第4章 白い雪原で(櫻井シオン編)前編
冬。もうすぐ卒業が近い。作曲も一通り完成させた。だけれど僕たちはあることに悩まされている。
真瀬莉緒
「ふぅ…………数学はこれで終わりだね。」
櫻井シオン
「ええ!私の難題は生物なのよね…………。」
そう期末テストだ。六郭星学園のテストは1年に1回しか行われない。しかもそのテストは1年間に学んだものが出題範囲になっている……つまりはかなり膨大な範囲のテストが行われる。
真瀬莉緒
「しかし、先生方も大変なんだろうな…………。神谷先生も眠たそうだったもんな。テスト作成に普段の授業と大変だ。」
櫻井シオン
「先生のためにも頑張らないとね!」
真瀬莉緒
「ああ!そうだな。俺らも先生方に成績で恩返ししないとな。」
そう言ったとき、シオンのスマホが鳴る。
櫻井シオン
「はい、もしもし…………ああ、かいや!どうしたの?」
かいやか…………元気でやっているんだろうか?
櫻井シオン
「ああ…………そうね。じゃあ今から行くわ。…………莉緒も一緒で良い?」
かいやは僕に会いたがっているのだろうか?…………別に断る理由もない。僕もかいやに会うのは楽しみだ。
櫻井シオン
「じゃあ、また後でね。」
そう言ってシオンは電話を切った。
櫻井シオン
「莉緒。かいやが会いたいって。一緒に行くわよね?」
真瀬莉緒
「ああ、もちろんだよ。かいやに会いに行こう。」
僕たちは来川医療センターにまた向かうことにした。
来川医療センター 大広間
僕たちは来川医療センターの大広間に案内された。
しばらく待っているとかいやはまりあさんと一緒に僕たちのところに来た。
櫻井かいや
「ああ、お姉ちゃん!莉緒さんも!」
浅越まりあ
「シオンさん。莉緒さん。先日はありがとうございます。」
浅越さんの妹さんは僕たちに頭を下げた。
この人が浅越さんの妹さんか…………礼儀正しそうな人だけれど…………?
櫻井シオン
「かいや。身体は大丈夫なの?」
櫻井かいや
「ああ。大丈夫だよ。もうちょっとで退院できるって!」
櫻井シオン
「そう…………良かった…………!」
良かった…………僕もホッとした。
するとそこに…………。
櫻井かいや
「あ、浅越さん!」
呼ばれてきたのか浅越さんも大広間にやってきた。
浅越ハルト
「ああ、莉緒たちか…………。この間はありが…………」
浅越まりあ
「お兄ちゃーん!!」
浅越ハルト
「わ!まりあ、よせ!ここは病院なんだぞ!場所をわきまえてくれ!」
浅越まりあ
「良いじゃん、良いじゃん!私はお兄ちゃんだけのものなの!それだけは忘れないでよね!」
浅越ハルト
「はぁ…………全く。まりあは相変わらずだな。」
浅越さんは苦笑いしながら、妹さんの頭を撫でた。
浅越まりあ
「えへへ…………お兄ちゃんの手、あったかい…………。」
僕たちはそれを見て、心が和んでいく…………。
浅越ハルト
「改めて言う。この間は本当にありがとう。」
真瀬莉緒
「良いんですよ。みんなを救えることができたんだから…………。」
浅越ハルト
「ちなみにだが…………その演奏した曲には歌詞はあるのか?」
真瀬莉緒
「あ……そういえば決まってなかったですね…………」
櫻井シオン
「…………ねえ、その歌詞なんだけれど、私に書かせてくれない?」
真瀬莉緒
「歌詞を…………?シオンが…………?」
櫻井シオン
「ダメかしら?」
…………シオンの作詞か…………ちょっと聞いてみたいな。
真瀬莉緒
「わかった。けれど、期末テストが終わってからにしてよな。」
櫻井シオン
「わかった!それじゃあ、あとは任せて!」
真瀬莉緒
「頼んだよ。」
そう言って僕たちは来川医療センターを後にした。
そして…………数日が経ち…………。
六郭星学園 Iクラス教室
期末テスト当日
神谷乙音
「今日は期末テストです!みんな勉強はしたかな〜!?それじゃあ早速だけど、期末テスト始めます!!」
クラスメイトたちが「はい。」と答える。
神谷乙音
「それじゃあ……開始!!」
僕はその言葉で裏返したプリントをめくる……
テスト終了のチャイムが鳴る。
僕のプリントは空白欄は無く、出来る限りの答えを出した。そして全員が提出した……
テストの結果は大広間にて貼り出される。1位から最下位まで名前が載る。貼り出されるまでの間、ドキドキが止まらない。
そして……結果発表当日。
櫻井シオン
「いよいよね…………。莉緒。覚悟はできているかしら?
真瀬莉緒
「そうだね……あ、貼り出されたよ!」
そして、テストの順位が貼り出される……
生徒の人数は700人前後……僕たちの結果は……。
真瀬莉緒
「僕は……49位!良いところかも……!」
700人中の49位。上位にいると言っても過言ではない。
一方でシオンは…………。
櫻井シオン
「34位!なかなかの上位だわ!」
真瀬莉緒
「さすがだね、シオン!」
一方、霧宮さんたちは…………
霧宮ナツハ
「22位…………やったわ。」
美園エリカ
「ふふふ…………28位!さすが我が力ね……!!」
2人とも納得の結果を出したことには間違いないだろう。
櫻井シオン
「さあ、あとは作詞ね。」
真瀬莉緒
「ああ、あとは笛花先生にも音源を聞いてもらわないと。」
櫻井シオン
「ああ、そうだったわね。笛花先生はいるかしら…………?」
僕たちは放課後、職員室で神谷先生に聞いてみることにした。
そして、放課後になった。
六郭星学園 職員室
真瀬莉緒
「と、言うわけなんですけど…………。」
神谷乙音
「そうね…………今なら大丈夫よ。あ、ほら。奏よ。」
笛花奏
「2人ともこんにちは。私が笛花奏です。よろしくね。」
櫻井シオン
「よろしくお願いします!早速なんですけれど、音源を聴いてもらえませんか?」
笛花奏
「まぁまぁ…………とりあえず音楽室に行きましょう。」
笛花先生にそう言われて、音楽室に移動することになった。
六郭星学園 音楽室
僕たちは音楽室に行くと早速、音源を聴いてもらった。
笛花先生は音源を聴く。とても真剣な様子で聴いてくれている。
聴き終わると、先生は喜んでいた。
笛花奏
「完璧。ここまでやれるなんて…………さすがね。」
櫻井シオン
「ありがとうございます!」
笛花奏
「あとはこれを声優さんに聴いてもらうだけね。それじゃあ、ご褒美とまではいかないけれどこれをあげるわ。」
先生はチケットをくれた。
真瀬莉緒
「これは…………スキー場のチケットですね。」
笛花奏
「ええ、楽しんでおいで!」
真瀬莉緒
「ありがとうございます!」
櫻井シオン
「ありがとうございます!…………スキーか…………!楽しみね!」
真瀬莉緒
「ああ、8枚もあるし、姉さんたちも連れていこう。」
櫻井シオン
「そうね!みんなも連れて行こう!楽しみね。」
僕たちは笛花先生にお礼を改めて言い、音楽室を後にした。
そして、数日後……………………




