第3章 茶色い枯葉の中に(秋葉サヤ編)中編
僕は先生方と一緒にサアヤを探すことにした。
真瀬莉緒
「秋葉さーん!!」
返事をしても出てこない。
凪野雪緒
「正門と裏口の施錠はしている。門の外には出ることはできないはずだ。」
矢次由佳里
「他のみんなにも協力を頼んだ方が良いかもね…………。」
日比谷直輝
「一旦、体制を立て直した方が良さそうだな。」
矢次由佳里
「莉緒。一度部屋に戻りなさい。体制を立て直すから。」
真瀬莉緒
「わかりました。」
僕は先生の言うことを聞くことにした。
六郭星学園寮 莉緒・マコトの部屋
雪谷マコト
「お疲れ様です。サアヤの件はどうなりましたか?」
真瀬莉緒
「そうですね…………少しまずい展開にはなりましたね…………。」
雪谷マコト
「それって一体…………?」
僕は雪谷さんにサアヤの件を話した。
雪谷マコト
「それじゃあ…………!急いで探しに行かないと!」
真瀬莉緒
「ちょっと待ってください。先生方に待機してと言われたばかりなので…………。」
雪谷マコト
「…………そうですか。」
真瀬莉緒
「どうすれば良いのか…………。」
雪谷マコト
「莉緒さん。気分転換とまでは行きませんが…………。僕とゲームで勝負しませんか?」
真瀬莉緒
「ゲームですか?」
雪谷さんが珍しくゲームのお誘いをしてきた。僕は…………気分転換に乗ることにした。
真瀬莉緒
「わかりました。少しやりましょうか。」
雪谷マコト
「そうこなくては!…………ではこれをやりましょうか。」
真瀬莉緒
「このゲームですね。やりましょう。」
僕は雪谷さんと勝負をすることにした…………
ゲームの結果は僕の勝ちだった。
真瀬莉緒
「勝ちました。ありがとうございました。」
雪谷マコト
「負けましたね…………。まあ、これでわかりました。莉緒さんにはサアヤの人格が生まれたきっかけをお話しましょう。」
真瀬莉緒
「サアヤの…………!?」
僕は何故、サアヤという人格が生まれたのか気になっていた。そのきっかけが今、明かされる。
雪谷マコト
「僕の両親が転勤族ってのは前に教えましたよね。」
真瀬莉緒
「ああ、そうでしたね。それが…………?」
雪谷マコト
「実はサヤの両親も転勤族でしてね……。僕と同じ学校をたらい回しに転校させられたんです。」
真瀬莉緒
「秋葉さんの両親が転勤族…………。」
雪谷マコト
「僕とサヤの両親はあまりにも転勤が多い……。次第に僕たちは反抗をし始めました。」
真瀬莉緒
「反抗…………ですか。」
雪谷マコト
「僕はすぐに反抗はできた。両親の仕事は違法な研究の研究員なんです。」
真瀬莉緒
「違法な研究…………?」
雪谷マコト
「その研究は僕にとって許せなかった…………。親が転勤族で友達が少なかったんです。でも…………この学園に来てからは違いました。ガクにキョウゴとサヤ…………そして、莉緒さんと志奈。色々な友達ができました。僕はまた転勤を聞くと、親に反抗しました。」
あのときの電話か…………。
雪谷マコト
「でもサヤは違いました。親に反抗できず、溜めに溜め込んで…………それを守るためにサヤの中で彼女が生まれたんです。」
真瀬莉緒
「それがサアヤですか…………。」
雪谷マコト
「そうです。あの人格は危険ではありますが、あれがサヤにとって大切な人格なら……。」
真瀬莉緒
「……………………。」
僕は少し悩んだ。雪谷さんがそういうならと…………。
そのとき、部屋のドアを叩く音がした。
矢次由佳里
「莉緒!みんなでサヤを探すわよ。手伝って!」
真瀬莉緒
「わ、わかりました…………。」
雪谷マコト
「僕も手伝います。キョウゴとガクにも探してもらいましょう。」
真瀬莉緒
「ありがとうございます。矢次先生行きましょう!」
矢次由佳里
「ええ、行くわよ!」
六郭星学園 中庭
僕たちはサアヤを探すため、再び中庭に来た。しばらくバラバラに分かれて探し、何人かと再び合流した。
綿垣キョウゴ
「見つからないな…………。」
雪谷マコト
「そうですね…………。」
土原ガク
「……………………。」
いつになく土原さんも真剣だ。
綿垣キョウゴ
「あと、探してないのは裏庭か…………。」
真瀬莉緒
「それじゃあ…………僕が探してきます。みなさんは少し休んでいてください。」
雪谷マコト
「わかりました。サヤをお願いします!」
雪谷さんに託され、僕は裏庭へと向かった。
六郭星学園 裏庭
真瀬莉緒
「ここが裏庭か…………。」
僕はすぐに捜索に取り掛かろうと思ったとき…………
眩い光が辺りを包み込んだ。
真瀬莉緒
「な…………なんだ…………!?」
光が消えていくとそこには1人の女性が立っていた。
真瀬莉緒
「あ…………あなたは…………?」
気がつくと、恐る恐る声をかけていた。
虹谷アヤ
「あなたが真瀬莉緒ね。私は虹谷アヤ(にじや あや)。」
真瀬莉緒
「なぜ僕の名前を…………?」
虹谷アヤ
「気にしないで。いずれわかるわ。」
真瀬莉緒
「は、はぁ…………それで、一体何をしに…………?」
虹谷アヤ
「私はある人物を追っていてね…………。その人物は容疑者なの。」
真瀬莉緒
「よ…………容疑者?一体誰が…………?」
虹谷アヤ
「秋葉サヤ。彼女よ。」
真瀬莉緒
「秋葉さんが…………!?」
虹谷アヤ
「なので彼女を連れて行くわよ。」
真瀬莉緒
「だ、ダメです!!」
僕は止めに入った。
虹谷アヤ
「何故、止めるの?」
真瀬莉緒
「確かに彼女は今、危険な状態です。ですが、彼女は何も関係ない。そう断言できます。」
虹谷アヤ
「……………………。」
真瀬莉緒
「すみませんがお引き取りください。」
虹谷アヤ
「仕方ないわね…………でも後悔するのは自分だということを忘れないことね!」
虹谷という人がそう言うと、再び眩い光が辺り一面を照らす。
そして、光が消えるとそこには誰の姿も見えなかった。
真瀬莉緒
「なんだったんだ………………?」
けれど、これでわかったかもしれない。サアヤはこの近くにいる。
僕は動揺していた気持ちを切り替えて、サアヤを探すことにした。




