第四十八話 崩壊
「会いたかったよ……泉君!」
「弘子……」
抱きつかれながら、泉は白い丸の中を漂う。弘子は泉に、長い時間抱きついている。
「弘子ちゃん!」
佐藤が、喜びの声を上げ近寄ってくる。弘子は泉から離れ、佐藤に手を振る。
「佐藤君久しぶり!」
「何で一体、今までどうやって……」
「わからない……気づいたらここにいたの」
「……」
泉は、まじまじと弘子を見つめている。そして、弘子に話しかける。
「弘子、すまなかった……俺のせいでこんなことに……」
「いや、いいよ。泉君は研究者なんだから、研究に没頭してるのは当たり前じゃん」
「ここから出て、これからお前が行きたがっていた買い物に行こう……な?」
泉は弘子に、優しく尋ねる。弘子は何故か、顔がくぐもっている。
「どうした弘子……」
「あの……ごめんね。泉君」
「え?」
「もう、私……」
泉の顔はこわばる。
「手遅レナノ」
見る見るうちに、真っ白な丸は真っ黒な丸に変化していく。弘子の後ろに、黄色いでかい目が現れる。
「タンパクシツイッパイ……タンパクシツイッパイ……タンパクシツイッパイ……タンパクシツイッパイ……」
5人の周りを、ささやくような低い声が、たくさん聞こえてくる。5人は、しまったと思った。
「そんな、弘子! 弘子ぉ!」
泉が、弘子に向かって大声で叫ぶ。弘子は後ろへ遠ざかっていき、その背後に、白い目をしたたくさんの人々が現れる。顔は青白く、皆、呆然と立っている。
「……アキト!!」
その人々の中に、アキトの姿をヒロは見つける。どうやら全員、今まで何かに襲われてきた犠牲者たちのようだ。
弘子の横に、白衣を着た白い眼の年老いた男が現れる。
「穴を埋めろ。当日に報告は来ない」
男は、大声で叫んでいる。弘子は、その男を抱きしめる。
「ヨク頑張ッタネ……」
「違う次元の俺か……」
泉は呟く。弘子の背後にうっすら、白いワンピースの少女が見える。
「あなたも一緒よ……」
弘子は、笑顔で泉を見つめる。瞬間、黒い闇は5人を包んだ。




