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colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第2部 櫻井シオン編

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第3章 薄紫に滲んだ町(櫻井シオン編)後編

来川医療センター



僕たちは来川医療センターに向かうと、隔離病棟に案内された。


真瀬莉緒

「隔離病棟…………!?まさか…………!?」


櫻井シオン

「ええ…………。」


僕は動揺を抑えながら、隔離病棟のドアを開いた。


ドアを開けるとそこには…………!


櫻井シオン

「かいや…………!!」


櫻井かいや

「グアアああああああ!!」


かいやは人間と思えない、いや半分は人間に近い。半分獣で半分人間のような姿だった。


その隣には女の子らしき、獣姿の生き物がいた。


真瀬莉緒

「あれは…………?」


櫻井シオン

「まりあ…………!?」


まりあ?僕は知らないぞ…………?シオンは何か知っているのか?


櫻井シオン

「あれは…………ハルトの妹よ。」


真瀬莉緒

「何だって!?」


櫻井シオン

「ええ…………。」


シオンがただただうなづいていると、そこに来川さんがやったきた。


来川ナナ

「皆さん!今、私のお父さんが状況を調べてきたんですけれど…………。」


来川さんはそう言うと頭を下げた。


真瀬莉緒

「来川さん…………?」


来川ナナ

「今の状況で助かるのは1人だけ…………です。」


真瀬莉緒

「何ですって…………!?」


櫻井シオン

「それじゃあ…………どちらかは助からないってこと?」


来川ナナ

「……………………はい………………。」


真瀬莉緒

「ど…………どうすれば良いんだ…………!」


??

「そんなの決まっている。」


声が聞こえる方を向く。


真瀬莉緒

「あ、浅越さん!?」


櫻井シオン

「ハルト…………!!」


浅越ハルト

「妹を…………まりあを助けろ!!」


櫻井シオン

「待って!かいやは…………かいやはどうなるの!?」


浅越ハルト

「黙れ!お前は…………俺の妹を…………!!」


櫻井シオン

「そんな言い方はないじゃない!!私は…………!!」


まずい。2人が揉めあっている。何か…………何か得策はないのか…………!?


そう考えていると、浅越さんはシオンに殴り掛かろうとする…………!


真瀬莉緒

「やめてください!!」


僕はシオンの前に立ち、浅越さんに殴られる。


その時、スマホが床に落ちた。その衝撃でさっき録音した音楽が鳴る。


櫻井かいや

「グオおおおおおお…………。」


真瀬莉緒

「かいや…………?」


かいやとまりあさんの様子が一変して、落ち着きを取り戻している。


櫻井シオン

「かいや…………!!」


浅越ハルト

「まりあ…………!!」


これだ…………!!これなら2人を救えるかもしれない!


真瀬莉緒

「来川さん!!」


来川ナナ

「はい…………?」


僕は来川さんに僕の考えたことを説明した。


来川ナナ

「わかりました!今すぐ準備をします!!」


来川さんは準備のため、隔離病棟を離れる。


真瀬莉緒

「2人とも!かいやたちが助かる案ができたかもしれない!」


浅越ハルト

「何だって…………?」


櫻井シオン

「莉緒…………それって…………?」


来川ナナ

「お待たせしました!用意できましたよ!」


真瀬莉緒

「ありがとうございます!」


来川さんは2台のシンセサイザーを準備してくれた。


真瀬莉緒

「シオン…………!!演奏だ!」


櫻井シオン

「演奏…………!?それで助かるの…………!?」


真瀬莉緒

「わからない…………でもやってみる価値はある!!シオン。頼む。」


浅越ハルト

「……………………。」


櫻井シオン

「…………わかったわ。莉緒の案…………試してみましょう!」


シオンはもう1台のシンセサイザーの前に立つ。


櫻井シオン

「いくわよ…………莉緒。」


真瀬莉緒

「ああ。」


僕たちはシンセサイザーを演奏する…………!!



浅越まりあ

「グオおおおおおおお……………………。」


浅越ハルト

「まりあ!!」


演奏を終えると、かいやとまりあさんはすっかりと元の姿に戻っていた。


櫻井シオン

「かいや!!」


櫻井かいや

「………………あれ…………?姉さん?」


櫻井シオン

「良かった…………。」


浅越ハルト

「まりあ…………!まりあ…………!!」


浅越まりあ

「お兄ちゃん…………?」


浅越ハルト

「まりあ!!」


浅越さんはまりあさんを強く抱きしめた。


来川ナナ

「これは…………すごいです!奇跡が起こりましたね!」


真瀬莉緒

「ええ。まさかこんなことになるとは思いませんでした。」


僕は安堵しているとシオンたちがこちらにやってくる。


櫻井シオン

「莉緒!!ありがとう!」


浅越ハルト

「礼を言うよ。ありがとう。」


真瀬莉緒

「良いんだよ。良かった…………2人が無事で。」


櫻井シオン

「本当…………良かった。」


浅越ハルト

「莉緒…………その…………。」


真瀬莉緒

「…………?」


浅越ハルト

「すまん。お前を殴って…………」


真瀬莉緒

「あー…………。良いですよ。それがきっかけでこの案も思いついたんですから。」


浅越ハルト

「そうか…………。」


来川ナナ

「今から2人は検査に入るので私たちは学園に戻りましょう。」


浅越ハルト

「あ…………いや…………その…………。」


浅越さんは少し躊躇っている。


真瀬莉緒

「浅越さん。大丈夫ですよ。みんなはそんな義理の浅い仲ではないですよ。」


浅越ハルト

「そうなのか…………?」


櫻井シオン

「そうよ。ハルトも学園に戻ろ!」


シオンはかいやの無事を確認したためか、元気を取り戻している。


真瀬莉緒

「さあ、行きましょう。」


僕たちは浅越さんの背中を押して、学園に戻った。



六郭星学園



学園に着くと、そこには小鳥遊さんたちがいた。


小鳥遊カルマ

「……………………。」


浅越ハルト

「……………………。」


お互いに沈黙する。すると、小鳥遊さんはため息をつく。


小鳥遊カルマ

「全く…………もう無理するなよ。浅越。」


浅越ハルト

「み…………みんな!!」


浅越さんは小鳥遊さんと風亥さんを強く抱きしめた。


風亥ノクア

「おかえり。」


霧宮ナツハ

「良かったわね。」


美園エリカ

「ふふふ…………これで一件落着ね。」


浅越ハルト

「ありがとう…………!ありがとう…………!!」


真瀬莉緒

「ふぅ…………。」


僕は浅越さんが暖かく迎え入れられてホッとした。


櫻井シオン

「ん…………。」


真瀬莉緒

「シオン?」


シオンは手を握り、こちらに差し出してきた。


櫻井シオン

「ん。」


真瀬莉緒

「うん。」


僕とシオンは頑張りをグータッチで称え合った。

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