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colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第3部 錦戸アケミ編
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第1章 ネイビーブルーな心(錦戸アケミ編)後編

六郭星学園 Hクラス教室



朝になり、僕は教室に入る。そこには錦戸さんがいた。


錦戸アケミ

「あら、おはよう。」


真瀬莉緒

「おはようございます。」


僕は丁寧に挨拶をした。


錦戸アケミ

「矢次先生から聞いたわよ。あいつと部屋のパートナーらしいわね。」


真瀬莉緒

「…………はい。」


僕は正直に話した。錦戸さんは天井を見ると、ため息をついた。


錦戸アケミ

「仕方ないわよね。莉緒が悪いわけではないわよね。」


真瀬莉緒

「なんか…………すみません。」


すると錦戸さんから思いもよらない話が飛び込んできた。


錦戸アケミ

「ねえ、莉緒。2人でどこかにいかない?」


真瀬莉緒

「2人でですか?構いませんが…………?」


錦戸アケミ

「そう来なくっちゃ。じゃあ、水族館に行きましょう!」


真瀬莉緒

「水族館ですか!良いですね。行きましょうか!」


錦戸アケミ

「ええ、それじゃあ…………放課後。」


真瀬莉緒

「はい!」


僕が元気よく返事をすると、クラスメイトたちが続々と教室に入る。


ホームルームのチャイムが鳴ると、先生が入ってきた。…………どこか元気がない。


矢次由佳里

「おはよう…………。」


先生は空元気な挨拶をしたあと、黙り込んだ。しばらくすると、重たい口を開く。


矢次由佳里

「1つ席が空いているでしょ?実は…………何者かに暴行を加えられて、入院したの。」


クラスメイトたちがざわつく。


暴行…………?


錦戸さんを見ると、何かを考え込んでいた。何か心当たりがあるのだろうか?


真瀬莉緒

「錦戸さん…………?」


錦戸アケミ

「えっ…………ああ、なんでもないわ。」


矢次由佳里

「みんなも気をつけてね。夜はなるべく複数人で行動すること!…………じゃあ、始業のチャイムが鳴るわね…………。じゃあ、しっかりと授業受けるのよ!」


そう言うと矢次先生は教室から出ていった。


暴行か…………気をつけないと。


僕たちは授業を受けながら放課後を待った。


…………そして、放課後になった。


真瀬莉緒

「では、行きましょうか。」


錦戸アケミ

「そうね。…………誰かと行くなんて久しぶりね。行きましょう。」


僕たちはバスで水族館へ向かう。



六郭星水族館



水族館に着いた。ここに来るのは何年ぶりだろう…………。


錦戸アケミ

「行きましょう。私の好きな場所を教えてあげる。」


錦戸さんに引っ張られながら案内される。錦戸さんの顔には微笑みが浮かんでいた。


錦戸アケミ

「さ、着いたわよ。」


錦戸さんに連れてこられた場所は辺り一面が水色に染まっていたエリアだった。


僕はそのエリアを見ると、驚いた。


錦戸アケミ

「どう?綺麗でしょ?ここが私の好きな場所なの。」


真瀬莉緒

「ええ、驚きました。とても綺麗です。」


錦戸アケミ

「ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいわ。」


錦戸さんは自慢げにそう言った。


真瀬莉緒

「ちなみに…………ここの好きな理由は…………?」


錦戸アケミ

「そうね…………色かしら?」


真瀬莉緒

「色…………ですか?」


錦戸アケミ

「ええ、私は水色が好きなの。水色って爽やかなイメージがあって、私はその爽やかなイメージが好きなの。まあ…………あいつも好きらしいけれど。」


真瀬莉緒

「あいつ…………ああ、もしかして綿垣さんのことですか?」


錦戸アケミ

「……………………ええ。」


そう言うと何か湿っぽい雰囲気になってしまった。


真瀬莉緒

「すみません…………でも確かに綺麗ですね。このエリアは。魚たちも楽しそうです。」


水槽にはオレンジ色のクマノミが楽しく泳いでいた。


錦戸アケミ

「そうね…………。」


錦戸さんも嬉しそうに見惚れている。


真瀬莉緒

「…………そろそろ行きましょうか。」


錦戸アケミ

「学園に戻りましょう。」


僕たちは水族館から学園に戻ることにした。



出口のゲートを通ると、そこには…………。


真瀬志奈

「り、莉緒!?」


真瀬莉緒

「姉さん!?どうしてここに?…………綿垣さんも…………。あっ…………。」


錦戸アケミ

「……………………。」


錦戸さんと綿垣さんが会ってしまった。姉さんも少し戸惑っている。


錦戸アケミ

「莉緒…………お姉さんと一緒に帰って。お願い。」


真瀬莉緒

「…………はい。」


否定したら色々とありそうなので、「はい。」と言うしかなかった。


真瀬莉緒

「姉さん…………戻ろう。」


真瀬志奈

「ええ…………。」


僕たちは帰りのバスに乗り込んだ。


席に座ると同時にバスは動き出した。


窓を覗くと錦戸さんと綿垣さんが言い争いをしている様子が見られた。


真瀬莉緒

「錦戸さん…………。」


僕は無気力になりながらバスで学園まで運ばれていく…………。



六郭星学園寮 莉緒・キョウゴの部屋



部屋に戻ると、僕は依頼された作曲の作成に取り掛かった。


今日の水族館のことで頭にインスピレーションが浮かんだからだ。


僕は作業に夢中になる。




…………どれくらい経ったのか、綿垣さんが戻ってきた。


綿垣キョウゴ

「……………………。すまなかったな。」


真瀬莉緒

「いえ…………。…………そうだ。ちょっと聞いてもらえませんか?」


僕は綿垣さんに作曲のことを伝え、聞いてもらうことにした。


真瀬莉緒

「それでは…………聞いてください。」


僕は綿垣さんに仮曲を聞いてもらう。



演奏が終わると、綿垣さんはこくりと頷いてくれた。


綿垣キョウゴ

「この楽器なら…………錦戸に聞かせるといい。あいつはその楽器を弾けるはずだ。」


真瀬莉緒

「本当ですか?…………聞いてみる価値はありそうですね。」


綿垣キョウゴ

「そろそろ、戻ってくるだろう。」


真瀬莉緒

「わかりました。ちょっと、様子を見てきます。」


僕は錦戸さんのところへ向かうことにした。



六郭星学園 廊下



しかし…………女子寮に行くには許可が必要だな。話を聞きに…………。


??

「うぅ…………。」


真瀬莉緒

「…………?………………錦戸さん!?」


錦戸さんは怪我をしていた。一体何が…………?


真瀬莉緒

「保健室に行きましょう!先生を呼んできます!」


僕は錦戸さんを保健室に連れて行き、先生に報告した。



六郭星学園 保健室



真瀬莉緒

「錦戸さん…………。」


錦戸アケミ

「ごめん…………迷惑かけちゃったわね。」


矢次由佳里

「…………大した怪我ではないわね。これならもう大丈夫ね。」


真瀬莉緒

「まさか…………綿垣さんが?…………だとしたら…………!」


錦戸アケミ

「……………………。」


矢次由佳里

「落ち着いて。このことは私たちでも調べるから。」


真瀬莉緒

「先生…………すみません。」


僕は先生に任せて、部屋に戻ることにした。


錦戸さんに曲を聞いてもらうのはまた今度にしよう。



六郭星学園寮 莉緒・キョウゴの部屋



綿垣キョウゴ

「……………………。」


真瀬莉緒

「綿垣さん…………。」


綿垣キョウゴ

「……………………。」


真瀬莉緒

「……………………。」


綿垣さんは何も話してくれなかった。


綿垣さんには少し良くない噂もある。


僕は、疑いを持ちながら、その日は寝ることにした。

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