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何なのかわからない。アーカイブ  作者: 中松弘子
シーズン参
32/52

第二十九話 ばいばいおいでおいで祭り 



 ある村には、昔から続く、一風変わった、不思議な祭りがあった。


 その話を聞いた、民俗学者である私は、その話の真実を調べるため、その村を、訪れていた。


 そこは、山間部にある小さな村で、十数人しか村民が、住んでいなかった。


 村長に、私は尋ねる。


「この村では、お盆になるとみんな、白い着物を着て、家の前に出るんですね」


 それは、不思議な祭事で、村の人々が全員、家の玄関先に出て、両手を横に振り続ける。しかも全員、白い着物を着てそれをやる。


「しばらくそれをやった後、今度は両手をこっちへ来いって縦に振るんですね」


 村長は、両手を小さく縦に振って私に見せてくれる。確かにこれは、ばいばいおいでおいで祭りだ。


 私は、その祭りを実際に見ることにした。


 祭り開催日当日、みんな、早い時刻から家の前に出てその時を待つ。


 祭りの開催時間は午後2時から2時10分と短い時間で、案外、早い時刻に行う。


 午後2時になると、村民が、一斉に全力で両手を横に振る。そして、おいでおいでをその後繰り返す。それを、10分間やり続ける。


 私は一応、白い着物は着なかったが、両手を振りながら、動作を繰り返している村民たちを、一軒一軒回って見ていく。


 午後2時10分になり、村民たちが、家の中に入っていく。私は、村長の家へ向かおうと、もと来た道を戻っていく。


 村長の家は、村民たちの家々の一番上にあり、豪華な古くから続く武家屋敷だった。


 そこに向かっている最中、私が歩いている道の先に、白い着物を着た連中が、道路を塞いでいる。


「おかしいな。もう祭りは終わったはずだぞ」


 私は呟きながら、その連中に近づいていく。その連中はまだ、両手を横に振っている。


「おかしいな……」


 私は、その道の先を塞いでいる連中をよくよく見ようとする。皆、横一列に並び、左右に手を振っているように見える。


「……」


 しばらく、その連中に近づいて行った時、私は思わず立ち止まってしまう。道の先にいるその連中は、両手を横に振っているのではなかった。


 こっちに向かい、おいでおいでを繰り返していた。


 ヒロ&アキト’s解説 


 ヒロ「あのクソ犬、よくも俺の手を噛みやがって!」


 ヒロ「何とか振りほどいて逃げたからよかったものの、危なかった……」


 ずず……ずず……


「大丈夫ですか?」


 ヒロ「何ですかあなたたちは。白い服着て、お遍路さんか何かですか」


「違います。これから、儀式を執り行うんですよ」


 ずず……ずず……


 ヒロ「へぇー……まぁよくわかんないですけどさようなら」 


「はいさようなら」


 ずず……ずず……ずず……ずず…… 


 ヒロ「……それにしても、引きずってたあの長い箱はいったい何だ? あっ、また消えた!」

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