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colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第2部 浅越ハルト編
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第2章 若草色の大自然(浅越ハルト編)後編

六郭星学園 音楽室



翌日の放課後…………私は浅越さんと音楽室にいた。


私は昼休みに、声優さんに課題としてこの作曲した音楽を披露したいと言ったところ、許可が無事に降りた。


許可が降りたため、私は浅越さんにシオンに指摘された曲を演奏した。


浅越さんは演奏した曲に少し驚いていた。


浅越ハルト

「すごい…………。」


ただ一言そう言った。


真瀬志奈

「ありがとうございます。」


浅越ハルト

「ここに俺のトロンボーンが入るんだな。どれ……。」


浅越さんは自前のトロンボーンを箱から取り出した。


浅越ハルト

「……………………。」


浅越さんはトロンボーンを吹き始めた。


トロンボーンは良い音色を鳴らし、私の作った曲にピッタリと合うように演奏をしている。


真瀬志奈

「お見事です…………!」


浅越ハルト

「ありがとう。まぁこんな感じだな。」


そう言うとトロンボーンを箱にしまった。


真瀬志奈

「…………あれ?練習しないんですか?」


私が疑問に思うと浅越さんは渋々答えた。


浅越ハルト

「櫻井のやつも作曲らしい。ここで鉢合わせしたら、俺は多分正気を取り戻せないだろう。」


真瀬志奈

「そうですか…………深堀りはしませんが、練習の方はお願いしますね。」


浅越ハルト

「わかってるよ。とりあえず別の場所に行くぞ。」


真瀬志奈

「行くって言ってもどこに行くんですか?」


浅越ハルト

「そうだな…………六郭星草原にでも行くか。」


真瀬志奈

「草原ですか…………?」


浅越ハルト

「ああ。…………嫌か?」


真瀬志奈

「い、いえ。何でもありません。行きましょうか!」


私たちは六郭星草原に行くことにした。



六郭星草原



六郭星草原へと来た。


草原は辺り一面、若草色で染まっている。とても綺麗で鮮やかな色。…………ただ、何故か私には居心地が悪かった。


真瀬志奈

「うーん…………。でも練習しないと…………。」


浅越ハルト

「…………?何かあったのか?」


真瀬志奈

「え、いや、何でもありません。」


浅越ハルト

「そうか…………なら良い。練習しようか。」


真瀬志奈

「はい…………。」


私はよくわからない居心地の悪さがありながら、練習を始めた。


練習を始めると、そっちに集中できたためか思いの外、順調に進んだ。


私はせっかくなので全体を通して演奏しようと提案した。


浅越ハルト

「全体を通してか…………良いだろう。」


私たちは演奏を始める…………



演奏は大成功だった。


浅越ハルト

「ふぅ……これなら早く、曲が完成できるな。」


真瀬志奈

「はい。そうですね。」


順調の中、浅越さんからこんな質問をもらった。


浅越ハルト

「今回、この作曲依頼を頼んだ声優さんって…………誰なんだ?」


真瀬志奈

「あ、はい。この声優さんです。」


浅越ハルト

「……………………!」


浅越さんは驚いた表情をしていた。


真瀬志奈

「浅越さん?」


浅越ハルト

「ああ、すまない。少し取り乱したよ。…………その声優さん。俺が好きな声優さんだ。」


真瀬志奈

「そうなんですか!?」


浅越ハルト

「ああ、だからそれを知って俺は嬉しいよ。おかげで少し気が楽になったよ。ありがとうな。」


真瀬志奈

「それは良かったです。何かあったんですね…………。」


浅越ハルト

「ああ……。」


浅越さんは少し落ち込み気味になりながらも私が問いかけた質問に答えた。


浅越ハルト

「…………妹の容態が悪化した。」


それは思いもよらない答えだった。あんなに嫌がっていた妹さんの話を浅越さんが自ら話したからだ。


それより、妹さんは体調があまりすぐれないのかと思った。


真瀬志奈

「妹さんあまり体調が良くないんですか?」


浅越ハルト

「ああ、俺の妹、まりあって言うんだが、色々あってな…………。」


真瀬志奈

「色々って…………?」


浅越ハルト

「不治の病…………そう言うしかないな。」


真瀬志奈

「不治の病…………!?」


浅越ハルト

「ああ、初期段階で治療すれば完治できたんだ。…………櫻井さえいなければ。」


真瀬志奈

「シオンが?シオンが何かしたんですか?」


浅越ハルト

「…………それは本人に聞いてくれ。さぁ、練習を再開しよう。」


真瀬志奈

「……………………わかりました。」


私は練習が終わったら、シオンに話を聞こうとそう決意した。



六郭星学園寮 志奈・シオンの部屋



練習が終わり、私は自室へと戻った。


シオンは…………いた。


真瀬志奈

「シオン。」


櫻井シオン

「あ、志奈!お疲れ!…………何かあったの?」


真瀬志奈

「あのさ…………浅越さんの妹さんの話だけど…………。」


櫻井シオン

「…………!?」


シオンは驚きの表情を隠しきれていなかった。


顔を下げ、しばらく時間が経つと再び顔を上げた。


櫻井シオン

「ハルトからは……なんて言われたの?」


真瀬志奈

「何にも。シオンさえいなければとは言っていたけど。」


櫻井シオン

「…………やっぱり…………。」


真瀬志奈

「ねえ、何があったの?浅越さんと…………?」


櫻井シオン

「言っても信じられないわよ。」


真瀬志奈

「それで良いわ。何があったのか教えて。」


私は突き詰めるようにそう言った。


櫻井シオン

「…………わかった。実は…………。」


そのとき、サイレンが鳴る。


真瀬志奈

「何!?」


櫻井シオン

「出て来たのね…………!?」


真瀬志奈

「シオン!?」


??

「失礼します!」


入って来たのは、Bクラスの雪谷マコト(ゆきや まこと)さんだった。


真瀬志奈

「雪谷さん?」


雪谷マコト

「たった今、猛獣が学園内に入って来ました。至急、屋上に避難をしてください!」


真瀬志奈

「あ、はい!!」


私たちはそう言われるがままに屋上に避難をした。



六郭星学園 屋上



屋上には大勢の生徒たちが避難していた。


クラスごとに分かれているため、私は自分のクラスのところに行くことにした。


しばらく探していると自分のクラスを見つけた。隣は莉緒のクラスだった。


風亥ノクア

「ああ、良かった!真瀬さん!無事だったんだね!」


真瀬志奈

「はい…………何とか…………。他のみなさんは?」


風亥ノクア

「いや…………それが…………。」


小鳥遊さんたちのいる方を見ると様子が変だった。


小鳥遊さんは美園さんと何か揉めている。


浅越さんは何かに絶望をした様子が見れた。


霧宮さんと莉緒の様子は特に変わっていない。


隣にいるシオンを見ると、シオンも何か迷っている様子が見える。


真瀬志奈

「シオン…………?」


櫻井シオン

「志奈…………これが答えよ。」


真瀬志奈

「答え?」


浅越ハルト

「…………。」


櫻井シオン

「ハルト…………。ごめん。これしか言えないわ。」


浅越ハルト

「…………言葉足らずだが、別に良い…………。」


浅越さんは私にこう答えた。


浅越ハルト

「話すのにはまだ時間がかかる。ことが来たら話そう。」


真瀬志奈

「…………わかりました。」


私は疑問を抱いたままだが、時間が来るのを待つことにした。


…………そして、安全が確保できたので私たちはそれぞれの部屋に戻ることにした。


夏が終わる時期に私は疑問を抱き、その答えを待つことになった。


浅越さん…………待っています。

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