第三十八話 監禁
気が付くと二人は、全面フローリングの広い一室に立っていた。目の前の押し入れのドアがドンドンと音を立てている。
「ここはどこだ」
「たぶん、別の世界だろう」
二人は不安そうに話し合っている。佐藤は泉に尋ねた。
「どうする? 目の前の押し入れ、開けてみるか?」
さっきからずっとドンドンドンドン音がしている。泉は頷いた。
「ああ、開けよう」
二人は押し入れのドアを開ける。すると、中から、目隠しと轡をされた女性の姿が、前のめりに飛び出してきた。
「んー、んんー!」
女性は、轡のせいで呻いている。泉は女性の轡を頭の後ろに手を回して外す。
「はぁはぁ、たすけて……」
「どうしたんだいったい」
「私、誘拐されたの……あの男、私をストーカーに仕立てて殺そうとしてるのよ」
泉と佐藤は、その女性をとにかくその場に座らせる。そのまま立ち上がる。
「とりあえず、警察に連絡入れときますね」
佐藤が赤い半ズボンのポケットからスマホを取り出す。110番に電話をかけようとする。
瞬間、三人の右横にある鉄製のドアが開く。そこに、驚いたワイシャツ姿の男が立っていた。
「たすけて」
「あっいいところに来た。彼女、監禁されてます。警察に連絡しといてください」
そう言うと、唖然としている男をよけ、二人は外に出る。それを呆然と見つめ男は呟く。
「何だあれ……」
「とにかく、一つのミッションはクリアみたいだな」
「そのようだ」
二人は外に出ると、辺りを確認しながら部屋の玄関前の廊下を小走りで走っていく。どうやら二人がいるところは、どこかのマンションの2階で、階段を降りながら、スマホで自分たちのいる位置を確認しようとする。
「どうやら、ここは確かに違う世界みたいだな。位置が表示されないぞ」
「そうか。とにかく、ネットの検索機能は使えるみたいだからこれを使って位置は調べるぞ」
近くの電信柱を調べ、二人はその場所の住所を知る。佐藤は泉に尋ねた。
「ところで、これからどうするんだ? 一応違う世界には行けたが……」
「まず、俺たちの本物のあの液体を探すのと、この世界の理をぶっ壊す」
「そしたら成功するのか」
「多分……」
走りながら、泉は頷く。暗い夜道を、二人はどこかへ走って行った。




