第四十五話 転送先
5人は、どこかの家のリビングに立っていた。
「何だ。ここ……」
佐藤は、辺りを見回す。目の前には横に長い長方形のテーブルがあり、その右横に、50インチくらいの大きいテレビが、テーブルに向けて置かれてある。テレビでは、お昼のワイドショーが流されている。
「キャー! お化け!」
ふと、5人の背後から、女性の悲鳴が聞こえてくる。紺の服に、水色のジーンズを履いた、黄色いエプロンの女性が、驚きの表情で、5人の後ろに突っ立っている。真っ赤になった5人を見つめ、手に持っていた衣服の入った籐かごを落とす。
「すみません。出口はどこですか?」
全身真っ赤な佐藤が、その女性に出口を尋ねる。女性は、震えながら答える。
「あ、あっち……」
背後にある廊下の先の玄関を指さす。5人は女性に会釈して、そのまま玄関から出ていく。
「はは、ははは……」
女性は、力なくその場にへなへなと崩れる。5人は、玄関を出て辺りを見回した。
「どうやら……転送に成功したみたいだ」
辺りは家々が並び、住宅街になっていた。
「とりあえず、どうする。このまま次の場所へ行っちまうか」
すると、5人の前に、小さな人影が現れる。
「お前ら、うるさいんだよ!」
目の吊り上がった小さな少年が、5人に向かってキレている。ヒロが急に、叫びだす。
「皆、逃げろ!」
少年の背後から、大きなひげ面のおっさんの顔が、5人に向かって飛び跳ねてきていた。少年を飛び越え、5人の目の前にドンっと現れる。瞬間、一斉に5人は走り出す。
「やべぇ逃げろ!」
「ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!」
口々に言いながら、一目散に走りだしていく。大きいひげ面のおっさんの顔は、口を開けたり閉じたりしながら、飛び跳ねて、5人の男たちを追いかけていった。
「んまんまんまんまんまんまんまんまんま……」
5人はそのまま、走り続ける。5人の目の前に、左右に分かれた丁字路が現れ、5人は、右に進む。
「走れ! とにかく、走れ!」
後ろの巨大なひげ面のおっさんの顔の口から、何かが、這い出てくる。見ると、白いがに股で走るスキンヘッドの化け物が、5人を追って走ってきている。
「気持ちわりぃ!」
ヒロが走りながら、後ろを向いて叫んでいる。白い人型の化け物は、何かを叫び走っている。
「マエー、テラ! オマ、マテ!」
「何言ってんだよ!」
「あの宇宙人の亜種か……」
走りながらヒロが叫び、佐藤が疑問を口にする。すると、佐藤の横にいる泉が叫ぶ。
「左に曲がるぞ!」
左に曲がる横道を見つけ、そこを曲がる。5人はそのまま、走り続けていく。
「何で、走ってんだ俺たち……」
「そうだ! 石を使えよ!」
横道を曲がった瞬間、佐藤が再び疑問を呟く。小説家が、驚きの声を上げそれに突っ込みを入れる。
「そうだ! あれ……? 石が……ない」
赤い短パンの右ポケットに手を突っ込み、佐藤は急に青ざめる。泉が驚く。
「嘘だろ!」
5人の目の前に、行き止まりが現れる。5人は、唖然とする。
「もう……だめだ」
瞬間、5人の背後から、数発の銃声が鳴り響いた。5人は後ろを振り向き、巨大なおっさんの顔と白い人型の化け物を見る。
巨大なおっさんの顔と、白い人型の化け物のところどころの部分から、一筋の赤い液体が流れている。そして、次の瞬間
バンッ!
物凄い大きな破裂音が聞こえ、目の前の化け物たちが破裂していく。5人は皆、両目を閉じ、再び真っ赤に染まっていく。
「奴らを捕まえろ……」
黒いスーツにサングラスをかけた男が現れ、5人を、ミリタリーな武装をした人間たちが取り押さえる。5人は叫ぶ。
「痛ってぇ! 痛てぇ!」
「やめろ! この野郎!」
「助けて!」
「うるせぇ!」
ミリタリーな武装をしている人間の一人が、取り押さえ、暴れている佐藤に向かって叫んでいる。
「……」
「全員捕まえました」
泉は、黙って前を向いてサングラスの男を見ている。サングラスの男の横に、さっき襲ってきた少年が、手錠をかけられて突っ立っている。
「全員連れてけ!」
5人と、さっきの少年が、突然現れた黒い長方形の護送車に乗せられていく。ミリタリーの人間が2人、6人を監視するため護送車に乗り込んでくる。
車は、どこかに向け発進していく。6人は、不安の面持ちで車に揺られている。
6人は、どこかの場所に運ばれていった。




