表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第3部 秋葉サヤ編
127/350

第4章 緑色のメガネ(秋葉サヤ編)中編

某所 会議室



声優さんに音源を聞いてもらう日が来た。僕たちは声優さんに音源を聞いてもらうために会議室にいる。


僕は会うのは久しぶりではあるが、秋葉さんは初対面だ。秋葉さんから緊張がとても伝わってくる。


秋葉サヤ

「ドキドキするわ…………あの声優さんが間近で見られるだなんて…………。」


真瀬莉緒

「大丈夫ですよ。きっと…………歌詞も出来たんですよね。」


秋葉サヤ

「ええ…………なんとかね。」


歌詞は出来ているとは言っているものの、僕には見せてくれず…………とうとうこの日まで来てしまった。


秋葉サヤ

「まあ、大丈夫よ。…………きっとね。」


真瀬莉緒

「きっとですか…………。あ、来たみたいです。」


会議室のドアが開く。入って来たのは、声優さんと声優さんのマネージャーさんだ。


僕たちは立ち上がり頭を下げた。


真瀬莉緒

「お久しぶりです。今日はよろしくお願いします。」


声優さんも一礼をして、僕の向かいの椅子に座った。


まずは声優さんたわいもない雑談をすることになった。最近の事情だったり、プライベートな話だったりと様々な話を繰り広げた。


そしていよいよ本題に入る。


声優さんも先ほどとは違い、真剣な様子だ。


秋葉サヤ

「まずはこちらが歌詞になります。どうかよろしくお願いいたします。」


声優さんは歌詞の書いた紙を手に取ると、黙々と読んでいた。


真瀬莉緒

「では…………音源を聴いてください。」


僕は音源を流した。


何度も何度も繰り返し音源を聴き、歌詞を見ている。


真瀬莉緒

「どうでしょうか…………?」


僕がそう言うと声優さんは微笑みながら頷いてくれた。


真瀬莉緒

「それじゃあ…………!」


声優さんはこの曲を歌ってくれるみたいだ。僕はとても喜んだ。秋葉さんも嬉しそうだ。


秋葉サヤ

「ありがとうございます!」


秋葉さんがそう言うと声優さんは秋葉さんに握手を求めてきた。


秋葉サヤ

「ありがとうございます……!ありがとうございます…………!」


秋葉さんは涙ながらにそう言った。


憧れの声優さんに曲を提供できたんだ。


喜ぶのに無理はない。こんな僕も毎回、曲を提供して喜んでくれると、とても嬉しくなる。


秋葉さんはそれが初めての経験だ。より一層嬉しいんだろう。


そのあと、再びたわいもない雑談を繰り広げ、その日は解散になった。



帰り道



秋葉サヤ

「莉緒くん…………本当にありがとう!…………あなたのおかげで憧れの声優さんに曲を提供できることになったわ。」


真瀬莉緒

「いえ……そんなことは…………あれ?…………そういえば…………歌詞を結局、見せてもらえませんでしたね。」


秋葉サヤ

「そういえばそうね…………それじゃあ、楽しみが増えたわね。」


真瀬莉緒

「…………意地でも教えてくれないんですね。」


僕は少しムッとするも、秋葉さんに頬を突かれる。


秋葉サヤ

「まあまあ。」


真瀬莉緒

「…………仕方ないですね。ちょっと寄るとこ寄りましょうか。」


秋葉サヤ

「寄るところ…………?」



メガネ屋



秋葉サヤ

「メガネ屋さん…………?どうしてこんなところに?」


真瀬莉緒

「視力。悪いんですよね?作曲のお礼にプレゼントします。」


秋葉サヤ

「そんな…………悪いわよ…………!それに…………。」


真瀬莉緒

「じゃあ、僕といるときだけメガネをかけてください。これなら文句はないでしょう。」


秋葉サヤ

「うぅ…………仕方ないわね。」


僕たちは秋葉さんに似合うようなメガネを探すことにした。


サンプルのメガネをかけるもあまり秋葉さんに似合うメガネが見つからない。


秋葉サヤ

「うーん…………どれも似合わないわね。」


真瀬莉緒

「そうですね…………あ、この色、珍しい色ですね。」


秋葉サヤ

「あ、緑…………。」


僕たちが気になったメガネは緑色の縁をしたものだった。


秋葉サヤ

「このメガネ…………。」


秋葉さんが緑色のメガネをかけると、とても似合っていた。


真瀬莉緒

「似合っていますね。」


秋葉サヤ

「ええ…………。」


僕は秋葉さんの肩に手をやり、鏡の前に連れて行く。


真瀬莉緒

「どうですか?似合ってますよ!」


秋葉サヤ

「これが…………私…………?」


真瀬莉緒

「ええ、秋葉さんですよ。どうしますか?」


秋葉サヤ

「ええ、これにするわ……!」


真瀬莉緒

「はい…………!」


どうやら秋葉さんは緑色のメガネが気に入ったみたいだ。



帰り道



僕たちはメガネ屋をあとにすると、秋葉さんがこんな話をしてくれた。


秋葉サヤ

「莉緒くん…………何から何までありがとう。」


真瀬莉緒

「いえ、メガネ……気に入ってもらえて良かったです。」


秋葉サヤ

「メガネなんて買ってもらったの初めて…………。」


真瀬莉緒

「……………………。」


秋葉サヤ

「メガネ…………これは大事にするわね。」


真瀬莉緒

「ちゃんと使ってくださいね。」


秋葉サヤ

「もちろんよ。使わせてもらうわ。サヤとして。」


真瀬莉緒

「ありがとうございます。」


秋葉サヤ

「ありがとう…………本当に……サアヤのことも。音楽のことも。」


真瀬莉緒

「いえ…………秋葉さんのおかげです。」


秋葉サヤ

「…………さあ、そろそろ学園に着くわね。これからはサアヤ…………ではなくて、サヤとして、頑張っていくわ!」


真瀬莉緒

「秋葉さん…………。」


秋葉さんはもう大丈夫だろう。あとは…………学園生活を満喫することだけ…………。


そう思い……数日。ドキドキの日を迎える。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ