第4章 白い光に照らされて(浅越ハルト編)前編
冬。浅越さんの妹さんもかいやも元に戻り、平穏な日々が続いていた。作曲も順調で、浅越さんも歌詞を真剣に考えている。
そして、今日も楽曲の練習を続けている。
六郭星学園 音楽室
真瀬志奈
「浅越さん。なかなかやりますね。」
浅越ハルト
「ああ、ありがとう。」
真瀬志奈
「では、休憩に入りますか。」
浅越ハルト
「そうだな。…………お。ノクアたちがきたようだ。」
休憩に入ると、風亥さんたちが教室に入ってきた。
風亥ノクア
「お疲れ!練習は順調?」
真瀬志奈
「風亥さん。お疲れ様です。作曲はとても順調に進んでいます!」
風亥ノクア
「そっか。それなら良かった。真瀬さん、ハルト、今からナツハたちとお昼を食べることになっているんだけど、一緒にどう?」
真瀬志奈
「え、霧宮さんたちとですか!?」
小鳥遊カルマ
「そうだが…………あんまり気分が進まないか?」
真瀬志奈
「いえ……!有名なモデルさんとお昼をたべれるだなんて、光栄です!」
風亥ノクア
「ハハ!大袈裟だな。…………そういえば真瀬さんが直接関わるのは運動会以来かな?」
小鳥遊カルマ
「そうだな…………。」
言われてみれば、私はあんまり話したことなかったな…………そう考えるとさらにドキドキする。
風亥ノクア
「ハルトはどうなんだ?」
浅越ハルト
「構わない。休憩は必要だからな。」
小鳥遊カルマ
「決まりだ。真瀬、浅越、教室に行くぞ。」
六郭星学園 Iクラス教室
Iクラスの教室に行くと、霧宮さんと莉緒たちがいた。
真瀬莉緒
「あ!姉さんも来たんだ。こっち空いているよ!」
真瀬志奈
「あ、莉緒、ありがとう。」
私は莉緒にお礼を言って莉緒の隣に座った。
霧宮ナツハ
「あなたが莉緒くんのお姉さんね。いつもお世話になっているわ。」
真瀬志奈
「霧宮さん!とんでもないです!」
莉緒はこの人と1年も一緒にいるんだ…………羨ましい。
美園エリカ
「ふふふ…………嬉しそうね。」
真瀬志奈
「あ、どうも…………。」
そういえばこの人は学校中で中二病を患っているって噂がある人よね…………。
霧宮ナツハ
「ごめんね。この子、ちょっと中二病っぽいのよ。」
真瀬志奈
「そうなんですね…………。」
霧宮ナツハ
「1年間もいると流石に慣れたわ…………。」
真瀬志奈
「大変ですね…………。」
美園エリカ
「そうかしら?」
霧宮ナツハ
「あなたは苦労してないじゃないの。」
美園エリカ
「う、うん…………。」
風亥ノクア
「まあまあ、そのへんで。」
小鳥遊カルマ
「そういえば…………近々、期末テストがあるな。」
小鳥遊さんがそういうと、和気藹々としていた空間が沈黙になる。
風亥ノクア
「…………そうだね。」
浅越ハルト
「カルマ。地雷を踏んだな。」
小鳥遊カルマ
「俺のせいか…………?」
小鳥遊さんがそう言うと、みなさん再び、笑いだした。
櫻井シオン
「まあ、頑張るから心配はないんだけれどね!」
シオンもそう言い場を和ごました。
真瀬莉緒
「あ、ジュースが空になった。買いに行こうかな?」
櫻井シオン
「それじゃあ、今からジャンケンで負けた2人がジュース買いに行くってのはどう?」
美園エリカ
「ふふふ…………名案ね。」
小鳥遊カルマ
「負けないからな。」
そして、8人でジャンケンをした結果…………
六郭星学園 自動販売機前
浅越ハルト
「買えたか?」
真瀬志奈
「あと1本です。」
負けたのは私と浅越さんだった。私たちは他のみなさんのジュースを買いに自動販売機のあるところまで来ていた。
真瀬志奈
「買えました。戻りますか?」
浅越ハルト
「ああ…………。」
真瀬志奈
「…………そういえば浅越さんは今でも学者になることは諦めていないんですか?」
浅越ハルト
「いや、今はそこまで学者になろうとは思ってないな。」
真瀬志奈
「え!?そうなんですか?」
浅越ハルト
「ああ、おかげでまりあも元気になったんだ。…………志奈のおかげでな。」
真瀬志奈
「そんな、私のおかげだなんて…………。」
浅越ハルト
「なあ、できればなんだが…………。お昼終わったら、2人でどこかに行かないか?」
真瀬志奈
「2人でですか?」
浅越ハルト
「ああ、前は色々とあって楽しめなかったからな…………。今なら志奈となら楽しめそうだ。」
真瀬志奈
「浅越さん…………もしかして…………?」
浅越ハルト
「……………………。」
浅越さんはため息を殺して笑みを浮かべた。
真瀬志奈
「浅越さん…………。私…………。」
浅越ハルト
「答えはまだ言わなくて良い。またいつかこのような機会があるときに…………答えを聞かせて欲しい。」
真瀬志奈
「わかりました。」
そう言うと、浅越さんは強く頷いた。
浅越ハルト
「ありがとう。」
真瀬志奈
「はい。…………答えはまた今度として、どこに行きますか?」
浅越ハルト
「そうだな。うーん…………。」
真瀬志奈
「あ、そういえば新しく和菓子屋さんが出来たんですよ。夕方にでも行きませんか?」
浅越ハルト
「お、良いなそれ。あとで行くか!」
真瀬志奈
「はい!行きましょう!」
私たちは和菓子屋さんに行くことにして、教室に戻ることにした。
――夕方。 商店街 和菓子屋
和菓子屋に着いた。とても綺麗で上品な店構えだ。
私たちは早速、大福を購入して、食べることにした。
浅越ハルト
「ああ、うまい。こんな大福は初めてだ。」
真瀬志奈
「本当ですね。出来立てでとても暖かいです。」
浅越ハルト
「志奈。頬に餡子がついてるぞ。」
真瀬志奈
「あ、本当ですね。」
浅越ハルト
「仕方ない…………ほら。ハンカチで拭いてやる。」
浅越さんは白いハンカチで私の頬を拭いてくれた。
真瀬志奈
「ふふふ……くすぐったい。」
浅越ハルト
「我慢しろ。でも柔らかい頬だな……。」
真瀬志奈
「私は頬を自慢できますからね。」
浅越ハルト
「そうか…………。」
真瀬志奈
「ありがとうございます。他のみなさんの分も買っていきましょうか。」
浅越ハルト
「そうだな。買って行くか。」
私たちは大福をたくさん買って、学園に戻ることにした。