

「良かったですね。」


綿垣キョウゴ

「……………………ああ。」


綿垣さんは少し嬉しそうだった。ずっと気味悪いようにしか見られていなかったからだろう。


感心していると凪野先生が様子を見にきてくれた。


凪野雪緒

「おー!なかなかやるじゃないか!そろそろ実食の時間になるから、このシュークリームを大講堂に持って行くぞ!」


真瀬志奈

「あ、はい!ではみなさん行きましょう!」


私たちはシュークリームを大講堂へ持って行く。



六郭星学園 大講堂



大講堂に着くと辺り一面に様々な形のシュークリームが並んでいた。


凪野雪緒

「よーし!じゃあ、みんなシュークリームを食べてくれ!ちゃんとわけてだぞ!」


そう言うと学生たちはシュークリームを取り、食べ始めた。


真瀬志奈

「じゃあ…………私も…………。」


私はシュークリームを1口食べる。


真瀬志奈

「美味しい…………。」


シュークリームはとても美味しかった。けれど、綿垣さんは食べようとしない。


真瀬志奈

「綿垣さんは食べないんですか?」


綿垣キョウゴ

「ああ…………甘いものはあまり好みではない。…………食べるか?」


真瀬志奈

「良いんですか?…………では、いただきます。」


私は綿垣さんの分のシュークリームを食べる。


真瀬志奈

「ああ、美味しい。久しぶりにたくさんのシュークリームを食べました…………。」


綿垣キョウゴ

「それは良かった…………。クリームが頬についているぞ。」


真瀬志奈

「あ、本当ですね…………。」


綿垣キョウゴ

「仕方ない…………ほら、頬を近づけろ。拭いてやる。」


真瀬志奈

「あ、ありがとうございます。」


綿垣さんは水色のハンカチで私の顔についているクリームを拭いてくれた。心なしか拒否反応もなかった。


真瀬志奈

「すみません…………今日は色々とありがとうございます。」


綿垣キョウゴ

「それほどでもない。こちらこそありがとう。とても楽しかった…………。こんなにも楽しいのは久しぶりだ。真瀬。これからもよろしく。」


真瀬志奈

「……………………はい!」


私と綿垣さんの溝は少し薄くなった気がする。これなら課題も順調に進みそうだろう。


しばらくして、シュークリームパーティーはお開きになった。


そして、楽しかったシュークリームパーティーから、数日が経ち…………



六郭星学園 音楽室



私たちは音楽室にいた。作曲の練習をするために。


溝が薄くなってから、だいぶ作曲も進んだ。


綿垣キョウゴ

「よし…………だいぶ進んだな。」


真瀬志奈

「そうですね…………どうですか?全体を通して演奏しませんか?」


それを聞いて綿垣さんは少し考える。


綿垣キョウゴ

「良いだろう。やろうじゃないか。」


真瀬志奈

「ありがとうございます。…………では、行きましょう!」


私たちは全体を通して演奏をする…………



演奏は上手くいった。とても高技術な演奏だった。


真瀬志奈

「綿垣さん!」


綿垣キョウゴ

「ああ、上手くいったな。真瀬のおかげだ。ありがとう。」


真瀬志奈

「こちらこそ…………。」


お礼を言おうとすると、凪野先生が音楽室に入ってきた。


凪野雪緒

「2人ともここにいたのか!!大変だ!!」


真瀬志奈

「先生…………?一体何があったんですか?」


凪野雪緒

「学園の女子生徒たちが…………何者かに襲われた!」


綿垣キョウゴ

「……………………!?」


真瀬志奈

「本当ですか!?」


凪野雪緒

「ああ、今、医療センターに搬送された。みんな、意識はあるみたいだ。」


真瀬志奈

「そうですか…………。」


凪野雪緒

「それで…………言いにくいんだけど…………キョウゴ。」


綿垣キョウゴ

「……………………。」


凪野雪緒

「しばらく学校を休め。今回の襲われた女子たちはみんな、キョウゴの悪口を言っていた。今の状態ではかばうことも難しくなってきている。欠席とかにはしないから、一旦休め。」


真瀬志奈

「ちょっと待ってください!そんな…………あくまで噂ですよね。急に休めだなんて…………!」


綿垣キョウゴ

「……………………良いんだ。真瀬。俺も少し疲れたよ…………。」


真瀬志奈

「綿垣さん…………。」


凪野雪緒

「真瀬の弟とは別の部屋での生活になる。すまないが準備をしてくれ。」


綿垣キョウゴ

「はい。」


真瀬志奈

「綿垣さん!」


綿垣キョウゴ

「真瀬……………………ごめん。」


そう言い残し、綿垣さんは音楽室から出て行った。


綿垣さん……………………。


そのあと、私の中で大きな思いを抱いた。

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