第八話 神の声ラジオ
「あなたは、神を信じますか……」
深夜のアパートの一室で、丸刈りの男子高校生が、ベッドに横になり、スマホでラジオを聴いている。
つけたスマホのラジオアプリは、何故か、どこかの宗教放送が流れている。
「神は言っています……」
落ち着いた、男性の声が、スマホから流れてくる。
「あなたは……」
「それで?」
それから翌日の高校の教室、昨日の夜ラジオを聞いていた丸刈りの男子高校生は、自分の机の前に立っている2人の男子高校生に、話を急かされていた。昨日の夜すぐに録音した、音声データをスマホで流す。
「あなたは明日、死にます」
「こええええええ!」
2人とも、静かな落ち着いた男性の声に身震いをする。丸刈りの男子高校生は、自分の机の前にいる2人の男子高校生に喋り始める。
「なぁ怖えだろ? マジ配信してたんだってラジオで」
「んなことあるかよ普通、そんなの配信してたらやべぇだろ」
「それ、スマホのラジオアプリでやってんならアーカイブあるはずだけど……」
2人のうち、右側にいる男子高校生が、丸刈りの男子高校生を疑い反論をする。左側にいる男子高校生は、冷静に見解を述べている。
「それが、何度調べてみてもその配信のアーカイブがないんだよ……俺のスマホでしか聴けないみたい」
「嘘だぁー」
「ほんとだって、ネットで調べてみても、そんなラジオ出てこないし、俺のパソコンのほうは、その局では違う番組やってたし」
「じゃあ、そのスマホだけで受信するっていうのか?」
右側の男子高校生は、ますます丸刈りの男子高校生を怪しんでいる。右側の男子高校生は、丸刈りの男子高校生に尋ねる。
「じゃあ今夜、お前んちで確かめてみるか?」
その日の夜、丸刈りの男子高校生が住んでいるアパートの一室に、その男子高校生は、訪れることとなった。丸刈りの男子高校生が住んでいるアパートの黒いドアを開け、部屋の中に、入っていく。
「おじゃましまーす」
丸刈りの男子高校生は、両親の仕送りで、アパートを借り、一人暮らしをしている。ユニットバス付きの、まぁまぁいい感じの部屋だ。
「お前ほんといい暮らししてるよな、最高じゃん」
部屋に入った男子高校生は、すぐに、後ろにいる丸刈りの男子高校生に振り返る。丸刈りの男子高校生は、頭を搔いている。
「まぁでも、テレビはないからさ……」
そうして、2人は、その時を待つため時間を潰す。しばらくその部屋で床に胡坐をかいて座り、馬鹿話をし、行く途中のコンビニで買ってきたお菓子やら飲み物やらを飲み食いし始める。
「もうそろそろいいんじゃねぇか?」
しばらく時間が経ち、部屋の白壁の中央上に飾られた、大きな白いアナログ時計を見ながら、男子高校生が対面のベッドに座っている丸刈りの男子高校生に告げる。丸刈りの男子高校生は、男子高校生に頷く。
「そうだな……」
スマホを、ポケットから出し、スマホのラジオアプリを起動させる。
「あった……」
ラジオ局一覧の中に、その番組が表示されている。
「うわ、まじかよ」
丸刈りの男子高校生に近寄った男子高校生が、スマホを見て驚く。確かめに来た男子高校生のポケットから出したスマホのラジオアプリには、それは、表示されていない。
「……じゃあいくぞ」
丸刈りの男子高校生は、緊張した面持ちで、確かめに来た男子高校生に尋ねる。男子高校生は頷く。
「……いいぞ」
丸刈りの男子高校生は、そのラジオをタップする。
「あなたは、神の存在を信じますか……」
あの時と同じように、静かな落ち着いた男性の声が聞こえてくる。二人とも、スマホの画面を凝視する。
「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
唐突に、一定の「あー」と伸ばした音声が聞こえだす。そのまま、それが、ずっと続く。
「なんだこれ……」
丸刈りの男子高校生は、気味悪くなり、確かめに来た男子高校生に顔を向ける。
「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
男子高校生の両目は、見開かれている。
ヒロ&アキト´s解説
ヒロ「友達が……」
アキト「こうなることをラジオは言ってたんだな」