005
いや、たとえここから出たとしても
一体何が変わるというんだ。
そもそもこんな事がある訳がない。
これは夢なんだ。くだらない夢なんだ。
だから何もする必要も無い。
このままここにいよう。
そうだ。そうしよう。
………
それから数日、俺はこの森で
なるべく歩かず、立ち上がりすらせず
眠るようにずっと横になっている。
この夢から覚める事を一心に願いながら。
俺は昔からの怪獣オタクだ。だから
子供の頃から一度は本物の怪獣を
この目で見たいと思っていたが、
まさかこんな形で実現するとは
人生とは不思議なものだ。
どうせならどんな顔をしているのか
見たかったな。顔が一番大事なんだよ。
そんなくだらない事だけを考えながら
この悪夢から覚める事を願った。
この酷い空腹感や脱力感もきっと幻だ。
目が覚めたら妻の美味しい朝食を
お腹いっぱい食べるんだ。
………
……
…
どれほどの日が経過したのだろう。
なぁ、もうそろそろいいだろう?
何故こんなに苦しまなくてはいけないんだ?
俺は一体何をしたんだ。これは何かの罰なのか?
もう脱力が酷くて立つ事も動く事も出来ない。
絶え間なく強烈な眠気が襲ってくる。
この眠気に従えば俺は救われるのか?
果たして俺は救われるのか?
……もし俺が勇気をだして外に出たら
違った未来が待っていたのかな。
………
……
…
もう何も考えられない。
誰でもいい。この地獄を終わらせてくれ。
朦朧とした意識の中、最後に思い出したのは
愛する妻と子供の顔だった。
ーーエンド1『夢に向かって』ーー
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