第四十七話 一難去って
5人とも、迷路のような施設の通路を走っていた。不幸中の幸いで、先に出て行った少年のおかげで、ほとんどの職員は無惨にやられており、出会うことはなかった。もし、出会ったとしても、もう戦意を喪失していた。
「はぁ、はぁ、出口はどこだ」
「こっちじゃないか」
「もう走るのやだ」
「わかった坊主、俺の背中に乗れ」
小説家の男が、屈んで少年を背負う。無茶苦茶になった施設の通路の中、5人は、出口を目指して走っていく。
ガンッ!
佐藤が体当たりをし、目の前の扉を開ける。すると、そこは、外の都会の景色が広がっていた。
高いビルや、横に大きい建物などがある。
「やっと出られた……」
尻もちをついて、佐藤は安堵の声を漏らす。次の瞬間、
ドーーーーン!
今までいた施設の建物の屋根から、でかい顔の化け物が上に向かって、飛び出してくる。飛び出してきた顔の化け物は、5人の目の前にある、二車線の道路に落下する。
「行けーーー!」
触手が付いた顔の化け物の上に乗った少年が、嬉々として叫んでいる。化け物は、前方からくる車を吹き飛ばし、どこかへ向かって、猛スピードで走り去っていった。
「は、ははは……」
佐藤は軽く顔を引きつらせ、笑い声を上げる。他の皆も、その場に崩れる。
「危なかった……ん?」
泉は地面に寝そべり、空を眺める。すると、あることに気づく。
「おい、おいおいおいおい……」
それは、空の小さい一部分が、白い小さな丸に占領されていた。
「おい、みんな見ろ! あれ!」
「ん?」
その場にいる他の4人に泉は指さす。すると、小説家があることに気づく。
「おいあれ、どんどん広がってるぞ……」
その小さな白い丸が、どんどんどんどん、大きな白い丸へ広がっていく。しばらくすると、その丸は、5人を飲み込むほど大きくなる。
「おい!」
白い丸の中に、手を振る白いワンピース姿の女性が見える。その女性は、泉と佐藤に向け、笑顔で左手を振っている。
「おいあれ……」
「えっ!」
佐藤が驚いて呟き、泉は自身の目を凝らす。
「嘘だろ!」
瞬間、泉の体が宙に浮く。他の4人の体も宙に浮き、全員、白い丸の中に吸い込まれていく。
「ああ、ああ……」
「泉くーん、佐藤くーん」
白いワンピースの女性は、笑顔で手を振り続けている。5人が白い大きな丸の中に到達すると、泉を思い切り抱きしめる。
「会いたかったよ……泉君!」
泉は、唖然としていた。




