第二十九話 ばいばいおいでおいで祭り
ある村には、昔から続く、一風変わった、不思議な祭りがあった。
その話を聞いた、民俗学者である私は、その話の真実を調べるため、その村を、訪れていた。
そこは、山間部にある小さな村で、十数人しか村民が、住んでいなかった。
村長に、私は尋ねる。
「この村では、お盆になるとみんな、白い着物を着て、家の前に出るんですね」
それは、不思議な祭事で、村の人々が全員、家の玄関先に出て、両手を横に振り続ける。しかも全員、白い着物を着てそれをやる。
「しばらくそれをやった後、今度は両手をこっちへ来いって縦に振るんですね」
村長は、両手を小さく縦に振って私に見せてくれる。確かにこれは、ばいばいおいでおいで祭りだ。
私は、その祭りを実際に見ることにした。
祭り開催日当日、みんな、早い時刻から家の前に出てその時を待つ。
祭りの開催時間は午後2時から2時10分と短い時間で、案外、早い時刻に行う。
午後2時になると、村民が、一斉に全力で両手を横に振る。そして、おいでおいでをその後繰り返す。それを、10分間やり続ける。
私は一応、白い着物は着なかったが、両手を振りながら、動作を繰り返している村民たちを、一軒一軒回って見ていく。
午後2時10分になり、村民たちが、家の中に入っていく。私は、村長の家へ向かおうと、もと来た道を戻っていく。
村長の家は、村民たちの家々の一番上にあり、豪華な古くから続く武家屋敷だった。
そこに向かっている最中、私が歩いている道の先に、白い着物を着た連中が、道路を塞いでいる。
「おかしいな。もう祭りは終わったはずだぞ」
私は呟きながら、その連中に近づいていく。その連中はまだ、両手を横に振っている。
「おかしいな……」
私は、その道の先を塞いでいる連中をよくよく見ようとする。皆、横一列に並び、左右に手を振っているように見える。
「……」
しばらく、その連中に近づいて行った時、私は思わず立ち止まってしまう。道の先にいるその連中は、両手を横に振っているのではなかった。
こっちに向かい、おいでおいでを繰り返していた。
ヒロ&アキト’s解説
ヒロ「あのクソ犬、よくも俺の手を噛みやがって!」
ヒロ「何とか振りほどいて逃げたからよかったものの、危なかった……」
ずず……ずず……
「大丈夫ですか?」
ヒロ「何ですかあなたたちは。白い服着て、お遍路さんか何かですか」
「違います。これから、儀式を執り行うんですよ」
ずず……ずず……
ヒロ「へぇー……まぁよくわかんないですけどさようなら」
「はいさようなら」
ずず……ずず……ずず……ずず……
ヒロ「……それにしても、引きずってたあの長い箱はいったい何だ? あっ、また消えた!」




