第３章 カナリア色の花々（錦戸アケミ編）中編
六郭星学園寮 莉緒・キョウゴの部屋
真瀬莉緒
「綿垣さん…………。」
僕は部屋の前に来た。…………自分の部屋なのに少し緊張する。
僕はゆっくりとドアを開ける。
綿垣キョウゴ
「おう…………おかえり。」
真瀬莉緒
「はい。戻りました。」
綿垣キョウゴ
「今日はいつになく真剣な様子だな…………。…………話なら聞くぞ。」
真瀬莉緒
「綿垣さん。教えてください。綿垣さんにはストーカーがいるんですよね。」
綿垣キョウゴ
「……………………。」
真瀬莉緒
「答えてください。」
綿垣キョウゴ
「わかった。…………ただし、勝負に勝ったらだ。」
真瀬莉緒
「勝負…………？」
綿垣キョウゴ
「ああ。…………覚悟はあるのか？」
真瀬莉緒
「………………あります。勝負させてください。」
綿垣キョウゴ
「ああ。わかった。…………行くぞ！」
僕は綿垣さんと勝負をする…………！
勝負が終わり、結果は……………………僕の勝ちだった。
真瀬莉緒
「僕の勝ちですね。では、話してください。ストーカーの話について。」
綿垣キョウゴ
「ああ…………。」
綿垣さんはストーカーについて話を始める。
綿垣キョウゴ
「確かに俺にはストーカーがいる。ただ…………。」
真瀬莉緒
「ただ？」
綿垣キョウゴ
「実際に見たことはない…………影も形もな。」
真瀬莉緒
「見たことがない…………？」
綿垣キョウゴ
「ストーカーに気づいたのは高校の１年のときだった。俺を嫌っていた女子生徒が酷い怪我で倒れていたのを知ってな。疑われたよ。俺がやったんじゃないかとな。」
真瀬莉緒
「そんなことが…………。…………知らなかったです。」
綿垣キョウゴ
「それ以来、俺はあまり良い印象を持たれなくなったんだ。両親もいないし。周りからは罵倒されて。」
真瀬莉緒
「親が…………いない？」
綿垣キョウゴ
「言っていなかったか？俺の親は借金で行方をくらませたって。」
真瀬莉緒
「初耳ですよ！そんなの…………！」
綿垣キョウゴ
「そうか…………すまなかった。」
真瀬莉緒
「いえ…………。」
綿垣キョウゴ
「錦戸のやつはストーカーの件で歪み合うようになった。なんで放っておくのかと。それ以来、錦戸は俺に刃向かい…………そして、今に至る。」
真瀬莉緒
「ストーカーに暴行を加えられたんですね。」
綿垣キョウゴ
「……………………ああ。」
真瀬莉緒
「話はわかりました。錦戸さんはこの話は知っているんですか？」
綿垣キョウゴ
「わからない…………。ただ、何かを知っている様子だった。」
真瀬莉緒
「……………………。」
綿垣キョウゴ
「俺が話せるのはここまでだ。あとは錦戸から聞いてくれ。」
真瀬莉緒
「…………わかりました。」
僕は錦戸さんの様子を見るため、自分の部屋から出ていった。」
六郭星学園寮 志奈・アケミの部屋
女子寮に行くために、矢次先生に再び同行をしてもらった。
矢次由佳里
「莉緒。何かわかったのね。」
真瀬莉緒
「はい。錦戸さんにも聞いてもらわないといけないので…………。」
そう話していると、錦戸さんの部屋についた。
矢次由佳里
「じゃあ、ここで待っているから。ちゃんとノックするのよ。」
真瀬莉緒
「はい。では…………。」
僕は部屋のドアをノックする。…………返事がない。
もう一度だけノックをする。でも反応がない。
真瀬莉緒
「矢次先生…………。」
矢次由佳里
「変ね…………？確かに部屋にいるはずなんだけど…………。」
矢次先生が部屋の中に入る。
真瀬莉緒
「先生…………？」
僕が先生を呼ぶと、血相を変えて部屋から出てきた。
矢次由佳里
「大変！アケミがいないわ！あの怪我でどこかに行ったみたい！」
真瀬莉緒
「そんな…………！？あの怪我で！？」
矢次由佳里
「とにかく探しましょう！みんなで手分けして！」
真瀬莉緒
「は…………はい！」
矢次先生に言われるがまま、僕たちは錦戸さんを探すことにした。
六郭星学園 中庭
中庭に探しに行くも、錦戸さんはいなかった。
凪野雪緒
「どこに行ったんだ…………？錦戸のやつ…………？」
凪野先生も探すことを協力してくれている。しばらくしてから成瀬先生も探すのに手伝ってくれた。
成瀬実
「雪緒！彼女は大丈夫なんですか！？」
凪野雪緒
「…………わからない。もしかすると学園から出た可能性もあるな…………。今、由佳里が防犯カメラを調べている。」
成瀬実
「…………そうですか。」
すると防犯カメラを調べ終わったのか、矢次先生が中庭に来た。
矢次由佳里
「大変！アケミ、学園の外に出てったわ！校門前の防犯カメラに写っていたわ！」
凪野雪緒
「なんだって！？…………錦戸…………どこへ行ったんだ？」
真瀬莉緒
「錦戸さんが行きそうなところ…………！？」
僕は少し考えると、ある場所が思い浮かんだ。
真瀬莉緒
「先生方。錦戸さんがどこにいるのかわかる気がします。」
凪野雪緒
「本当か！？…………一体どこに？」
真瀬莉緒
「詳しくはいえませんが、おそらくは…………ここは僕に任せてもらえませんか？」
成瀬実
「それは…………難しいですね。今は彼女の…………。」
真瀬莉緒
「お願いします！！」
成瀬実
「由佳里…………。」
矢次由佳里
「わかった。莉緒に任せましょう。きっと大丈夫よ。責任は私が取るわ。」
成瀬実
「わかりました。そこまでいうのなら…………。」
凪野雪緒
「真瀬。頼んだぞ！」
真瀬莉緒
「はい！」
僕は急いであの場所に向かうことにした。
