表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何なのかわからない。アーカイブ  作者: 中松弘子
シーズン死
50/52

第四十七話 一難去って



 5人とも、迷路のような施設の通路を走っていた。不幸中の幸いで、先に出て行った少年のおかげで、ほとんどの職員は無惨にやられており、出会うことはなかった。もし、出会ったとしても、もう戦意を喪失していた。


「はぁ、はぁ、出口はどこだ」


「こっちじゃないか」


「もう走るのやだ」


「わかった坊主、俺の背中に乗れ」


 小説家の男が、屈んで少年を背負う。無茶苦茶になった施設の通路の中、5人は、出口を目指して走っていく。


 ガンッ!


 佐藤が体当たりをし、目の前の扉を開ける。すると、そこは、外の都会の景色が広がっていた。


 高いビルや、横に大きい建物などがある。


「やっと出られた……」


 尻もちをついて、佐藤は安堵の声を漏らす。次の瞬間、


 ドーーーーン!


 今までいた施設の建物の屋根から、でかい顔の化け物が上に向かって、飛び出してくる。飛び出してきた顔の化け物は、5人の目の前にある、二車線の道路に落下する。


「行けーーー!」


 触手が付いた顔の化け物の上に乗った少年が、嬉々として叫んでいる。化け物は、前方からくる車を吹き飛ばし、どこかへ向かって、猛スピードで走り去っていった。


「は、ははは……」


 佐藤は軽く顔を引きつらせ、笑い声を上げる。他の皆も、その場に崩れる。


「危なかった……ん?」


 泉は地面に寝そべり、空を眺める。すると、あることに気づく。


「おい、おいおいおいおい……」


 それは、空の小さい一部分が、白い小さな丸に占領されていた。


「おい、みんな見ろ! あれ!」


「ん?」


 その場にいる他の4人に泉は指さす。すると、小説家があることに気づく。


「おいあれ、どんどん広がってるぞ……」


 その小さな白い丸が、どんどんどんどん、大きな白い丸へ広がっていく。しばらくすると、その丸は、5人を飲み込むほど大きくなる。


「おい!」


 白い丸の中に、手を振る白いワンピース姿の女性が見える。その女性は、泉と佐藤に向け、笑顔で左手を振っている。


「おいあれ……」


「えっ!」


 佐藤が驚いて呟き、泉は自身の目を凝らす。


「嘘だろ!」


 瞬間、泉の体が宙に浮く。他の4人の体も宙に浮き、全員、白い丸の中に吸い込まれていく。


「ああ、ああ……」


「泉くーん、佐藤くーん」


 白いワンピースの女性は、笑顔で手を振り続けている。5人が白い大きな丸の中に到達すると、泉を思い切り抱きしめる。


「会いたかったよ……泉君!」


 泉は、唖然としていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ