【もふもふ王国】119番のオペレーター【漫才】
ボケ:女性、神埼
ツッコミ:男性、二宮
【ふたりが登場するや、神埼が一歩前に出て叫ぶ】
ボケ「うおおおおお!! おっはようございまぁぁぁぁす! もふもふ王国ですよろしくお願いします! こっちの美人が神埼で、そこにいる目つきの悪いのが二宮さんです! さて二宮さん突然だけど思いついたことがあります!」
ツッコミ「お前いつも俺に挨拶する暇を与えないよな」
ボケ「え?」
ツッコミ「毎回一気に喋りやがって。俺も、もふもふ王国ですって言いたいんだよ」
ボケ「二宮さん思いついたことがあります!」
ツッコミ「強引に進めるなぁ……とりあえず聞くけど」
ボケ「わたしって顔もすごく可愛いけど、声も最高に可愛い超ハイスペックぶっ壊れ性能美女じゃないですか!」
ツッコミ「自意識の高さもぶっ壊れてるな」
ボケ「そんなわたしの可愛い声に最適な仕事、今、思いついたんです!」
ツッコミ「今か急だな。仕事って?」
ボケ「119番のオペレーターです! わたしの可愛すぎる声を聞けば、緊急事態で慌ててる人も喜ぶんじゃないかなって思います! ぃやったー! ひゃっほーい! って!」
ツッコミ「そんな喜び方する奴はいない! てか喜ばせるなよ緊急事態なんだ。事態を脱してから喜ばなきゃいけないんだよ」
ボケ「それに、わたし多分、なんかほら。あれですよ。F分のF揺らぎ? みたいなのも出せると思うので! 癒やし効果もあると思います!」
ツッコミ「緊急事態の人を癒やすな! あとF分の1揺らぎな。それだと約分したら1になるだろ」
ボケ「なので、今からわたしオペレーターやるので、カバに轢かれて通報する怪我人をやってください!」
ツッコミ「状況が特殊すぎる!」
ボケ「駄目ですか?」
ツッコミ「駄目だろ。アフリカじゃないんだから。日本だぞ。カバとか滅多にいねえよ。普通車だろ。それかバイクとか」
ボケ「車に轢かれたいんですか?」
ツッコミ「そうじゃないけど!」
ボケ「だからカバです!」
ツッコミ「なんでカバにこだわる」
ボケ「ほら二宮さん、バカとカバでお似合いじゃないですか」
ツッコミ「おいこら。ぶん殴るぞ」
ボケ「キキーッ!」【ボケがツッコミに肩からぶつかる】
ツッコミ「痛え! いきなりなにするんだ!?」
ボケ「二宮さんは今、カバに轢かれました!」
ツッコミ「今ブレーキの音したけど!?」
ボケ「ブレーキのあるカバです」
ツッコミ「そんなカバはいない!」
ボケ「【受話器を持つように手を耳に近づけて】プルルル。はい! こちら東京都災害救急情報センターです!」
ツッコミ「勝手に始めるなよ」
ボケ「あ。そうだ。お客様! こーんにーちはー!」
ツッコミ「なんで急に挨拶した!?」
ボケ「俺も挨拶したいと言ってたので」
ツッコミ「そういう事じゃねえんだよ! なんで今入れんだよ」
ボケ「本日はお電話ありがとうございます! わたくし、本日担当いたします、放火好燃奈と申します!」
ツッコミ「物騒な名前だなあ。お前そもそも神埼だろ」
ボケ「お客様、本日のご要件はなんでしょうか。火事の方は1を、救急の方は2を、その他ご意見ご要望の方は3をプッシュしてください!」
ツッコミ「お客様相談コールセンターのやり方!」
ボケ「え?」
ツッコミ「え、じゃないよ。緊急電話なんだよ。そんな呑気なやり取りしてる暇ないだろ」
ボケ「でもこれ、お客様にリラックスしてもらうためにやってるので」
ツッコミ「リラックスするのが間違ってるんだよ! さっきから言ってるだろ」
ボケ「わたしの完璧なオペレーションに指図しないでもらえますか、お客様!?」
ツッコミ「うわ。嫌なオペレーター」
ボケ「こほん。失礼しましたお客様。では改めて。火事の方は1を、救急の方は2を、その他のご意見は3を、オペレーターと直接会話したい方は4をプッシュしてください」
ツッコミ「今話してる! 直接話してるから! それ、機械音声で誘導するやつだからな。オペレーターが話してるならやる意味ないんだよ! 2!」
ボケ「救急ですね! それはそれは【ニヤニヤ半笑いの表情を見せる】」
ツッコミ「なんでちょっと嬉しそうなんだよ」
ボケ「お客様の幸せがわたしの喜びです!」
ツッコミ「喜び方考えろ! あと119番してる奴に幸せとかないから!」
ボケ「まあまあそれは置いておいて。いかがされました?」
ツッコミ「置いとくなよ。……轢かれたんだよ。カバに」
ボケ「くすっ……ぷくく……」
ツッコミ「お前。自分で考えた設定で笑ってんじゃねえか」
ボケ「バカが……カバに……くすっ」
ツッコミ「やっぱぶん殴らせろ」
ボケ「失礼しましたお客様! では、カバに轢かれた場所を教えてください、おバカ様!」
ツッコミ「おバカ様!? お客様だろ!? いや待て! そもそもお客様じゃねえな! 最初から間違ってた! 119番する奴は客じゃねえんだよ!」
ボケ「お客様、場所を」
ツッコミ「話し聞けよ! ……新宿の都庁前の――」
ボケ「都庁前ですか!? もしかしてそこで働いてるとか!? エリートのお役人さんとか!?」
ツッコミ「いや違うけど」
ボケ「ですよね! だってバカ――」
ツッコミ「バカには出来ない仕事だからな!」
ボケ「はい!」
ツッコミ「嬉しそうに返事するんじゃねえ」
ボケ「では救急車手配しますね! あ、ちなみにお客様はマイナンバーカードはお持ちでしょうか!?」
ツッコミ「マイナンバーカード!? なんで!?」
ボケ「東京都では今、ラッキーポイントキャンペーンを実施中でして」
ツッコミ「ラッキーポイントキャンペーン!?」
ボケ「事故に遭ったお客様に、特別にマイナポイントの付与をしております!」
ツッコミ「事故に遭った客にラッキーとか言うんじゃねえ!」
ボケ「【ニコニコと笑いながら無言で見つめる】」
ツッコミ「……そうだったお客様じゃねえ! ちくしょう俺も客なの受け入れ始めてるよ! てかなんだよそのムカつく制度は!?」
ボケ「ムカつくとか言わないでくださいよ! 都庁のお偉いさんが考えた制度なんですから!」
ツッコミ「都庁の職員そんなことしてんの!?」
ボケ「気軽に緊急通報してもらうために考えたとか」
ツッコミ「気軽にするもんじゃねえんだよ! 深刻な状況だから通報してんだよ! なんなんだ都庁の人間ってのはバカなのか!?」
ボケ「お客様に」
ツッコミ「ぴったりの仕事じゃねえからな!」
ボケ「お客様かなりイライラしてらっしゃいますね!」
ツッコミ「誰のせいだよ!」
ボケ「わたしの声を聞いて落ち着いてください! 1分のF揺らぎが出ていて」
ツッコミ「F分の1揺らぎ! 1分のFは! ただの! Fだ!」
ボケ「お客様!」
ツッコミ「今度はなんだ!?」
ボケ「元気そうですね!」
ツッコミ「誰かさんのせいでな!」
ボケ「良かったです! 一応は病院で診てもらった方がいいですけど、自力で病院行けそうですね!」
ツッコミ「ああそうだよ。自力で行けるくらい元気だわ」
ボケ「ではこちらから、最寄りの病院まで案内しますね!」
ツッコミ「納得いかないけど頼む」
ボケ「えー、新宿の動物病院は……」
ツッコミ「いやカバの心配してんじゃねえ!!」
二人「どうもありがとうございましたー」