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4:いつでも一緒だよ!

 翌日、いつもの一人だったので息をついた。


「朝飯はできているよ」

「……ありがとう。いただこうか」

「うん」


 二人きりで朝食。さっきのは何だったんだろう。

 屈託のない笑顔のヴィゼ。本来なら愛しくて抱きしめたい気持ちになるはずなのに……。

 どこか不穏な雰囲気が拭えない。


「買い物に行こうか」

「うん。嬉しいなぁ」


 だが、それは悪夢の始まりだったとは────!





 多くの人がごった返す都市。

 私とヴィゼはデパートへ向かう。多くの人々が行き交いし、喧騒の音が響く。車や路面電車などが道路を通っている。

 賑やかで社会隆盛期と思わせる情景だ。


「さて、服でも買いに行かなくちゃね」

「む、そうか?」

「あなたって、同じ服ばっか着てるもん」


 頬を膨らますヴィゼ。相変わらず愛しいなぁ。



「いらっしゃいませ」


 洋服屋へ入ると、メガネの黒髪店員が迎えてくれる。

 どんな服装か、店で色々見ているとヴィゼが「これこれ」と二着の服を持ってきた。

 どれもピッタリではあるかなと思い購入しようとする。

 しかしカウンター前に来ると見開いてしまった。


「あ、それいいねー。ナイスチョイス」


 なんと店員がヴィゼだった!? 隣のヴィゼとは別の!

 二人いてギョッとした!


「も~、ようやく服装を買ってきてくれたな、って思ってたけど、なに驚いて?」

「早く買いましょうよ」

「あ……ああ」


 最初入ってきた時に見かけたメガネ店員はどこに行ったんだ?

 キョロキョロ見渡すもいる様子はない。忽然と消えたかのように……。

 単にシフトで入れ替わってるだけかもしれない。



 店を出て、あちこち商店街を散策していく。そろそろ昼頃かなと空を見上げる。


「何か飲む?」

「そうだな。少々喉が渇いた」


 喫茶店に入ると、怖気が走った! 全身が痺れるほど震え上がった!


「あ! 来た!?」

「待ってたよ」

「こっちこっちー」

「おいでー」

「いらっしゃいました!」

「待ってたんだよー。むー」


 なんと店員含め数人のヴィゼがいた!? 前から待っていたかのようにいる数人のヴィゼ!


「う、うわあああああああああ!!!」


 思わず尻餅をついて、慌ててバッバッバッと右手でスライドする。

 片っ端からヴィゼを消していくが、新たに出た人もヴィゼ。

 何度スライドしても別のヴィゼに入れ替わるだけで、いたちごっこだ。以前とはまるで違う。


「あ……ああ……!」


 腰を抜かしたままの私に、数十人のヴィゼがにっこり寄ってきた。

 囲まれて逃げ出せなくなる恐れで、思わず自分をスッとスライドさせた。すると全ての景色が流れ飛んで、新しい世界へたどり着く。

 はぁーはぁー、荒い息をして見渡す。


 普通の関係ない人が喧騒している喫茶店……。


「自分をスライドすれば、別の世界へ飛べるのか」


 とは言え、増殖するもののヴィゼ自身は無害。囲んできて思わず動転した。

 あのまま付き合っても別に支障はないのだろう。

 ヴィゼは優しい女性だ。複数いた所で別に害が出るものでもない。しかしなぜだか私は拒絶感を抱いた。


「なぜこんな事に……!」


 一人に戻ったがやむを得ない。

 やはり死者は呼び起こすものではなかったのだ。しっぺ返しとは言わないが、背筋が凍るような現象は勘弁だ。

 ヴィゼは増殖する生き物じゃあない。

 普通の女性だ。愛らしくて美しくて世界で()()()()の女性だ。


 すると通りすがりの男が勝手にスライドされて()()に入れ替わった!?


「あ、見ーつけた!」

「ヴィゼッ!!」


 追いかけてきたかのような挙動に、身が竦む。


「急に逃げないでよね!」


 腰に手を当てて可愛く怒るヴィゼの背後で、次々と周囲の人間がスライドされてヴィゼに入れ替わってきた!?

 慌てて喫茶店を抜け出すと、商店街の多くの人間がスライドされていってヴィゼばかりに入れ替わっていく!

 そんな奇妙な事象に思わず恐怖を感じる……。


「こ……これは……!? 一体何故……!?」


「あなたー!」

「どっか行くー?」

「あそこ行っていい?」

「どこか行く?」

「なんか顔色悪い?」

「あそこでパフェ食べようよー」

「腹減ったから、あそこのレストランで」

「あなたー!! 立って立ってー!」


 わらわらと駆け寄ってくるヴィゼ。

 思わず自分をスライドさせて別の世界へ滑って移転する。最初はヴィゼいなかったのに、今回も次々と人間がスライドされていってヴィゼに入れ替わっていく。

 まさしく私を逃すまいとするかのように……。


「うわああああああああああああああああああああああ!!!!」


 そして逃げれば逃げるほど加速度的にヴィゼは倍増されていく。

 もはや逃げ場がないかのように追い詰めてくる!



「な……なんて事だ…………!!」


 大勢のヴィゼがにっこりと私へ押し寄せてきた。


「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

「いつでも一緒だよ!」

あとがき


 数年前に書いてた小説です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 増え続けるヴィゼ。逃げるが逃げられない恐怖(;゜Д゜i|!)……いくら最愛の人でもこれは恐怖しかない∩(´;ヮ;`)∩ンヒィィィィィ
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