表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第3部 錦戸アケミ編
146/348

第2章 黄緑色の水風船(錦戸アケミ編)後編

真瀬莉緒

「ストーカーがいるって本当なんですか?」


綿垣キョウゴ

「……………………!?」


綿垣さんは動揺を隠せていなかった。やっぱりいるのだろうか?


綿垣キョウゴ

「………………時が来たら話す。すまないが勘弁してほしい。」


真瀬莉緒

「……………………。」


僕はしばらく黙り込み、考え事をした。このまま追及すべきか…………それとも…………


考え込んだのちに綿垣さんの要求を受け入れることにした。


真瀬莉緒

「わかりました。待っていますからね。」


綿垣キョウゴ

「すまない…………。恩に着る。」


そう言うと綿垣さんは部屋から出て行った。


真瀬莉緒

「ストーカーか…………。」


僕は不安と疑問を抱きながら、ベッドの中に入り込んだ。



六郭星学園 音楽室



翌日…………僕は錦戸さんと再び作曲の練習をしていた。


錦戸アケミ

「……………………。」


錦戸さんは黙々と楽器を弾いている。その演奏技術は相変わらず素晴らしい。


真瀬莉緒

「お見事です。錦戸さん。」


錦戸アケミ

「ありがとう。…………そうだ。そろそろ全体を通して練習するのもアリなんじゃない?」


真瀬莉緒

「なるほど…………パートも全部通しての演奏ですね。わかりました。やってみましょう。」


錦戸アケミ

「いくわよ…………。」


僕たちは初めての全体練習に挑む…………。



練習が終わった。まさか…………思いのほか演奏できるとは思わなかった。


真瀬莉緒

「やりましたね…………。」


錦戸アケミ

「ええ。こんなものよ。私たちの実力は。」


真瀬莉緒

「実力…………ですか。でもまあもっと練習をしないとですね。」


錦戸アケミ

「そうね。そのためには…………さらなるスキンシップよ!」


真瀬莉緒

「お、また出かけるんですね?どこまでも着いていきますよ!」


錦戸アケミ

「ええ、このあと神社で夏祭りがあるの。そこで楽しみましょう。」


真瀬莉緒

「それは期待です。じゃあ、片付けをしたらすぐに行きますか。」



六郭星神社



神社にやってきた僕たち。夏祭りの会場はとんでもなく盛り上がっていた。お客さんたちもとても多くにぎやかだ。


真瀬莉緒

「さぁ、どこに行きましょうか?」


錦戸アケミ

「そうね。まずはご飯を食べましょう。たい焼きが食べたい。」


真瀬莉緒

「わかりました。」


僕たちはたい焼きを購入し、近くのベンチで食べることにした。


真瀬莉緒

「いただきます。」


僕はつぶあんのたい焼きを1口食べる。とても美味しい。


錦戸さんはクリームのたい焼きを食べている。とても美味しそうだ。


錦戸アケミ

「ん…………。食べたいんでしょ?1口あげる。」


真瀬莉緒

「ありがとうございます。では。」


僕はクリームのたい焼きを手に取ろうとすると、錦戸さんはちょっとムッとした。


錦戸アケミ

「そこはあーんでしょ?はい。あーん。」


錦戸さんは笑みを浮かべてそう言った。


真瀬莉緒

「すみません。では…………。」


僕はクリームのたい焼きを食べた。心なしかつぶあんのたい焼きよりも美味しかった気がする。


真瀬莉緒

「美味しいです。ありがとうございます。」


錦戸アケミ

「どういたしまして。…………じゃあ、次はヨーヨー釣りに行きましょう。」


真瀬莉緒

「…………はい。」


僕たちはヨーヨー釣りの屋台に行くことにした。



夏祭りには学園の生徒も何人かいるみたいだ。


例えば、あそこにいるのは名雲メイ(なぐも めい)。何かに憧れを持っているらしく、Iクラスの様子を見に来ることが多いらしい。


今、名雲さんと目があった。名雲さんは笑顔で挨拶を交わしてくれた。


名雲メイ

「ふふ…………こんにちは。」


真瀬莉緒

「ああ、どうも。今日も何かを探しているんですか?」


名雲メイ

「ええ、今日は…………ね。声かけてくれてありがとうね。」


真瀬莉緒

「いえ、何かあればまた…………。」


名雲メイ

「ええ、それじゃ…………。」


名雲さんは人混みの中へ消えていった。


優しさと一転今度は冷酷な女子が来た。春井リカコ(はるい りかこ)だ。その冷酷さは学園1とも言えるだろう。


春井リカコ

「…………何か?」


真瀬莉緒

「いえ、何も。」


春井リカコ

「そう…………。」


錦戸アケミ

「今日はやけに落ち着いているわね。」


春井リカコ

「あなたと違って頭は良いの。一緒にしないでくれる?」


真瀬莉緒

「なっ…………!?」


僕は少し苛立った。詰め寄ろうとすると、錦戸さんが止めてくれた。


錦戸アケミ

「大丈夫。気にしないで。」


真瀬莉緒

「錦戸さん…………。」


いつの間にか春井さんはどこかに行っていた。僕は気を取り直して、ヨーヨー釣りの屋台へと向かうことにした。



少し邪魔が入ったが、ヨーヨー釣りの屋台に着いた。


真瀬莉緒

「着きましたね。さあ、ヨーヨーを釣りましょう!」


ヨーヨー釣りに挑む…………が、なかなか上手くいかない。糸がすぐに切れてしまう。


真瀬莉緒

「なかなか上手く行きませんね…………。」


錦戸アケミ

「そうね…………でも大丈夫。きっと上手くいくはず。」


残るチャレンジはあと1回。僕たちは真剣な表情で糸を吊るす。


真瀬莉緒

「………………これだ!」


僕はヨーヨーの紐に糸をかける。そして釣り上げる!


真瀬莉緒

「やりました!!ゲットしました!」


錦戸アケミ

「ええ、やったわね!ありがとう莉緒!」


僕たちが釣ったヨーヨーは黄緑色だった。本当は水色のほうが良かったと思ったが、錦戸さんはとても嬉しい様子だ。


錦戸アケミ

「ありがとう。莉緒。このヨーヨー大切にするわね。」


真瀬莉緒

「ありがとうございます。じゃあ…………戻りましょうか。」


錦戸アケミ

「ええ。そうね。」


僕たちは学園に戻ることにした。



六郭星学園 校門前



神社から戻り、学園に入ろうとすると、見覚えのある影が見えた。


真瀬志奈

「あ、莉緒…………。」


真瀬莉緒

「姉さん!?」


目の前には姉さんと綿垣さんたちがいた。まずいことになった。


土原ガク

「おー!!弟くんではないか!これはこれは…………」


雪谷マコト

「ガク。今はやめてください。」


綿垣キョウゴ

「……………………。」


錦戸アケミ

「莉緒。みんなと寮に戻って。」


真瀬莉緒

「くっ…………。」


2人きりにさせるわけにはいかないが…………やむおえない。


真瀬莉緒

「わかりました。では…………。」


真瀬志奈

「莉緒…………。」


僕たちは2人を残して寮のほうへ向かう。


寮に入る前に怒声が聞こえた。だけど、後戻りができなかった。僕たちはそれぞれの部屋に戻った。



六郭星学園寮 莉緒・キョウゴの部屋



部屋に戻り、しばらくすると綿垣さんが戻ってきた。


真瀬莉緒

「大丈夫でした?」


僕は心配そうに声をかけた。


綿垣キョウゴ

「心配なら、錦戸にしろ。いずれわかる。」


真瀬莉緒

「えっ…………?」


何を言っているのかわからないので聞いてみようと思うと、女子の悲鳴が聞こえた。


何かと思い、部屋を出るとそこには…………。


真瀬莉緒

「錦戸さん!!」


錦戸さんは床に倒れており、意識がない。


真瀬莉緒

「先生方を呼ばないと!」


僕はすぐに先生を呼んだ。錦戸さんは救急車で運ばれて行った。


真瀬莉緒

「錦戸さん…………。」


僕は錦戸さんの安否を心配しながら、夜を過ごす。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ