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colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第2部 浅越ハルト編

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第2章 若草色の大自然(浅越ハルト編)中編

どのくらい時間が経ったのか、私は頭がまだ働いていない。


櫻井シオン

「…………おはよう。」


シオンは少し元気がなさそうに返事をする。何かあったのかわからないが、ひとまずおはようと言った。


するとシオンは察したのか、掠れ気味な声でこう呟いた。


櫻井シオン

「かいやの容態が…………悪くなったの。」


真瀬志奈

「かいや?かいやって確か弟の…………?」


櫻井シオン

「ええ…………。」


櫻井かいや(さくらい かいや)。シオンの弟であり、私とも何度か会ったことがある。シオンに負けない元気な性格のはずだけれど…………。


真瀬志奈

「かいやって身体の調子が悪いの?」


櫻井シオン

「ええ…………。隠してたわけではないけれど…………。言えなかったの。」


真瀬志奈

「言えなかった?」


櫻井シオン

「ええ…………言っても信じられないから…………。」


真瀬志奈

「そう…………なら深追いはしないでおくわ。」


櫻井シオン

「ありがとう。」


シオンは申し訳なさそうにお礼を言った。


真瀬志奈

「あ、そろそろ私は浅越さんのところへ行かなきゃ!」


櫻井シオン

「行ってらっしゃい。」


私は強く頷き、浅越さんがいるだろうと思われるところへ行く。



六郭星学園 廊下



浅越さんを探しに廊下を歩いていると、Jクラスの教室が目に入った。


Jクラスか…………ここにはシオンに負けず劣らずの元気自慢、木沢アカリ(きざわ あかり)さんが在籍している。


Jクラスを覗いてみるとそこには木沢さんが案の定いた。


木沢アカリ

「お疲れー!今日も楽しんでいきましょう!!」


今日もとても元気そうだ。…………浅越さんも教室にいるのかもしれない。


私は自分の教室に向かった。



六郭星学園 Cクラス教室



教室に入ろうとしたとき、何やら騒がしかった。


浅越さんの声だ…………でも何か揉めていそうな雰囲気が漂う。


私はドア越しに耳を傾ける。


浅越ハルト

「それは本当ですか?」


??

「ええ…………来川医療センターから連絡があって……。」


この声は莉緒たちのクラスの担任の神谷乙音(かみや おとね)先生の声だ。いつも元気な明るい先生ではあるけれど、今日は元気がなさそうだ。


浅越ハルト

「何でそれを早く言わなかったんですか!!」


??

「落ち着けって!まだ理性は保っている!そこまでまだ深刻な状況ではないから安心しろ!」


この声は鹿崎咲也(しかさき さくや)先生だ。2人体制で話をするということは相当な話だろうか?


神谷乙音

「まずはゆっくり頭を落ち着かせなさい。」


鹿崎咲也

「ああ、また何かあったら連絡するからな。」


浅越ハルト

「…………わかりました。」


こっちに来る。私は気づかれずに教室から離れることにした。



しばらくして、教室に戻ると、そこにはまだ鹿崎先生たちがいた。


鹿崎咲也

「おお!真瀬元気だったか?久しぶりに会えて嬉しいよ!」


真瀬志奈

「先生お久しぶりです!」


鹿崎先生は2年間担任の先生で、色々とよく相談に乗ってくれた。


鹿崎咲也

「ところで、何で教室に来たんだ?今日は休日だろ?」


真瀬志奈

「実は…………。」


私は浅越さんと課題のことで話があるため、浅越さんを探していることを話した。


鹿崎咲也

「浅越ならさっきまでここにいたけれど…………。色々あってな。部屋に行ったらどうだ?」


真瀬志奈

「わかりました。ありがとうございます。」


神谷乙音

「…………彼は今、悩んでいるから、構ってあげて。」


鹿崎咲也

「おい。それ言うなって。」


真瀬志奈

「何かあったんですか?」


私は知っているが、知らないふりをしてそう言った。


神谷乙音

「い、いや、何でもないわ。…………課題頑張ってね!」


真瀬志奈

「ありがとうございます!」


お礼を伝え、浅越さんの部屋に向かうことにした。



六郭星学園寮 莉緒・ハルトの部屋



私は浅越さんの部屋の前に来た。どうやら莉緒と同じ部屋らしく、ノックをすると莉緒が出てきた。


真瀬莉緒

「ああ、姉さん。どうかしたの?」


真瀬志奈

「ええ、ちょっと浅越さんに用事があるのよ。」


真瀬莉緒

「ハルトならいるよ。でもなんか元気がないみたいで…………。」


真瀬志奈

「元気が?そう…………。じゃあまた今度に…………。」


浅越ハルト

「呼んだか?」


浅越さんは奥の部屋から私たちがいるところまでやって来た。


真瀬志奈

「浅越さん。今、大丈夫ですか?」


浅越ハルト

「構わない。気分を紛らわしたいんだ。」


真瀬志奈

「…………何とは言いませんが気を確かにしてください。」


浅越ハルト

「ああ…………。」


私はそう言うと、浅越さんは少し落ち着いたみたい。私は本題に入ることにした。


真瀬志奈

「課題のことでご相談がありまして、こちらにお伺いしました。」


浅越ハルト

「課題か…………そうか。なんの話だ?」


私は声優さんに作曲の依頼を受けたこと、その曲にはトロンボーンが必要なこと、浅越さんに力を貸してほしいことを話した。


浅越ハルト

「俺なんかで良いのか?」


真瀬志奈

「はい。浅越さんのトロンボーンは素晴らしいです。ぜひ力を貸してほしいです。」


浅越ハルト

「わかった。…………せっかくだから、その曲を課題にしないか?」


真瀬志奈

「この曲をですか?それは…………多分、声優さんに確認になると思います。」


浅越ハルト

「それもそうか…………。」


真瀬志奈

「でも、一応確認しますね。」


浅越ハルト

「すまない。頼むぞ。」


真瀬志奈

「はい。」


浅越ハルト

「今日はもう遅いから明日にしよう。ふぅ…………。」


真瀬志奈

「わかりました。では…………明日。」


私はそう言って、莉緒と浅越さんの部屋を後にした。

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