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colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第2部 櫻井シオン編
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第3章 薄紫に滲んだ町(櫻井シオン編)中編

六郭星学園 Iクラス教室



あれから1日が経過し…………浅越さんの居場所はつかめずにいた。


櫻井シオン

「あ…………莉緒。おはよう!」


真瀬莉緒

「シオン…………おはよう。」


シオンは元気に声をかけてくれたが、僕はあまり元気に声を出すことができなかった。


真瀬莉緒

「……………………。」


櫻井シオン

「……………………。」


互いに何も喋らない。この沈黙をシオンが破る。


櫻井シオン

「ハルト…………失踪したのは多分…………私のせいなの。」


僕は若干、眉をぴくつかせた。


真瀬莉緒

「シオンのせい…………?どう言うことだ?」


櫻井シオン

「それはね…………。」


シオンはそう言いかけると霧宮さんたちが教室に入ってきた。


霧宮ナツハ

「おはよう。…………どうかしたの?」


櫻井シオン

「ごめん、莉緒。この話は放課後に話しましょう。」


真瀬莉緒

「……………………わかったよ。終わったら絶対に話してよね。」


僕は少しキツめにそう言った。


櫻井シオン

「……………………うん。」


シオンは元気なくそう返事した。


少し言いすぎたかな…………?


そう考えていると神谷先生が教室に入ってきた。


神谷乙音

「みんな!おはよう!!今日もよろしくね!!」


相変わらず神谷先生は元気だ。


僕は放課後までいろんな先生の授業を受けた。


…………そして放課後。


櫻井シオン

「ふう………………。」


僕はため息混じりの声を出すシオンに声をかけた。


真瀬莉緒

「シオン。」


櫻井シオン

「莉緒…………。」


いつも元気なシオンだけどいつになく元気がない。真面目なほどだ。


櫻井シオン

「ここではあれだから、場所を変えましょう。」


真瀬莉緒

「ああ………………。」


僕たちは六郭星学園の山頂の展望台に向かうことにした。



六郭星展望台



展望台に着いた。あたりはすっかりと薄紫色に滲んでいた。


真瀬莉緒

「…………もうすっかり暗くなってきたね。」


櫻井シオン

「ええ…………。」


真瀬莉緒

「シオン…………聞かせてくれないか。浅越さんが失踪した理由を……!」


櫻井シオン

「…………うん。もう、何も隠したくない。莉緒に教えてあげる。」


真瀬莉緒

「……………………。」


シオンはぽつりぽつりと話し始める。


櫻井シオン

「私ね…………いや、親を含めてね……弟のかいやを助けたくて、来川さんのお父さんにお願いしたの。私の弟を助けてくださいって…………。」


真瀬莉緒

「シオン…………!?」


櫻井シオン

「でも来川さんのお父さんはどちらをまず助けるか、判断できないって言って断ったの。」


真瀬莉緒

「……………………。」


櫻井シオン

「でもね…………ハルトの妹はかいやの方を助けて欲しいって来川さんのお父さんに手紙を書いたの。」


真瀬莉緒

「手紙を…………?それは浅越さんは読んだの?」


櫻井シオン

「…………多分読んでない。」


真瀬莉緒

「読んでないのか…………。」


櫻井シオン

「しかもタイミングが悪いことに、お願いしているところをハルトに見られ……。ハルトの妹がかいやを助けて欲しいって手紙を読んでいない。」


真瀬莉緒

「偶然と勘違いが重なったのか…………。」


櫻井シオン

「ああ…………ねぇ莉緒…………私、辛いよぉ……辛いよぉ……!」


シオンは僕に抱きつき目に涙を浮かべた。


真瀬莉緒

「シオン…………大丈夫だ。今度浅越さんにあった時に本当のことを話そう。」


櫻井シオン

「…………大丈夫なのよね…………。」


真瀬莉緒

「ああ、きっと大丈夫だよ。だから今日は精一杯泣いて良いんだよ。」


櫻井シオン

「う…………うわああああぁぁぁぁぁぁん!!」


真瀬莉緒

「シオン…………頑張れ…………!!」


櫻井シオン

「うん…………うん…………!!」


僕は薄紫に滲んだ町の展望台でシオンを泣き止むまで抱きしめた。



六郭星学園 音楽室



あれから数日、僕とシオンは浅越さんのことを気にしながらも、作曲の練習をしていた。


櫻井シオン

「良い感じね!これならあとは簡単ね。さあ、ここを何とか完成させましょう!!」


真瀬莉緒

「ああ、ここまできたんだ。僕も頑張るよ。」


そう、声優さんの歌う作曲だ。浅越さんのことも心配だが、放棄するわけにもいかない。


それにしてもシオンが演奏する、シンセサイザーも以前に比べるとかなりのレベルが上がっている。


真瀬莉緒

「演奏、上手くなったね。」


櫻井シオン

「ええ、頑張ったんだから!色々あったけど、声優さんに聞いてもらう曲なんだから。精一杯の努力をしてきたんだから!」


真瀬莉緒

「シオン…………。頑張ろうな!」


櫻井シオン

「ええ!やってやるわよ!」


真瀬莉緒

「よし…………それじゃあ、録音するか。」


櫻井シオン

「良いわね!それじゃあ早速…………!!」


僕たちは準備をすると、早速録音をした。


真瀬莉緒

「よし、デモ音源はできたぞ。これは携帯に入れて、あとは先生に…………。」


そういうと、1人の女子生徒が音楽室に入ってきた。


??

「おやおや、何かやっているようだねえ。」


櫻井シオン

「あ、あなたは…………!?」


真瀬莉緒

「冬原マイカ(ふゆはら まいか)さん…………!」


冬原マイカ。学園一のモテ男、不知火カイル(しらぬい かいる)の知り合いであり、不知火カイルの良き理解者である。


櫻井シオン

「何か……用事でもあるんですか?」


冬原マイカ

「ええ、ちょっとね…………。」


真瀬莉緒

「……………………。」


冬原マイカ

「ナナって言ったっけ?来川ナナ。その子が呼んでいるわ。」


真瀬莉緒

「来川さんが?」


冬原マイカ

「ええ、医療センターで待っているって言っているわよ。」


櫻井シオン

「医療センター!?まさか…………!?」


冬原マイカ

「…………あなたにまつわるお話かしらねぇ?」


櫻井シオン

「莉緒!!いくわよ!!」


真瀬莉緒

「ああ!急いで行かないと!!」


僕たちは冬原さんにお礼を言い、急いで来川医療センターに向かった。

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